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日本書紀に記された「治す(シラス)」という言葉が深いから紹介したい

今年は、720年に完成した日本の最古の正史『日本書紀』が編纂されて1300年の記念の年。

『日本書紀』は歴史書ですし、当然現代で読むには翻訳や背景の理解が必要で、とっかかりづらいイメージがあると思うのですが、実際に読んでみると、日本の国柄というものへの理解が深まるだけでなく、怒ったり、拗ねてみたり、喧嘩をしたり……どこか人間らしさを感じ、遠い存在だと思っていた神様を身近に感じることができる本です。

また、『日本書紀』に基づいた昔話や童話も多く存在するため、実際に読んでみるとどこかで聞いたことがあるような、なじみ深いお話も多くあります。

では、日本書紀の世界へと誘います✨


◆神話に記された「シラス」という言葉

前回の記事でもお話をさせていただきましたが、『日本書紀』には現在の日本が持つ様々な文化の基となっている話が多く記されています。

まだ読んでいない方は是非…!


『日本書紀』の中で、天照大御神は「三つのお告げ(神勅)」を子孫に授けますが、なんと、今でもこの三つの神勅の教えは、日本という国に生きているんです。

お告げの一つである「天壌無窮の神勅」の原文等で見られる特徴的な表現として「治す(シラス)」という大和言葉があります。

「シラス」とは、天皇が国と民に深い関心を持って広く知ることで環境を整え、国民は一丸となって天皇が与えた稲(富)を利する。この両輪で統治をする国づくりのことです。

統治といっても武力や権力による「力の支配」を行うのではなく、深い結びつきの中で国と民を広く知り、その在るべき姿を天皇自らがお示しになられることで、天皇と国民が「共に歩み、育んでいく」。

そうした姿勢で国が治まるありかたを最上とする考え方
こそ、「シラス」なのです。

「シラス」は、天照大神が授けた3つのお告げ(三大神勅)の中の、天壌無窮てんじょうむきゅうの神勅」の原文などに見られる、特徴的な大和言葉です。

今上陛下まで126代にわたり連綿と紡がれた天皇の在り方、日本の国柄のもといとなる考え方になっています。

毎年の節目にはお言葉があったり、祭礼にて日々平和の祈りを捧げられたり、災害時には積極的に足を運ばれたりと、国民に寄り添い御心を砕かれているお姿をニュースなどで拝見する機会も多いですが、陛下は皇居内の水田で公務のかたわら自ら稲作に取り組まれているのをご存じでしょうか。

この収穫された米は宮中祭祀の神嘗祭かんなめさい新嘗祭にいなめさいなどの祭典で神々にお供えされている大事なお米です。

斎庭稲穂ゆにわいなほの神勅」での誓いを、今も自ら実践されているのです。


◆皇后さまが受け継がれる、日本の養蚕《ようさん》

また、『日本書紀』には"天皇が皇紀に桑摘みと養蚕ようさんを勧められた"という記述があります。

こうした歴史を大切に、天皇陛下が忙しい公務の合間を縫って稲作に取り組まれている傍ら、皇后さまは皇居内にある天皇家の養蚕所「紅葉山御養蚕所」にて養蚕に取り組まれています。

歴代の皇后陛下がご養蚕を行われ、こちらで作られた絹は宮中の行事でのお召し物や、外国への贈り物にされています。

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神職や雅楽等、宮中や神社の祭礼で使われる装束類は、基本的にすべて正絹で作られています。
絹糸を大量に使用するだけでなく、質の良い極細の絹糸でなければ出来ないものやことは殊の外多く、「絹を守る」ということは「日本の文化を守る」ことにも繋がります。

小石丸という純国産種は、日中交雑種などに比べて繭が小さいことなどから飼育中止が論議されたこともありましたが、歴史的な御物の復元や修理を当時と同じ材料を用いて行えるように との上皇后陛下のご配慮で小石丸の養蚕は続けられ、今も様々な遺物の修繕に用いられ伝統の継承を支えています。

天皇陛下の稲作も皇后陛下の養蚕も、いわゆる「ご公務」とは違います。
また、稲作によってできた米が新嘗祭に使われるものの「宮中祭祀」という位置づけではなく、ふたつとも「伝統文化の継承」に位置づけられています。

御心を「シラス」行為として、昔と今の❝こころ❞を繋ぐ伝統文化の継承を御自ら行われているのです。



◆天然の繭で作られた「まゆ玉みくじ」

当社にはそんな養蚕にちなんだものがあります。当社のおみくじは、すべて繭で守られた「まゆ玉みくじ」です。

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神様からの言葉としてのおみくじを守り届ける「まゆ玉みくじ」
繭は蚕を守り育むものであり、古来から神様へ捧げる最高級の献上品である絹を生産することから、「福を招くもの」「災厄を退けるもの」とされています。

おみくじは神様からの言葉として、今のご自身に必要な言葉が書かれています。神様の示された言葉を大事に守って、繭に入れて結んでいただくことによって、新たな良き明日を育むことができます。
引いたおみくじはぜひお持ち頂き、節目節目に見返しください。

また、「幸せみくじ」はフクロウの姿を模したかわいらしい形をしています。

知恵の象徴とされているフクロウ。
"フクロウ"という名前は不苦労ふくろう「福が朗々ろうろうとあるように」、という言葉とも掛かります🦉
同封の「願い文」に願いを託し、御神前の結び処に繭ごと結ぶことで願いを育みます。

おみくじに書かれた言葉を自らの心に照らし合わせ、神様のお導きをいただかれ、心豊かにお過ごしください😊

また、当社では、今月来月と2か月に亘って続く宴の「秋奉 紅葉×銀杏」「みのり×むすび」「神嘗祭×新嘗祭」の特別御朱印をご用意しております。

知らされた御心が「みのり」「むすび」、日本が平和な良い国でありますようにと特別に奉製した御朱印になります。

どうぞこの機会に是非ご参拝いただき、秋の実りへの感謝をお納めください🙂


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