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「冬至」といえば柚子湯! 温泉で身体を清める?

12月も後半に差し掛かりました。
すっかり寒さも増して境内のイチョウも色づき、本格的な冬の到来を感じています⛄

クリスマスにお正月…何かとイベントごとの多い12月には、1年で最も夜が長い「冬至」の日もやってきます。

今年2023年の「冬至」は12月22日です。

冬至といえば柚子湯! だけど、なんで冬至には柚子を浮かべたお風呂に入るのでしょうか…?

今回は、そんな冬至に関するお話です。


「冬至」特別御朱印


「冬至」を境に太陽は強くなっていく

冬至は1年で最も太陽が低くて昼も短い、「太陽の力が1年で最も弱まる日」とされています。

ですが、逆に考えると「この日を境に太陽の力が強くなっていく」と考えることもできます🌞

この「陽に転ずる大切な日」を潔斎をして身を清めて迎えたこと、「柚子(ゆず)=融通がきく」、「冬至=湯治(とうじ)」といった語呂合せも手伝い、冬至の日に柚子湯に入る風習に繋がったとされています。

また、日本の総氏神であり皇祖神でもある天照大神は太陽神です。

毎年11月23日に行われている「新嘗祭にいなめさい」では、太陽の力が弱まるこの時期に、太陽神の子孫である天皇が神との「共食の儀式」を行うことで神様の霊威をその身に体し、霊性を更新(再活性)するものとも解釈されています。


冬至と柚子湯

冬至といえば、お風呂にぷかぷかと柚子が浮かんだ柚子湯ですね! 

お風呂に浮かぶ黄色い柚子は、見ているだけでも気持ちがあたたかくなります。

この大切な日に、潔斎けっさい(不浄をつつしみ、沐浴などをして心身を清めること)を行い、身を清めて迎えたことから転じた風習です。

独特の香味・酸味を持ち、日本料理にも欠かせない柚子。
中国から伝わったこの果物は、日本では飛鳥時代・奈良時代頃には既に栽培されていたという記録が残っているのだそうです。

そんな柚子を浮かべて入浴する柚子湯には、風邪予防や保湿の効果があります。乾燥や冷えが気になる、この時期にピッタリですね! 


日本人が大好きなお風呂と「禊ぎ」


「日本人は世界一お風呂が好きな人種」という話がありますが、実際に毎日浴槽に浸かる人の割合は、アメリカでは10人に1人なのに対し、日本では夏でも3人に1人は浸かっている計算になるそうです。

何故日本人はこんなにもお風呂が好きなのでしょうか。

日本人のこうした民族性には、みそぎ」という、水で心身を祓い清める信仰があることにも起因するといわれています。

祓えは「大麻」や「切麻」などの道具を用いたり、鈴の音で清めたりなどいろいろな形式がありますが、その中でも「水」は代表格
古来から、水には「けがれを払い、身を清める力」があると信じられてきました。

神社の手水も、水の祓い清めの力に起因するもの

日本最古の歴史書『古事記』の中で、イザナギノミコトがイザナミノミコトを追って黄泉よみの国へ行った帰り、死者の国のけがれを祓い清めようと川に入って身体を洗った話がありますが、このエピソードこそみそぎ」のルーツです。

神社に参拝する際には、手と口を水で清める「お手水」を行いますが、これも「禊」の簡略版と考えられています✨

日本人の衛生観念は、こういった様々な神道の考え方が文化や風習として根付いて、育まれてきたのです。


1年のケガレを「湯垢離ゆごり」で落とす


そして「禊」に似た概念に「垢離こり」があります。

一般的に「垢離こり」という場合は、修験の行法や、仏事を前にして川に入り、心身の不浄を流し去ることを指すとされています。

垢離と禊は、同じ心意の上に成り立ち、川なら「水垢離みずごり」、海なら「潮垢離しおごり」、温泉なら「湯垢離ゆごり」と呼ばれます。

神道や仏教、修験道でも水で清めるという概念があることからも、伊勢や出雲、熊野などの古社の近くには、必ずと言っていいほど湯垢離のための温泉地が近くにあります。
例えば三重県にある榊原温泉は、かつては「七栗の湯」と呼ばれ、伊勢神宮参拝の際の湯垢離の地として栄えました。清少納言も枕草子の中で、「湯は七栗の湯 有馬の湯 玉造の湯」(117段)と讃えています。

「水垢離」はちょっとハードル高いですが、温泉で身体を清める「湯垢離」であれば親しみやすいかもしれません♨

12月は一年の納めの月であり、「年越の大祓」も控える“清めの月”でもあります。

身体の汚れや疲れだけでなく、知らずのうちに身体に溜まった心身の不浄まで祓い清めて、元気なこころで新たな年を迎えましょう🎵


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