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木の葉丼

かまぼこ丼を作っていてふと思い付いた。かまぼこを玉子とじにしてご飯に載せれば木の葉丼になるのだと。木の葉丼と云う丼があるのを知ったのは何時頃だっただろうか。1980年代最後の辺りから1990年代最初の頃だったと思う。僕の丼のバイブル「ベストオブ丼 文春文庫ビジュアル版」を入手して、そこに掲載されてあるのを見て初めてその存在を知ったと思う。子供の頃は玉子が苦手だったので、カツ丼や親子丼などの丼物に全く馴染みがなかったのです。20代になってようやく「白身と黄身が混ざっていて、更に火がちゃんと通った状態の玉子」は食べられるようになって、ようやくカツ丼とはかくもウマイモノかと得心したりした次第。そしてカツ丼とも親子丼とも違う木の葉丼や衣笠丼、たぬき丼などの存在も知った。世の中は広いのだなと思ったのを覚えている。ちなみに白身と黄身がセパレートの玉子を食べられるようになったのは40代半ばくらい、茹で玉子や味玉に関してはここ数年でようやくその美味しさを認めた玉子初心者です。

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かまぼこはかまぼこ丼を作った残りがある。あと必要なのは青ネギである。シイタケや三つ葉などが入っていることもあるが、今回は最小の要素で作ってみることにした。まずスーパーマーケットで九条ネギを買う。家の一番近くのまいばすけっとにはなかったので、ちょっとだけ遠くのオオゼキまで行って入手した。関東人のワタシにはなかなか馴染みのないネギの青い、いや緑色の部分。関東で云う長ネギ(根深ネギ)は白い部分を珍重するので青いところは反射神経的に捨ててしまったり、活用出来てスープの煮込み用香味野菜として使ったりとあまり出番は多くない。蕎麦の薬味にちょっと青いところも含まれる感じか。ネギのことをちょっと調べたら、奈良時代に中国から渡来した野菜なのか。そうかそうなのか。ネギの品種群に加賀群だの千住ねぎ群だの九条ねぎ群だのがあるなんて初めて聞いた。世の中知らないことだらけだ。ああそんなこと知っているよと良く口にしてしまうが、本当は何も知らない僕なのだ。それを認めて謙虚に生きようと思う。なんちゃって。

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この丼のアタマ(トッピングのこと)を作る時に使う鍋、親子鍋って云うんですよ。知ってましたか。知らなかったでしょう。えー知ってたのですか。失礼しました。僕はこれを持っていたのに今ふとこれの名前は何だっけと忘れておりました。すみません。それはともかく、出汁、醤油、みりん、かまぼこ、青ネギ、玉子をああしてこうして木の葉丼のアタマが出来上がり。あとはご飯に載せるだけ。簡単です。

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丼に盛り付けて、最後に生の青ネギも散らして、木の葉丼の完成。かまぼこは紅白取り混ぜて、あと見た目が面白くなるように、切ったかまぼこの真ん中に切れ目を入れてそこに自らの端をエイヤッと通すとクルッと面白い形になるヤツ(飾り切りって云うんですか)にしてみた。何だか楽しい仕上がりになりました。

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以前だったら玉子の生っぽいところが残っていると、もっと火を通さなきゃと電子レンジにでもかけたりしたのだろうけど、今は大丈夫。そう云うのを楽しめるようになるまで50年以上かかった計算になる。まあお楽しみは後からいっぱいあった方が良いでしょう。幸いにしてまだまだ食欲旺盛。あまりにも旺盛すぎて体重も旺盛だけれど、それはまた追々考えることにする。

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ウマウマウー。いやいやこれはなかなか上手く出来たのではなかろうか。スゴイじゃないか小野瀬雅生。いくら自分の好みで自分のために作っているとは云え、これ程までに自分を感動させる出来になるとはビックリギョウテン。そう云えばご飯もなかなか上手いこと炊けたんだよなぁこの時は。濃すぎず薄すぎず、辛すぎず甘すぎず、かまぼこの美味しさや食感の楽しさをしっかり昇華して、尚且つ作り方もとても簡単。木の葉丼、ちょっと地味な内容だけれど、オススメします。

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キンキューとかマンボウとかが明けた2021年10月。外食もかなり自由に楽しめるようになったけれど、せっかく台所慣れしてきたので、これからも台所から色々なことを発信して行きたい。先日ちょっとした出来事があって、僕の味覚や嗜好への自信がちょっとだけグレードアップした。信じるべきは自分。自分を褒めよ。自分を愛でよ。自分勝手で自分まみれ。それで謙虚に生きるとはどの口が云う。僕のアタマの中に渦巻いているあんなことやこんなことを上手くまとめたら自己啓発本の一冊や二冊は書けるかも知れない。そんなの誰も読まないか。そうですか。とにかくこれからも我が道を行きます。何の話でしたっけ。ああ木の葉丼が美味しく出来たと云う話でした。

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