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ジブンイズム

日本のフォークグループ「アリス」のボーカリストの谷村新司さんが昔テレビで語っていた言葉を思い出しました。

彼は自身で作詞作曲を行い、多くの名曲を生み出してきた一方で、「他人の音楽を聞かない」という持論を持っていました。

オリジナリティの源泉  自分自身の「消化」

谷村新司さんによると、彼の創作の源泉は音楽以外の芸術や日常の様々な出来事であり、それらを自身の体に取り入れ(食べて)、噛み砕き消化され排出されたのが「音楽(うんこ)」なのだそうです。

「俺は、うんこを食べたくないから音楽を聞かない」という彼の言葉は、独創的で少々過激な表現ではありますが、その本質はよく理解できます。

モノマネでは超えられないオリジナルの希少性

「モノマネはオリジナルを超えることはない」という言葉があります。確かに、創作の出発点は模倣であることが多く、その過程でオリジナリティも構築されていきます。

しかし、近年はデザイン本を横に置き、模倣だけで制作するデザイナーも多く存在します。どこかで見たようなデザインが巷に氾濫し、評価を得ている現状を見ると、PCがない時代から創作活動を行ってきた人にとっては、思考プロセス自体が大きく変化していると感じざるを得ません。

情報洪水時代の共食い  新たな価値観の創造

昨今の情報伝達量や速度の増大は、デザインにかけられるコストの低下にもつながっています。

限られた時間とコストの中で、他者の創作を「共食い」することで、より効率的に成果を得ようとする動きも活発化しています。

「?」を埋め込む
無限の可能性を秘めた自分イズム

しかし、真に新しい価値を生み出すためには、プロセスありきの「5+5=10」ではなく、「?+?=10」のような無数の可能性を創造することが重要です。

「?」の中身は無限大です。誰も経験したことのないような「何か」を表現することで、自分自身の「イズム」が形作られていきます。

真のオリジナリティとは

情報洪水時代に真価を発揮するオリジナリティとは、単なる模倣ではありません。

自分自身の経験や感性を「消化」し、誰も思いつかないような「?」を生み出すことこそが、真のオリジナリティと言えるでしょう。


日常から生まれる「ism ≒ 嗜み」| onosatoshism


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