Chopsticks 🥢

バルセロナにあるミシュラン一つ星のアジアンフュージョンレストランDos palillos(ドス パリージョス)の名前を見てふと思った。

この、ドスパリージョスのお店のロゴは「2本の箸(1膳)」なんだ。
いいロゴと名前だなあって感じだよね。
話の結論から言うと、この「Dos palillos」はスペイン語で箸を意味する。
そもそもpalillo(パリージョ)は爪楊枝的な意味合いであるが、箸とも訳すことができる。
僕が思ったのは、ではこの"palillo"を箸として扱う場合、「1本単位で数えるのか1セット単位で数えるのかどちらが正しいのか」という疑問である。
英語で言うところのchopstickとchopsticksに当たると思う。
日本語だと、これは箸一本なのか箸一膳なのかっていう話だ。

英語はなんとなく分かる。
そう、複数形の"S"である。
これがあることでchopstickは一本、chopsticksになると一膳というカウントが可能になる。
スペイン語に置き換えると、それがpalilloなのかpalillosなのかというところ。
もちろんスペイン語にも英語のように、複数形の"S"という概念があるので同様に、palillo=箸1本、palillos=箸1膳と翻訳ができるだろう。
と、思っていたんだがそうではないらしい。

「Dos palillos=箸一膳」という意味が正解らしい。
英語のように翻訳するとすれば、これは箸2膳もしくは箸２本と訳されるべきだと思う。
じゃあそれって1膳のことなの？2膳のことなの？って。
要はpalillos単体で扱うことがないらしく、"英語と同様に"というのが通用しないらしい。
つまり、「箸２本と箸2膳」がこれでは同じ言葉になってしまうではないか。と勘のいい人なら気がつくだろう。

これもまた歴史や文化的な視点からなんだけど、「元々ヨーロッパには箸なんてなかった。」これに尽きる。
箸が後発組で登場したために、新しく言語を用意する必要があったのだ。
こういった流れでアルファベット圏の国々は言葉を当てはめていくわけだ。
日本語の場合は殆どが、その発音のままカタカナにしたりするけどね。

お気づきだろうか。
英語もスペイン語も、数え方がめちゃくちゃ簡単なんだ。
だって単数であれば単数系、複数あれば複数形としてカウントしていくだけ。
日本語はどうなの？と考えてみると、２つで１組になる数え方がちょこちょこある。
箸は1膳、手袋は一双、靴は一足と。。

というより、この日本語の尋常じゃない量の数え方は一体何なんだ！
タンスは１棹、イカは1杯、馬は1頭なのに犬は1匹、鳥は1羽。
日本語難しすぎない？！
ただ、最近は大分楽になってきて、1個2個とか、１つ２つとかである程度通じるようになってきた。
昔ほど数え方にうるさく言うこともなくなったのかなとも思う。
僕らは正しいモノの数え方なんてほとんど知らなくても生きていける。
ただ、我々日本人は本気を出せばとんでもない量の、それぞれの数え方を持っているのである。
これが日本語特有のものなのかどうかは分からないけど、言葉が作り出す文化というものが考えれば考えるほど興味深く感じるようになった。
または文化が作り出した言葉なのか、、、もはや脳内がパニックである。

一説によると大体の数え方はその対象がなくなるときに最後に残るモノらしい。
鳥なら羽、大型生物なら頭、イカは杯の形をした軟骨？だったか。

じゃあ人間はどうして人だと思う？