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【詩】 こだまが鳴っているあいだ

ネオンカラーの漢字やアルファベットに
浴槽みたいにとっぷり浸かって
見るともなしに空を見ながら
縁から縁へ歩いていた

階段を登る手前の案内板の
文字の丸みに気を取られていたら
まだ岸まで辿り着かないのに
向こうでチャイムが鳴りだした

歩きながら手の隙間から
何かのかけらがこぼれ落ちていった
ずっと気づかずにいたけど

さっきまでここに何があったのか
どうしても思い出せなかった
チャイムはもう残響だけになっていた




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