聞き分けのいい陰

はじめまして
松竹芸能所属の芸人
駆け抜けて軽トラの小野島と申します。

顔がカトパン似の餅田コシヒカリという芸人を見たこと聞いたことがあると思います。その相方です。
餅田コシヒカリはコンビを組んでいます。それが僕です。じゃない方としてもまだ到底認知されていない方です。
ただコンビというものは一心一体、陰と陽。
陰である僕の存在が薄くなるということは、陽である餅田の影が薄くなるといということ。
影が薄くなると人は苦しいです。
影がなくなった時人は死にます。
じゃない方としての陰を濃くしていきたいと日々思っています。陰を濃くし餅田に酸素を供給する。
それが僕の務めです。

歳は87年生まれの33才です。
甲子園でいえばマー君、坂本、斎藤佑樹等のハンカチ世代の一つ上、辻内・平田世代でございます。
一つ上はダルビッシュ、一つ下は田中将大
つまり陰の世代です。世代で陰。
世代で陰でじゃない方。セダーinジャナィ。
餅田は大谷翔平の世代です。
野球に興味のない人からしたら全てが陰の話すみません。
ただinジャナィでいても駄目なのでnoteをはじめました。主体性や実行力があるように書きましたがマネージャーさんに書いてみたら?と言ってもらったのではじめました。遅いスタートです。
僕は信頼しているマネージャーさんの話を何でも聞きます。
駆け抜けて軽トラを組んだのも信頼してるマネージャーさんに言ってもらったからです。
当時僕も餅田もピンでそれぞれ活動していました。
「餅田コシヒカリと組みなよ」
と言われた時は正直とても嫌でした。前のコンビで苦労してたし、ピンでやることがとても楽だったからです。

大学のサークルで知り合い一緒に事務所に入った前の相方は「漫才界でテッペンを穫る」というその熱い気持ちだけで、反社とかじゃなくて、本当に純粋な気持ちだけで、胸に漫才マイクのタトゥーを入れてました。
入れた当時、漫才で使われるサンパチマイクの存在を知らなかったので普通にハンドマイクが入ってました。声を拾う所が太陽の形(テッペンという意味で)をし、赤外線だか紫外線が雷型に表現されてるタイプでした。
もちろん先輩に見つかり次第イジり倒されました。
初めて漫才マイクのタトゥーをイジられた深夜稽古終わり、朝方のすき家で相方は震えながら「俺のこれ…イタイんか?イタイって感覚がわからん!!」と涙しました。
それくらい純粋な気持ちで入れてたのです。
コンプライアンスが叫ばれ始めた時期で当然事務所からお叱りを受けました。辞めるか消すかどっちかにしなさいと言われ、相方はタトゥーを消すことを選びました。
人によっては誤解を招くかもしれないし、企業は起用しづらいし事務所は扱いづらい。でも僕は何の躊躇いもなく漫才マイクのタトゥーを入れられる相方が好きでした。一番思いも付かないタトゥーを入れています。先輩にイジられてる相方が羨ましかった。
自分がやりたいと思ったことは何でもすぐやる。
サークルの自主ライブでみんなのネタの時間を削ってまで落語に挑戦し、40分は必要な「芝浜」という人情噺を直前でビビったのか10分足らずで終わらせ見に来てた落研の女の子に「あんなの落語じゃないです!!」と泣き叫ばれてたこともありました。
そんな大見得を切って鮮やかに散っていく相方が好きでした。
タトゥーが薄くなっていくのと比例して相方はどんどんこじんまりしていきました。
イジられないように虚勢を張りました。
ライブの大喜利のコーナーで答えを全く出さず、ようやく一個、フリップで顔隠しながら出した答えに演者もお客さんも気を使って笑う。
ネタ合わせもこだわりばかりが強くなり窮屈になっていきました。
僕はそれを嫌がるだけで傷つきすぎた相方に寄り添ってあげられませんでした。
正直コンビ名をいうことも嫌でした。だからTwitterのアカウトにもコンビ名を記載しませんでした。
僕は僕で逃げていたのです。

解散する一ヶ月前のあるライブの日にショックを受けました。
ライブのある神保町駅の改札を出てから会場の入口に行くまで、僕の前を歩いていた人が相方だったことに全く気づかなかったのです。
出会った頃どこにいてもすぐ見つけることができた相方が、同じ道を歩いてるのに気づかない。
もう本当に終わりなのかと思いました。
相方は徐々に薄くしていたタトゥーが消えてすぐ芸人を引退しました。

変わり果てる相方をみる苛立ちや辛さと、それ以上の自分の弱さをまざまざと感じた僕はもうコンビは組まないと決めました。
この世界一人で強くならなければいけない。何よりピンなら自由に、誰の気も使わずにできるじゃないか。相方に否定され試すこともできなかったこともこれからは自分一人で決断し、自分一人で責任とる。
その決意を胸に半年間、一人でやっていましたのでコンビの話は断りました。するとマネージャーは
「あんたは一人じゃ売れないから」と言いました。
えっ?僕一人じゃ売れないの?!それ頭になかったな…あーそうかーコンビ解散して勝手にやる気になってただけであっそうかーそもそも一人じゃ売れないってこと考えてなかったなーえっ!嘘でしょ!でも今までこのマネージャーさんに言われたことでおかしかったこと一つもなかったもんなーえー!!
と頭の中で考えが巡り、先が怖くなり組みました。
僕はいうことをすぐ聞きます。
ここではピンの時のネタや日常について書き、アメブロとの住み分けをしていきたいと思います。
僕はいうことをすぐ聞きます。
今後ともよろしくお願いいたします。

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