[北海道日本ハムファイターズ観戦日記 2021]11/24 ハムのコーチ人事の裏にあるもの
1週間ほどたってしまいましたが、来季のコーチ人事がようやく発表されました。
【1軍】
■監督 1 新庄剛志 04~06年
■ヘッドコーチ 77 林孝哉 02~04年(アマスカウトから配置転換)
■投手コーチ 89 武田勝 06~16年
■投手コーチ 82 加藤武治 10~11年(2軍同職から配置転換)
■投手コーチ 83 島崎毅 92~98年(2軍同職から配置転換)
■野手総合コーチ兼打撃コーチ 88 金子誠 94~14年(22年から打撃コーチ兼務)
■バッテリーコーチ 72 山田勝彦 03~05年(新任、前阪神2軍バッテリーコーチ)
■内野守備走塁コーチ 78 稲田直人 04~09年(新任)
■外野守備走塁コーチ 76 紺田敏正 03~10年、12年(2軍同職から配置転換)
【2軍】
■監督 92 木田優夫 10~12年(2軍総合兼投手コーチから配置転換)
■投手コーチ 73 多田野数人 08~14年(アマスカウトから配置転換)
■打撃コーチ 90 渡辺浩司 82~97年
■打撃コーチ 74 矢野謙次 15途中~18年
■バッテリーコーチ 75 山中潔 92~94年
■内野守備走塁コーチ 71 飯山裕志 98~17年(1軍内野守備コーチから配置転換、走塁コーチも兼務)
■外野守備走塁コーチ 87 上田佳範 92~05年(1軍同職から配置転換)
■育成コーディネーター兼投手コーチ 84 伊藤剛 99~09年(GM付特命スカウトから配置転換、育成コーディネーターは新設役職)
■育成コーチ 85 川名慎一 89~97年(プロスカウトから配置転換)
どうでしょうか?いかにも地味な人事ですね。ほとんどのコーチがハム球団内部での配置転換で、外部から招いたのは山田コーチと稲田コーチ、そして新庄監督だけ。しかし稲田は現役引退後の指導者経験なし、ハム戦専属の解説者のようなもので、身内みたいなものですし、新庄ももちろん指導者経験は一切なし。唯一阪神等でコーチ経験のある山田さんのみが、他球団での指導者実績のあるコーチです。そういう意味でも話題にしにくい、判断材料が少ない人事です。もちろん地味だから悪いというわけではありませんし、華やかさや知名度はなくてもちゃんと仕事のできる有能な人なら全く問題ありません。我々のような外部のシロウトに彼らの能力を判断する材料はありませんから、そこは球団フロントの眼力を信じるしかありません。
こうした地味なコーチ人事になった理由を各メディアが報じています。日刊スポーツは、全員が現役時代にハムに在籍経験にあるOBであり、いわば挙党一致体制であるとしています。
18日に発表された1、2軍の首脳陣全18人が、球団名が日本ハムとなった74年以降に選手として在籍経験がある球団OB。
さらに興味深いのは、林以外にも現場やNPB以外で指導者として経験がある人材を多く登用している点だ。武田は留任ではあるが、コーチに就任する以前の3年間はBCリーグの石川ミリオンスターズ(来季から日本海オセアンリーグに所属予定)でコーチ、監督だけでなく、フロント業務にも携わった経験を持っている。
新たに二軍監督に就任した木田は、メジャー経験があるだけでなく、現役最後の2年間は石川でプレーしており、引退した後の2015年から4年間はGM補佐という役割でフロント業務も担っていた。また、二軍投手コーチの多田野も木田と同様にメジャーと国内の独立リーグでプレーした経験があり、2018年からの4年間はスカウトを務めている。このほか、育成コーディネーター兼投手コーチの伊藤と育成コーチの川名はスカウトからの転身組だ。
こういった人事の背景には「スカウティングと育成で勝つ」というチーム方針の再確認という意味合いが強い。
重要になってくるのは、選手の輩出スピードのアップであり、そのために現場のコーチ以外の経験を持つ人材を重視したという見方ができる。林は九州担当のスカウトだったが、それでも他のコーチより選手のことをアマチュア時代から理解しており、伊藤もGM付特命スカウトという立場でエリアにとらわれず多くの選手を視察してきた実績がある。また、メジャーや国内の独立リーグを経験したコーチが多いことで、今までにないアイデアが出てくることも期待できるだろう。
21年シーズンは打撃コーチ3人体制だったが、22年は同職の肩書が付くのは野手総合コーチと兼任する金子誠野手総合コーチ(45)のみ(金子コーチに打撃部門の肩書が付くのは、打撃チーフ兼作戦コーチだった19年以来3年ぶり)となった。3人から1人と2人減に見えるが、新庄監督が4日の就任会見で「あなたはGM兼左打者専用の打撃コーチを、ジャージーを着てやってください」と話したように、稲葉篤紀GM(49)も選手にアドバイスを送る役目も任されており、秋季キャンプでも熱心に清宮幸太郎内野手(22)ら若手を指導した。
どうでしょうか? いろいろ理由はこじつけられますが、詰まるところ理由は「コーチ人事にお金をかけられなかった」からではないでしょうか。新庄監督、稲葉GMという高額のギャラが発生しそうな大物を獲得して予算を使い果たしてしまった。おまけに新球場開場を控えてお金はいくらあっても足りない。西川大田秋吉というFA3人組をノンテンダーという名の戦力外で放り出し、小笠原、荒木といったギャラの高そうな外部からの大物コーチのクビを切ってコストカット、後釜はスカウトなど背広組からの人事異動でお茶を濁す。話題性には欠けますが、話題性は新庄ひとりで十分すぎるほどあるから、コーチはいくら地味でも構わない。もしかしたら春季キャンプの臨時コーチなどで名前のある大物を呼ぶかもしれませんが、どうもそんな球団フロントの思惑が透けて見えます。あるいは、実績ある外部コーチを呼ぶ予定があったけど、断られたのかもしれませんね。コーチ人事の発表が異様に遅かったのは、なにか意図があってのことではなく、単純になかなか決まらなかったからでしょう。今回のようにほとんどがハム球団内部での人事異動なら、すぐにでも発表できるはずですし。
なにより驚いたのは、稲葉GMが現場に帯同してコーチ的な役割を果たすから打撃コーチは金子1人でいい、という説です。去年まで3人いた打撃コーチを全員クビにして、守備が専門の金子とGMの稲葉に託す。誰が見たって無理がありますね。だいたいチーム全体をコントロールしなきゃいけないGMをやりながら打撃コーチなんて本当にできるんでしょうか。もし本当に稲葉にコーチとしての役割を与えられているのであれば、GMがコーチ業の片手間にできるような仕事ではないのは明らかであって、要は稲葉のGMという肩書きはただのお飾りに過ぎない、ということでもあります(楽天の石井GM兼監督とは全然事情が違う)。要はこれまでと同じように吉村前GM・現統括本部長が実質的な最高権力者としてハムのフロント業務を独裁的に掌握し、肩書きだけGMの稲葉も、もちろん監督の新庄も、ただの傀儡に過ぎない、ということですね。つまりこれまで栗山英樹が果たしていた役割を今後は稲葉や新庄が果たすにすぎない、ということ。ということは、ハムのさまざまな問題点、中田問題や差別発言問題を引き起こしたハムの病巣は、そっくりそのまま温存された、ということです。
私が心配なのは、稲葉と新庄のコンビネーションです。稲葉ではなく新庄が監督になったのは親会社の強い意向だとも言われていますが、おそらく球団フロントは稲葉監督を諦めておらず、だからこそ稲葉を「コーチ兼GM」なんてミョーな立場でチームに残した。新庄がダメならすぐにでも頭をすげ替えられるように。となると、今後稲葉と新庄の関係は微妙なものになる。栗山が、福良、白井、阿井、小笠原と、自分の地位を脅かしそうなヘッド格のコーチを確執の末ことごとくいびり出してしまったようなことが、稲葉と新庄に起こらないとは言えない。今のところは良好な関係をアピールしてますが、今後どうなってくか。新庄はそんな面倒くさいことになったら真っ先に放り出ししてやめちゃう気もしますが・・・・・。
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