[日本ハムファイターズ観戦記] 栗山監督続投要請の報道を受けて。

昨日の記事で監督の去就問題について言及したら早速こんな報道が。

 まだ報知一紙だけの報道ですが、信憑性は高そうです。

複数の関係者の話を総合すると、昨季までの8年間で日本一1度、リーグ優勝2度、Aクラス5度などの長期にわたる実績、選手に寄り添う育成姿勢などを総合的に評価している模様。
球団最長9年目となった今季は新型コロナウイルスの影響で開幕が3か月遅れた。5月下旬からの約1か月は、本拠地を離れる長期ロードで開幕を迎える調整の難しさもあり、7月中旬には一時最下位に。120試合制の今季では致命的な出遅れとなった。
 弱点を埋めるはずの外国人選手も期待を裏切った。長打力不足解消の鍵と期待されたビヤヌエバは、5月下旬に虫垂炎手術を受けて開幕2軍となると、復帰後も低迷して4本塁打、17打点。3年契約2年目の王柏融も極度の不振で2軍落ちを経験した。新戦力の台頭も少なく、苦しい戦いを強いられた。

 つまり、「長期に渡る実績」「育成姿勢」を評価、今季に関しては「コロナの影響」「長期ロードで開幕を迎え調整が難しかった」「外国人選手が期待外れ」「新戦力の台頭が少なかった」ため、苦しい戦いを強いられた。つまり今年の低迷に本人の責任はなく、全て外部要因が原因だった、という球団の判断のようです。さらにこの部分は笑いました。

指揮官は5位に沈んだ昨季終了後には球団に辞意を申し入れ、慰留の末に翻意した経緯がある。続投となれば10年目となるが、昨季同様に責任を取る覚悟を示す可能性もある。

 「責任をとって辞める可能性」ではなく「責任を取る覚悟を示す可能性」ですからね。去年も監督が進退伺い提出→球団が慰留→留任というやりとりがあっての続投でしたが、今年も同様に、結論が先にありきのミエミエの田舎芝居が繰り返されるであろうということです。さらにデイリースポーツの記事。

球団側は去就について今後の会談などを経て決定する見込みだ。 

 球団が今年限りと考えているなら、あるいは本人が本当に辞めるつもりなら「会談」など必要ない。「辞めてくれ」「辞めます」と通告すれば済むこと。続投のための田舎芝居という「手続き」が必要なので、そのための「会談」ということです。

 さて、私だけでなく、栗山監督ではもうチームの浮上は無理、辞めてほしいと思っているファンは相当数いるはず。ヤフーのコメント欄や球団公式SNSなどにも栗山監督への不満が多く寄せられています。にもかかわらずなぜ球団は続投を決定したか。その最大の理由は東京オリンピックだと思います。

 もしオリンピックが今年普通に行われていれば、それを花道に日本代表監督である稲葉篤紀が退任していたはず。おそらくそれを受けてハム球団は稲葉に監督就任を要請する予定だった。2022年の札幌ドームファイナル興行、そして2023年の新球場開場に向けて、北海道日本ハムファイターズ史上最大のスター選手であり功労者の稲葉が、球団最長政権を更新した名将・栗山からバトンを引き継ぐという筋書きです。栗山監督も、もちろん稲葉も、それは承知していたでしょう。ところがコロナ禍でオリンピックが来年に延期になってしまい、それどころか開催そのものも危ぶまれている状況。稲葉の去就もあやふやになっています。来年開催されるのか再延期なのか、それとも中止か。それがはっきりするのは来年の春ぐらい。つまり今オフに稲葉がハムの監督になることは不可能。そこで、栗山にもう1年やってもらって時間を稼ぎ、オリンピックの件が片付いたら、その時点で稲葉にハム監督就任を要請する。おそらく球団が考えた筋書きは、そのようなものではないでしょうか。つまり稲葉の監督就任は新球場開場が決まってからの既定事項であり、ハム球団にとってはそのストーリーを実現させることが最優先であって、ファンの世論もチームの低迷も関係ない、ということでしょう。

 そしてもうひとつはっきりしたのは、球団は小笠原を次期監督にするつもりなど全くなかったということです。つまり小笠原のヘッド兼打撃コーチ就任は、栗山采配に不満を持つファンのガス抜きに過ぎなかった。実際、私を含めたファンの多くは小笠原復帰に驚喜して、栗山長期政権への不満などすっかり忘れてしまいましたから。今回の栗山続投を受けてファンの不満がまた爆発するでしょうが、そのガス抜きで球団が何を仕掛けてくるのか。たとえば思いもかけぬ大物選手を引っ張ってくるとか、あるいは新庄を復帰させるとか。サプライズがありそうです。注目ですね。

 さて上記の報知の記事にあるように、確かに今季新戦力の台頭は少なかった。しかしそれは正確に言えば「少なかった」ではなく「そもそも使う気がなかった」ということです。以前ここでも指摘しましたが、今季のハムは一、二軍の選手の入れ替えが極端に少なかった。入れ替えは故障者の関係や、不振選手の再調整がほとんどで、ファームで好成績を残して一軍に抜擢されたのは、せいぜい野村と育成上がりの高濱と樋口、投手で吉田輝星と北浦ぐらい。高濱は支配下登録されて即一軍昇格したもののほとんどチャンスを与えられず降格、吉田も北浦もただのお試し登板で、どちらかといえばフロントの意向でしょう。崩壊するブルペンの手当のためにリリーフ投手を新たに抜擢することもなかった。つまり栗山監督は自分がこれと見込んだ選手以外ほとんど興味がなく、使う気もなかった。今年の栗山采配の最大の問題点は、実はこの点にあったと思います。選手起用が固定化し、流動性がない。一旦選手に自分なりのレッテルを貼ってしまうと、それに囚われてしまい、臨機応変の用兵や采配ができない。これではチームが硬直化してしまい、新陳代謝がなくなって、現実の変化に対応できなくなる。これは栗山監督に限らず、長期政権にありがちな弊害です。それを防ぐためにも無用な長期政権は避けるべきであって、来年も栗山監督が指揮をとるようなら、今年と同じような用兵・采配が続く。中田はいつまでも四番だし、杉谷はいつまでも便利屋扱い。監督が代われば選手への見方や評価も一からリフレッシュされ、チームもリフレッシュされるわけですが、どうやらハム球団は、今の態勢をあくまでも維持して自分たちの描いたシナリオを実現させることが何より大切なようです。

 もちろん報知の記事が結果的に誤報となって、栗山監督が退任するという可能性もあります。それがはっきりするまで、ここで次期監督問題について触れるのはやめておこうと思っています。

(追記)

「栗山監督の来季の契約に関しては決まっていない。監督の意向で話し合うのはシーズンが終わってからで、シーズン中は指揮に集中する、と。全ての日程が終了してから話し合うのが監督のスタンスなので、それを尊重して現状は何も決まっていません」
 吉村GMはここまでの栗山監督の手腕については「ノーコメント」とするにとどめたが、「見たとおりの順位。もちろん内容も見ている。チームの実情や編成の責任は勘案しながら、球団としてはいろんなことを含めて検討して、シーズンが終わってから決める」と話した。

 地元北海道の苫小牧駒大の伊藤投手の1位指名を公表した直後のこの報道。上記した通り、球団が辞めさせるつもりなら監督の意向なんて関係ないわけで、やはり続投が基本線っぽい。観測気球っぽい報知の報道の直後の伊藤1位指名の公表。これもまた批判をかわすためのガス抜き、と考えるのはうがち過ぎでしょうか。一方で栗山監督はこんなことを言っています。

 どうやら来季も指揮をとる気満々なようですねw

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