[野球][北海道日本ハムファイターズ観戦日記 2022]10/24 トレード、ドラフト、戦力外、コーチ人事

 最初に触れておきたいのは、渡邊諒、高濱祐仁と阪神・江越大賀外野手、斎藤友貴哉投手の交換トレードです。渡邊・高濱の新天地での活躍を祈念しています。そして江越・斎藤はファイターズの一員として来てくれるなら大歓迎だし、活躍するよう応援したい。それは当然の大前提です。しかし客観的に見れば、今回の交換がハム側にずいぶん損なトレードであることは間違いない。規定打席に2度到達したことがある渡邊、昨年中田の後釜として100試合以上に出場し大器の片鱗を見せた高濱と、年間100試合以上出場したことが一度もなく、この3年は1軍で1本もヒットを打ってない江越、今年20試合に登板し防御率5.01という数字がキャリアハイの斎藤では、まずもって1軍実績が違い過ぎる。といって江越は29歳、斎藤も27歳と、渡邊(27歳)高濱(26歳)と比べて若いわけでもない。渡邊は守備のあまりの雑さが新庄監督に嫌われ、高濱はバッティングフォームを変えて大不振に陥りアピールできず清宮にも水をあけられ、やはり監督に見切られた感がある。どちらも今シーズン後半は完全に干されていましたから、新庄監督が指揮をとる限り1軍でのチャンスはなかったでしょう。その意味で放出はやむを得ないし、彼らにとっては環境が変わってチャンスでもある。もちろんそれは江越や斎藤も同じで、彼らにとっては大きなチャンスですが、はたしてどれぐらい戦力になれるか。守備と走塁は一流・打撃は課題だらけ、というのが江越の評判ですが、なんでも新庄監督が、自分の現役時代によく似ていると興味を持ち、獲得を熱望したことから今回のトレードになったらしい。自分が現役時代苦手だったアンダーハンド投手はほかの選手も苦手だと思い込み、鈴木健矢をアンダーハンドに転向させたこともそうですが、どうも新庄監督は自分が現役だったころの感覚が抜けず、戦略戦術采配育成ファンサービスから何から、その感覚のままやっている気がしてなりません。バリバリの現役のまま突然引退し、その後は海外に移住して野球から離れていたせいか、引退した2006年以降、センスが更新されていないのではないでしょうか。自分の肝いりで入れた選手ですから、江越にも斎藤にもかなりのチャンスを与えるはず。今年1年は「トライアウト」と称して勝敗度外視でお試し起用を続け、来年はスタメンを固定しガチで優勝を狙うと公言してるわけですが、この調子だと来年もトライアウトが続きそうですね。鈴木健矢はたまたまうまく行きました(あるいは、「うまくいくかもしれない」)が、果たして来年30歳の江越を覚醒させることができるか。

 そしてドラフト。先日の記事で即戦力投手ばかりを指名するドラフトになるんじゃないかと書きましたが、意外と即戦力期待の投手は少なめ。支配下で高校生の安西投手、さらにメジャー帰りの加藤内野手と大学生の奈良間内野手も指名しました。むしろ即戦力期待の野手が目立ちますね。加藤選手は28歳になったばかり、ウチでいうと石井一成と同級生で、当然伸びしろや将来性よりも即戦力を期待されます。この選手も新庄監督が獲得を熱望した、と伝えられています。当然チャンスは多く与えられるはず。内外野どこでも守れるユーティリティですが、期待されるのはセカンドでしょう。上川畑と加藤で二遊間をがっちり固められれば、というところ。石井も年齢的に来季定位置を取れないとまずい。石井と加藤のレベルの高い定位置争いを期待したいですね。奈良間も二塁が本職みたいですが、水野・細川といった同年代の若手と競り合って、次の二遊間を担って欲しいという狙いでしょうか。もちろん加藤や石井が期待外れだったときはすかさずポジションを奪うぐらいのつもりでいてほしい。一方投手は金村・宮内という大学・社会人の2人と、育成で独立リーグあがりの2人を指名。金村は先発期待ですが、ほかの3人は今季大きく弱体化したブルペンで、移籍の斎藤と共に戦力になってほしい。ただそれにしても即戦力で使えそうな投手が少ないので、もしかしたらさらにトレードがあるかも。1位の矢澤は二刀流という特殊な育成方針のようで、今のところは様子見ですね。育成指名の山口アタル外野手については未知数すぎてなんとも。

 そして新しく来る選手がいれば戦力外も当然います。金子千尋、谷川昌希、望月大希、片岡奨人、宮田輝星、柿木蓮、上野響平、育成の高山優希、樋口龍之介、難波侑平、長谷川凌汰が戦力外。柿木と上野は育成選手としてオファーするようです。金子については別記事を書くつもりですが、金子以外はいずれも1軍である程度チャンスを与えられての戦力外で、まさしく1年をかけてのトライアウトの結果。よって人事はフロントの専横事項のようでも、監督の意向はある程度入っていると思います。選手本人の心境はわかりませんが、いちファンから見れば仕方ないかな……とある程度は納得がいく顔ぶれじゃないでしょうか。上野と柿木は育成で奮起を期待したいです。特に上野。

そしてハムの選手のポジション別年齢分布がこれ。ドラフト指名年度もわかるようになってます。2年前に作ったものの改訂版です。一目瞭然で、捕手と外野の若手が年齢層的に抜け落ちています。手作業でやったので間違いがあればご指摘ください。小さくて見づらい場合はダウンロードを。

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 そしてコーチ人事もポツポツと情報が入ってきました。金子、武田、上田の3コーチが退団し、建山、森本、そして元阪神の八木が新たに就任。前にも書きましたが、我々ファンに、コーチの能力など知るすべはありません。チームの打撃成績や投手成績、あるいはどんな選手が育ったかによってある程度推測はできますが、数字だけが全てではないし、コーチの指導と選手の努力や素質、そして監督の方針や采配、フロントの態勢、すべてが絡んでくるからです。成績が悪いとついつい「コーチが悪い」と片付けてしまいがちですが、言うまでもなくチーム成績の最終的な責任を負うべきは現場なら監督、球団全体ということならGMや本部長以下フロント幹部です。金子、武田、上田は「チーム不振の責任を感じてやめる」そうですが、それならまず監督が真っ先に責任をとるべきでしょう。まして、今年はトライアウトで勝たなくてもいい、と監督が公言し、フロントがそれを認めているなら、当然コーチがチーム成績の責任を取らされる理由など1ミリもない。ならなぜ彼らは退団するか。新庄監督もしくは球団幹部とソリが合わないから、と考えるのが自然です。もちろん彼らがコーチとして無能で使いものにならないから、なのかもしれませんが、それは前述の通り我々には知る由もない。チーム不振の責任をとって監督ではなくコーチがやめるのは他チームでもよくあることですが、それはなんらかの理由で球団が「監督の責任にしたくないから」です。それが契約上の理由かそれ以外の理由かはケースバイケースでしょうが、ともあれ来年ガチで優勝を狙う、2位も6位も同じ、とまで公言する新庄監督ですから、来年チーム成績が悪ければ潔くやめるのが当然です(よね?)。ならその勝負の年は自分の思い通りに動いてくれる、自分のお気に入りのコーチを部下にしたい、と考えるのはある意味自然なこと。なので新庄と仲良しだった建山や森本、そして新庄と阪神時代の同僚だった八木に声がかかったわけです。これが適材適所の人材を集めた優秀な仕事人集団なのか、監督の茶坊主とイエスマンばかりを集めた馴れ合いお友達人事なのか、その結果は来シーズンが終わる時出ます。


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