[野球][北海道日本ハムファイターズ観戦日記 2022]3/25 2022年シーズン開幕 (追記あり)

 2022年シーズンが開幕。奇襲とも思える新庄采配で、いいところまで粘りましたが、最後はあっさり逆転負け。相手先発が千賀だったので最初から勝ち目が薄かったことは確かで、そういう意味で8回途中までよく頑張ったとは言えるかもしれませんが、負けは負け。悔しいことに変わりない。こうなって見ると先発ローテ候補の加藤と伊藤、明日先発の堀など計7人もの投手を注ぎ込みながら逆転負けしたのは痛い。奇策は弱者の戦術。阪神監督時代の野村克也を思わせる、あの手この手の細かい采配は成功すれば痛快ですが、今日は最終的に力の差を見せつけられてしまいました。特に杉浦と西村、そして獲れた球を後ろにそらしてしまいピンチを広げた水野には苦い経験になりましたね。

 まず先発の北山ですが、オープン戦でも投げたことのない2回47球を投げ無失点。新人が開幕戦でプロ初登板・初先発という、これ以上緊張することはないであろうシチュエーションで、上々すぎる出来です。ストレートの力も変化球のキレも、そしてマウンド度胸も大したもの。今後は抑えなど後ろに回ると思いますが、ファームで長いイニングを投げるトレーニングを積んで先発に回る可能性もあるでしょう。いずれしろ新人王を狙える逸材。大事に使って育ててほしいものです。

 3番手に根本が出てきたのも驚きました。開幕ローテもあるかも、と期待された高卒2年目。今日投げた7人のうち2人がプロの1軍で初登板だったのはもちろん偶然ではなく、開幕戦という最高のハレの舞台を経験して大きく育ってほしいという首脳陣の願いのあらわれでしょう。そして同時に、二軍だろうが新人だろうが若手だろうがチャンスは公平にあるよ、という選手へのメッセージでもあります。上林に死球のあと甲斐に粘られ四球を与えてピンチを迎えるものの、それ以外の打者は全員空振り三振で無失点とは、ポテンシャルを十分に感じさせる内容でした。今後の先発ローテ入りの可能性は十分にありそう。

 今季の先発が予定されているはずの加藤と伊藤が投げたのも興味深い。どちらかはロング・リリーフになるかと思えば、それぞれ1イニング、2イニングのショート・リリーフ。北山が2イニング、加藤か伊藤が5〜6イニング、あるいはそれぞれ3イニングずつ投げて抑えていれば少なくとも8回裏の惨劇は起こらなかったかもしれないわけで、正直この起用はちょっと中途半端に思えました。7人も投手を使えば全員が好調というのはなかなかない。こういう僅差のゲームでは6人が良くても1人がダメというだけで負けに直結する。だからこそいい投手はできるだけ長く投げてもらいたいわけです。それとも2人ともこの3連戦では中継ぎに専念し、来週から先発に回るんでしょうか。

 そしてあしたの先発が予定されている堀を使ったのも驚きました。これもよく意図がわかりません。中継ぎとして1年間コンスタントに働いてもらわねばならないブルペンの柱の投手。無駄な消耗は絶対に避けなければならない。予告先発の投手を使ったということはやむをえぬ登板ではなくあらかじめ連投させることを決めていたわけで、そこにどんな意味があるのか。新人じゃなく実績のある選手だから今さら雰囲気に慣れさせる、ということもない。明日も今日と同様にブルペン総動員のゲームになることは決まっているので、今日投げなかった宮西・井口・池田以外の投手起用はどうなるのか。伊藤や加藤は投げるのか。そのあたりのマネージメントをどうするつもりなのか。謎なことだらけです。

「(継投策は)決まってました。最後は西村君を用意してもらって。ちょっとフォークがかかりすぎて。これは結果論。抑えたらナイスピッチング、打たれたらさあやったるとなればいい」
 継投策は投手コーチを含めて、全員で考えたという。この意図について、「だいぶ前から。緊張感を取りたくて。面白かったでしょ、継投。今日はうまくいかなかったが、1-0でいったら面白かったでしょうし」と笑った。

 勝つためではなく「緊張感があって面白いから」という理由の細切れ継投策。千賀相手では勝ち目が薄いとみての奇襲という意味もあるでしょう。確かに見ている間は(正確に言えば勝っている間は)面白かったですが、こんな使い方をしていたら投手陣が1年間持つわけはない。そんなことは武田投手コーチが何よりもよくわかっているはず。今後の起用法がどうなるのか。中継ぎを酷使せず大事に使い1年間もたせるのが、ハムの投手起用のいいところなので、それは絶対に守ってほしい。

 打つほうに関しては、まあこんなものかなという感じ。千賀の唯一の失投を捉えた石井の一発は、もしかして彼の野球人生の中でも1番じゃないかと思うほど完璧な当たりでしたが、得点はそれだけ。今川を1番、松本を4番、近藤をヌニエスのあとの6番という打線の組み方も意図がわかりませんが、打線の繋がり云々以前に、そもそもたった4安打で勝てるはずもない。ヌニエス、水野と、オープン戦では光っていた新戦力がさっぱりいいところがなかったのは、開幕戦という緊張感ゆえと思いたいところです。万波や今川は全く打てそうな気がしませんが(MXTVの解説の松中は今川のあのバッティングフォームでは打てるわけがない、と断言してました)、当分我慢して使うしかないでしょう。さすがに守備位置は普通に守らせてましたが、オープン戦の間続いていた育成モードの続きがシーズンに入っても続いている感じです。

 ちなみに1回表先頭の今川が3-0から打ってセンターフライに倒れたのを「プロ野球ニュース」の解説の達川はセオリーに反すると大批判してましたが、そもそも新庄監督は今川に普通の1番打者の役割やセオリーなど全く期待していなかったはず(1番に1番らしい働きを求めるなら、今川をあの打順には置かないし、そもそもあの打線は組まない)。せっかくの開幕戦の先頭打者という目立つ打順なんだから、どんなカウントでも打てると思ったら思い切って行け、ぐらいの感じでしょうし、そうするに相応しい選手が淺間や石井ではなく今川だったということ。あのセンターフライが長打にでもなれば逆に称賛されていたはずで、そこらへんの批判は屁でもないでしょうね。

 いずれにしろ新庄監督らしいといえばらしい奇策の連続は実を結びませんでした。新庄に批判的な人からすれば、遊びはオープン戦だけにして、もっと正攻法で戦ってくれと言いたいところでしょうし、今後もこういう戦い方が続いて負けが込むようなら、今は新庄を支持している人も批判に回るでしょう。今年1年は若手を育て、選手の力量を見極める。勝てないまでも観客がハラハラドキドキするような面白い野球をやる。新庄監督の意図は明快ですが、それにファンがいつまで我慢できるか。監督は「この3連戦は遊び」と言って物議を醸してますが、ひとまずカード一回りするまで、新監督のお手並みを拝見したいと思います。ちなみに私は「新庄が監督をやるようなら、1年間は何をやっても我慢する」と決めていますが、さて……

(追記)
https://news.yahoo.co.jp/articles/7568d6e73503370ec348279d3d4202e90227c375

極め付きは、開幕2戦目の26日に先発を控えている昨季パ・リーグ最優秀中継ぎ投手の堀を5番手でマウンドに送った。「こういう経験も、彼にとってはいい勉強になると思う」と、先を見据えた起用だった。

 新庄監督は知らないかもしれないけど、堀は前監督時代、「2試合連続ショートスターターの先発」というイカれた起用に黙って応えた実績があるんですけどね。今更「いい勉強になる」って、何を勉強すればいいのか。周りのコーチは知ってるのになぜ止めなかったのか。あ、武田勝コーチは当時独立リーグにいて知らないとか?

 いくら負けてもいいが、気まぐれな「遊び」でウチの大事な堀くんを使い潰すことだけはやめてくれ…




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