[野球][北海道日本ハムファイターズ観戦日記 2022]10/18 近藤、FA権行使へ。そしてドラフトの行方。

 ここでは早くから予測してましたが、近藤がFA権を行使する意向を固めたようです。行使すればオリックス、ソフトバンク、ロッテなどが獲得に乗り出す模様。GMや監督以下ハムOBがずらりと揃い、強かった時期のハムを思わせるしぶとい野球で連覇を果たしたオリックスか、王者奪還を狙う盟主ソフトバンクか、近藤の地元・千葉のロッテか。

 近藤は2016年の日本一を主力で経験した数少ない選手のひとりです。勝ちの味を知り、どこのチームに行っても主軸を任せられるぐらいの揺るぎない実力と実績を兼ね備えた彼が一番望むのはチームの勝利。もう一度日本一の美酒を味わいたいという気持ちは人一倍強いだろうし、今シーズンも折りに触れて「僕は勝ちたい」と言い続けてきました。そんなのどんな選手でも同じかもしれませんが、これから1軍レギュラーを目指す若手にとってはチームの勝利よりも自分の技術を高め監督に使ってもらうことが大事。近藤とは自ずと立ち位置が違います。

 では今のままのチームで優勝を目指せるかと言えばはなはだ疑問。「優勝なんて目指さない」と公言し、根拠も裏付けもなくセオリーも指標も無視して、ただ自分が目立ちたいだけの奇策を連発。打順も守備位置もスタメン起用もその日の気まぐれでコロコロ変える。そんな監督が「来年はガチで優勝狙うから」なんて言ったところで誰が信用するでしょうか。また新庄監督自身も、揺るぎない実力と実績と人気を持つ近藤を目の上のタンコブと思っている節がある。自分の言うなりになる若手を使い捨ての駒として使って自分の思い通りのチームを作りたいと思ったら、一番邪魔なのは近藤のような選手だからです。近藤も自分の起用法を見て大事にされてないと肌に染みているでしょう。新庄野球と近藤の目指す野球では水と油なのです。

 そしてさらに大きかったのは、昨年オフの西川大田秋吉のノンテンダー放出でしょう。特にすぐ上の先輩で長年チームに貢献してきた功労者である西川をあっさりノンテンダーという美名で戦力外にした球団のやり口に大きなショックを受け、不信感を持ったことは想像に難くない。今はチヤホヤしてくれるが、少しでも成績が落ちたり球団に煙たがられると、あっさり放り出されてしまう。どんなにチームに愛着があっても、どんなに貢献してもノンテンダーかトレードで切り捨てられる。しかも「選手のためを思って」なんてお為ごかしの元に。「明日は我が身」と思うのは当然だし、そんな非情な球団からはさっさと逃げ出して高く売れるうちに自分を大事にしてくれる球団に移籍したいと思うのは当然じゃないでしょうか。

「FAで(他球団に)出る考えもないし、新球場でやりたい気持ちが強い。すんなりと決断できた。獲ってもらった球団で、ここまで育ててもらったので」
――生涯ファイターズ?
 「今後のことは分からないけど、僕はいたいですね。契約が終わってまた契約してもらえるように、この3年は大事になる」

 3年契約を結んだ当時は「生涯ハムで」とまで公言していた近藤の心変わりは、そんな要因が大きいと思います。本当なら新球場でプレーすることを誰よりも待ち望んでいたのは近藤だったはずなのに。今年はファーム落ちがあったためにわずかにFA資格日数に足りなかった加藤や、近藤と同期の上沢も、順調に行けば来年FA権を獲得します。現在の球団態勢が大きく変わらない限り、そして新庄政権が再来年以降も続くようなら、彼らも出て行く可能性が大きい。ただでさえスカウト・育成能力が弱まり、流出の速度に追いつかず衰えが著しいチームがさらに弱体化し、ただ奇をてらいたいだけの新庄采配が、その弱体化を加速させる。

 球団フロント、あるいは日本ハム本社が現在のハムの状況をどう考えているのかわかりませんが、球団トップ以下フロント幹部全員、監督以下コーチ全員を総取っ替えするぐらいしないと、現在の低迷は打破できないと思います。新球場になって球団の収益が改善すれば使えるお金も増えてFA引き留めや補強資金も増えると期待したいところですが、今の態勢のままじゃ何も変わらない。今季の札幌ドームは誰が見ても動員が悪かったですが、あれだけ話題になった新庄監督であっても集客には全く結びつかなかった。新球場になっても最初は物珍しさで客は入るかもしれませんが、今季のような戦いをまた繰り返していたら、早々に飽きられるのは必至です。ましてや来年は近藤がいなくなるのがほぼ確実なんですから。そんな時になって慌てても遅い。

 さて近藤がいなくなるとチームに左のスラッガーと言えるのが清宮ぐらいしかいなくなる。外野も松本・淺間・五十幡とケガがちだし、万波も今川も安定性に欠ける。FAにも参加しないとなると、ドラフトで左打者と外野手の指名は必須です。なので日体大の二刀流・矢澤の一位指名を決めたわけですが、補強ポイントはそれだけじゃない。今年大幅に悪化した投手防御率を見てもわかるように、ダントツの最下位に沈んだ大きな要因のひとつは、投手陣の弱体化です。その責任が武田コーチにあるのか新庄監督にあるのかわかりませんが、ここ最近のドラフトで指名した投手、特に昔は武田久・武田勝・増井・宮西・谷元と機能していた大卒・社会人出の即戦力投手がことごとく期待外れなのを考えれば、とにかく即戦力で使えそうな選手を大量に指名して、「当たり」を期待するしかない。もちろん最下位ですから全ポジションが補強対象ですが、今年に関しては二刀流の矢澤以外の全員が大学・社会人の投手でも不思議はないと思います。もちろんそんな偏った指名は長い目で見てやるべきじゃありませんが、新庄監督の留任の条件が即戦力選手の補強にあったと思われるので、今年に関してはそんな指名もありうると見ています。


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