[北海道日本ハムファイターズ観戦日記 2021] 4/11 対オリックス3連戦

 京セラドームに移っての対オリックス3連戦は2勝1分でした。結果だけ見れば悪くはないですが、3連勝が狙えただけに実に残念です。

 まず第一戦は投手戦。相手先発の山岡はさすがのピッチングでしたが、金子も6 1/3を1失点と先発の役割をきっちり果たしました。7回裏、T-岡田に先制タイムリーを打たれたあとジョーンズに死球を与え降板。私はこの降板は早すぎると思いましたが、案の定代わった西村が頓宮にストレートの四球。これで一死満塁。ファームから上がってきたばかりの西村は、今季は先発転向を目指して練習し、ファームでも先発しかやっていなかったはず。それをこのピンチの場面でいきなりリリーフで使うのはちょっと荷が重かったと思います。西村は打者1人で交代、左の宗のところで今度は堀が登場。投げてみなければわからない堀くんは今日は万全の出来で、宗を三振、続く太田を投ゴロに打ち取って見事な火消しぶり。いつもこれぐらい安定していれば一皮剥けるんですけどね。

 そしてその直後の8回表、相手はメジャー帰りの平野が登板。一死から近藤がヒット、石井が代走に出て、続くスタメン復帰の中田は当たり損ねのゴロがラッキーなフィルダーズ・チョイスで一死1,2塁。続く野村のゴロは併殺崩れで二死1,3塁。そして淺間がレフト線に見事な逆転タイムリー2塁打。平野の6球目、決め球のフォークを掬い上げた技ありの一打でした。あとちょっと低めに来ていたら空振りしていた可能性が高く、紙一重の勝負でしたね。その後は宮西、杉浦が締めて1点差を逃げ切り。ヒーローインタビューはもちろん淺間で、彼のお立ち台はずいぶん久しぶりな気がします。首脳陣の起用に応え、調子が上げてきました。一気にレギュラー定着する大チャンスが訪れています。新人の時の期待度からすれば、遅すぎるぐらいの活躍。ケガに注意して今後もガンガンやってほしい。一方の大ベテラン金子弌大はさすがの安定度。得意のオリックス相手ということもあるでしょうが、今年はやってくれそうな感じです。

 そして2戦目。先発上沢は全体に球が高く、調子に乗りきれないピッチング。6回2失点(自責点1)なら、一応クオリティスタートですが、1回、そして6回と、いずれも得点圏に走者を置き、一塁が空いている状況で吉田正尚相手に勝負して2度とも打たれて失点しているのがなんとももったいない。特に6回は無理して勝負する必要があったのか大いに疑問です。

 一方打つ方は、3回に清水がヒットで出て石井の2ベースで1点(同点)、5回に万波の2ベース(プロ初ヒット)、そして清水のタイムリーで1点(勝ち越し)、そして同点の9回には近藤四球、中田の右方向へのヒットエンドランで無死1,3塁、そしてしばらく当たりが止まっていた野村が3ボール0ストライクから真ん中高めに浮いてきたストレートを見事に弾き返して勝ち越し2ベース。そして淺間、大田が連続犠牲フライでさらに2点を追加するという、ハムとは思えない効率のいい攻め。今季チャンスでなかなか打てず、長打も出なかった野村も、これから調子をどんどん上げてほしいですね。浅い当たりで2塁を陥れ、三塁、本塁とタッチアップも2度決めた走塁も良かった、

 そして最後は連投の杉浦が締めてカード2連勝。9回、一死1塁でT-岡田の右中間の当たりをダイビング・キャッチした淺間の守備が素晴らしかった。

 そして問題の今日の第3戦です。引き分けですが、ハッキリ言って負けに等しい引き分けですね。

 先発加藤は抜群の安定度で8回をわずか1失点。全盛期の武田勝みたいに、少ない球数でテンポよく打たせてとるピッチングは圧巻でした。あれだけリズムがいい投球だと試合の進行が早い。今季のハムの試合はダラダラと長い試合ばかりなので、加藤の投球はずいぶん小気味よく思えました。

 そして1点リードされた7回。それまでほぼ完璧な投球でハム打線を完全に押さえ込んでいた相手先発宮城がさすがに疲れが出たのか、中田渡邊に連続四球で無死1,2塁。ここで樋口が送りバントを試みるも失敗、2走中田が封殺され一死1,2塁。続く万波に代打・松本でしたが、案の定、低めの変化球に手を出して平凡な投ゴロ。万事休すと思いきや、宮城から送球を受けた名手・安達の送球が逸れて1塁セーフで、二死1,3塁。続く清水が、松本が投ゴロに終わったのと同じような変化球(チェンジアップ)を弾き返して、まさかの同点タイムリー。ハムファンの大半は無得点で終わることを覚悟していたでしょうから、これは驚きでした。そして続く石井のところで、なんと代打はファームから上がってきたばかりの郡。今日はスタメンお休みだった近藤も淺間も野村も残っていたのに、この大事な場面で郡です。いくらなんでもこれは無茶やろ……と思っていたら、なんとなんと、郡は左翼フェンスを直撃する2ベースをかっ飛ばし、これで1点勝ち越しです。これも低めのチェンジアップを見事に振り抜いたもので、郡の思いきりのいいバッティングが光りました。これで郡はプロ初打点です。

 しかしもし松本の当たりが併殺で終わっていれば、この回は無得点だったわけで、そうすると無死1,2塁の場面で中田に代走を送らず、慣れない樋口にバントさせ失敗、続く万波に代打松本というチグハグすぎる栗山采配が大きな批判を浴びていたことは間違いなかったでしょう。バントをさせるなら樋口にピンチ・バンター(中島か谷内あたり)を送るべきだし、2塁走者中田にも代走(中島か松本あたり)を送るべきだった。もし万波に代打を送るとしても、野村が残っていた。つまりこの回だけで3つも采配ミスを犯しているわけで、それが結果オーライになったのは、安達がたまたま送球エラーしてくれたから、たまたま清水が打ってくれたから、そしてたまたま相手ベンチが宮城に未練を持ちすぎて交代機を逸してくれたからに過ぎません。このあたりのミス合戦はさすがに最下位攻防戦という感じでしたね。

 しかし清水・郡という若手の活躍で、難攻不落と思われた宮城を攻略し逆転して、流れはハムです。続く7回裏を加藤があっさり3者凡退、8回表は、これもファームから上がってきた今季初スタメンの高濱が、相手リリーフ能見からプロ1号、そしてこの日いいところのなかった樋口もタイムリーを打って2点を追加して4-1。またも若手の活躍が光ります。

 この日、近藤・淺間・野村は休養日。さらにベテラン宮西は3連投中、肩に不安がある杉浦も2連投中で、今日は投げさせたくないという事情があり、試合進行上はかなり不利だったはずですが、それでも若手の活躍で宮西を使わず3点リードで最終回。セーブシチュエーションですが、杉浦ではなくここのところ調子を上げてきた玉井をマウンドに送るも、玉井はまさかの乱調で3点差を追いつかれてしまいます。そしてこの回も案の定、致命的な守備ミスと采配ミスがありました。まず一死1塁の場面で山足を狙い通り投ゴロに打ち取り、玉井が併殺を狙って2塁に送球するものの、ショート中島とセカンド渡邊が同時にセカンドに入ろうとして交錯するという、草野球でも見ないような凡ミス。なんとか中島が捕球して2塁はアウトになりますが体勢を崩してしまい併殺がとれず、二死ランナーなしだったはずが1塁にランナーが残る。続く打者に繋がれ二死1,3塁となってT-岡田にタイムリーを打たれたわけですが、この時点で玉井は球がことごとく高めに浮き、かなり危なっかしい状態でした。まだ2点差はあったものの、ここは交代すべきだったと思います。しかしベンチは続投を選び、二死1,3塁から4球目の変化球が、ベースかなり手前でワンバウンドする暴投となり1塁走者が2塁に進塁。2,3塁となったことで同点を防ぐため外野が極端な前進守備となった。そして宗の当たりは前進守備の大田の頭上をわずかに越える同点タイムリー3ベースとなってしまったのでした。つまり7回のハムの攻撃が相手の守備ミスと采配ミスに助けられたのに対して、9回のオリックスの攻撃はハムの守備ミス2つ、采配ミス1つに助けられたということです。最後、二死3塁となり一打サヨナラの場面で井口が出てきてなんとか抑えて同点で済んだわけですが、最終回に3点とられて同点に持ち込まれるとは実質負けと同じ。この3連戦のいい流れが一気に吹き飛ぶような最悪の幕切れでした。

 もちろんこの3連戦、収穫も多かった。先発投手が金子、上沢、加藤、いずれもクオリティスタートで、試合を作ってくれた。そして、ソフトバンク戦に最悪の投球で試合をぶち壊した宮西が意地を見せ、いい投球を披露してくれた。このオリックス戦次第では最悪、宮西の後釜を考えなければならないところでしたが、当分は大丈夫そうです。そして若手打者の活躍。この3連戦のハムの総得点は11ですが、打点は淺間が3,清水が2,樋口、高濱、野村、郡、そして石井と大田がそれぞれ1。大田以外はまだポジション争いのまっただ中にある若手ばかりというのが象徴的です。中田の懲罰交代→右目の青タン以来、ちょっとチームの流れが変わった感があり、鎌ケ谷から上がってきた高濱、郡、そして万波がことごとく活躍したのが非常に大きい。おまけに守備難をこの欄で何度も指摘してきた西川がついにセンターを外れ、代わってセンターに入った淺間が攻守にわたって活躍したのも、世代交代を強く印象づける結果となりました。中田、西川、中島、大田、近藤……といった中堅〜ベテラン選手たちがあまりにも固定されすぎてチーム全体が目詰まりを起こし、新陳代謝を欠いていたのがここ数年のファイターズだったわけですが、彼らが30歳前後を迎えて衰えを見せ始め、代わって若手がタイミングよく台頭し始めた。もちろん中田らはまだまだ重要な戦力ですし、1年を通して見ればまだ彼らのほうが成績を残すかもしれないですが、栗山監督はこの流れをせき止めるようなことは絶対しないで欲しい。あとはファームにくすぶっている清宮や新人の五十幡あたりが万全の調子で上がってくれば、さらに競争が激化する。こういう世代交代期にあるチームの指揮官は、どこかで大きな決断を下し、ベテランから若手に切り替えねばならない。今がその時期です。西川のセンターからレフトへの配置転換に関して栗山監督は「守備の負担を減らし打撃に集中してほしい」とマスコミには説明していましたが(おそらく本人にも)、もちろんこれは西川のプライドを考えた栗山監督らしい配慮でしょう。かつてドラゴンズで、チームの象徴である立浪をサードの定位置から外し、森野を起用したのは、立浪の守備の衰えを見た落合監督の英断だったらしい。落合監督はその理由を立浪に説明することはなかったらしいですが、この非情さは落合監督だからできること。栗山監督は栗山監督らしく、選手の気持ちを考えて、しかし決断すべき時は決断してほしい。

 そんなわけで、チームにとって大きな転機となるかもしれないこの3連戦。3連勝で飾れれば勢いに乗って続く西武戦を迎えられそうでしたが、お決まりのミスの連続で、なんとも言えない結果になってしまいました。火曜からの西武3連戦の先発は池田〜伊藤〜河野でしょう。実績のある中堅やベテランばかりが先発だったこの三連戦に対して、まだ実績のほとんどない若手や新人の投手ばかり。でも若手台頭のこの流れになんとか乗ってほしいものです。


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