[野球][北海道日本ハムファイターズ観戦日記 2022]3/27 おためし期間終了?

 開幕3連戦は3連敗。結果だけ見れば最悪ですし、ホークスとの力の差を思い知らされたとも言えるし、「楽しんでやる」新庄野球の破綻と限界を示したとも言える。既にネット上では賛否両論、というか批判の声のほうが大きくなっています。「この3連戦は遊び」という監督の発言を受けて「ほんとに遊んでどうする」という批判は無理もない。

 しかし私が感じたのは、新庄監督にとって開幕の3試合は「おためし期間」だったのだな、ということです。一軍登録の全投手を一回は登板させ、すべての野手は一度はスタメン出場させ打席も与えた。つまり使える選手は誰か、打順・登板順、守備位置など適材適所はどうか。それを見定めるための3日間だったのではないか。勝ちに行ってない、というと語弊があるかもしれませんが、少なくとも勝つために臨機応変にあらゆる策を講じていたようには見えない。投手は最初から登板順、イニング数など予め決めていたんじゃないか。今日の5回表にハムが逆転したあとの裏、それまで踏ん張っていた吉田をあっさり降板させ池田をマウンドに上げた時、それを確信しました。5回表に勝ち越し。普通なら裏も先発投手を続投させ勝ち投手の権利を取るまで投げさせると思いますが、4回でスパッと替えた。そして5回裏に再逆転され、なおも柳田を四球で歩かせた場面。どうしても勝ちたいなら、フラフラだった池田を降ろして井口なり西村なりを投げさせるところですが、池田は続投。つまり試合展開に関係なく吉田は4回まで、池田は5回を最後まで投げさせると最初から決めていたんじゃないか。考えてみれば初戦も、1点リードを守ってなんとしても逃げ切ろうという強い意志をあまり感じなかったのが不可解だったんですが、最初からの決めごとだったと考えれば腑に落ちる。この3連戦で,投手が回途中で交代になったのは、初戦8回の杉浦→西村の交代だけです。さすがにあの場面、目の前まで勝利がぶらさがってる場面では普通に投手交代をした、ということでしょう。結果は最悪でしたが。

 結局投手で2回登板したのは堀と杉浦だけ。めちゃくちゃな起用に見えて酷使は全然してない。野手で3試合ともスタメン出場したのは近藤とヌニエスだけです。もちろん同じ打順で3試合スタメン出場した選手もいない。好調な選手、力のある選手を使うのではなく、とにかく全選手にチャンスを与え、そこでどんなプレーをするか見定める。キャンプの時監督は投手陣に対して「福岡ドームのマウンドをイメージして練習してくれ」と言ってました。なぜ札幌ドームじゃないんだと訝しく思いましたが、あの時から新庄監督は福岡ドームでの開幕3連戦を「おためし」にすると決めていたんじゃないか。その「おためし期間」を新庄は「遊ぶ」と表現したわけで、そりゃ誤解もされるわな、という。

 そんな「おためし」なんてシーズンが始まる前にやっておけ、という批判はごもっとも。しかし新庄はたぶんキャンプやオープン戦では選手の力量は判断できないと思ったんじゃないか。ペナントレース本番の真剣勝負の場、プレッシャーのかかる開幕カードでどんなプレーをするかでその選手の真の力量や適性を図れると考えたんじゃないか。だからこそ開幕3連戦をあえて捨てゲームにして、「おためし期間」とした。それが正しいやり方かどうか。もちろん新監督は誰でも1年目はチームの戦力の見極めを第一にするはずですが、同時にプロの監督は「勝つ」ことも求められるので、無理だと思っても「優勝を目指す」と言い、シーズンが始まったら「戦力の見極め」と「勝つ」ことのバランスを取ることに配慮するのが普通です。新庄監督みたいに一番注目される開幕3連戦を捨てておためしにするなんて、普通はできない。

 ともあれこれで3つの借金を背負ってしまったことは確かだし、それを挽回するのは大変ですが、まだシーズンは始まったばかりです。監督は「今年1年はトライアウト」と表現し、選手の力量を見極めるシーズンと位置づけているわけで、今後も広い意味での「おためし」は続くでしょうが、さすがに今回の3連戦のような極端な起用はこれが最後で、来週以降はある程度勝ちにこだわった采配も見せるはず。そのバランスがうまくいけば、面白いシーズンになるでしょう。

 もちろんこの見方が正しいかはわからない。新庄監督自身が明かさない限り真相が明らかになることはないでしょう。でも監督はこの3連戦で全投手・全野手の力をある程度見極めたという手応えを得たはずです。開幕前まで絶不調だった清宮と万波が復調のきっかけを掴んだ。新外人2人もある程度結果を残し日本への対応力を示した。北山・根本・長谷川・望月ら新しい投手たちも結果を残した。もちろん結果を出せなかった選手もいますが、今回のおためし期間を経て次の札幌ドーム開幕3連戦では、ある程度決め込んだ選手起用を見せるはず。もちろんまだ登板のない上沢も含め、先発にはきっちり長いイニングを任せ、野手は繋がりを考えた打順で、1番打てそうな打者を使うはずです。

 今日の収穫は、もちろん久々のヒットが見事な同点2ランとなった万波。その前に好返球でヒットのグラシアルを2塁で刺したファインプレーもあって、少し気持ちもラクになってたんじゃないでしょうか。同じように苦しんでいた清宮ともども、札幌ドームに戻ってどんなプレーを見せてくれるか楽しみです。ヌニエスもタイムリーと長打が出ましたね。全体に見れば打線は絶好調とは言いがたいし、投手陣もいい選手と悪い選手がはっきりしていて、今後の起用法をどうするか。いろいろと楽しみになってきました。

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