[野球][北海道日本ハムファイターズ観戦日記 2022]4/10 打つべき人が打って勝った

 最後の近藤のサヨナラ打。一塁が空いているのに近藤で勝負にきた松井は、相手の意表をつくカーブを投げてきました。ボールになってもいいし、あわよくば見逃し三振になってくれれば、と考えての一投だと思いますが、中途半端な高さに甘く行ってしまい、それを近藤が見逃さなかった。さすが近藤としか言いようがない一打でしたが、それまでチャンスで凡退を繰り返し、らしくない姿を見せていただけに、最後の最後に打てたのはチームにとっても近藤にとっても本当に良かったです。打順が一定せす慣れないセンターを守らされ、特に理由もなくスタメン落ちさせられ、不規則な起用に調子を崩しかけているように見えただけに、この一打で本来の姿を取り戻してくれれば。

 今日は監督ではなくコーチが決めたスタメンということで、開幕以来初めてと言っていいぐらいまともな打順でした。その普通の打順で普通に打線がつながり、散発的なソロHRではなく、いずれもタイムリーで全得点を叩き出した意味は非常に大きい。まっとうな打線を組めば普通にチャンスで主砲に打順が回ってくる。近藤、清宮、アルカンタラと、クリーンナップの3人に打点がついたのはもちろん偶然ではなく、打線が機能した証拠です。1,2番が出塁してクリーンナップが還す。野球はそういう風に出来ているし、そうなるように最適化するのが打線を組むということなんですね。ハムはそういう基本から外れるような打線を開幕から組んでいたから、得点力が低かった。全球全打席フルスイングするような指示を出しているから時々思いだしたようにHRは出るが、すべてソロHRだから続かないしチームに勢いもつかない。

 また今日はアルカンタラに守備固めで石井、ヌニエスに代走で細川が出たほかは、スタメンを最後まで変えなかったのも良かった。こういうロースコアの接戦では、ヘタに選手を代えて流れが変わってしまうのが怖い。9回裏のサヨナラのチャンスで上野に代打を出さずそのまま打たせたのは意外でしたが、あれも良かった。結果は凡退でも、上野にとってはとても貴重な経験となったはず。ハムのショート候補で守備力はピカイチ。石井や細川や水野よりもはるかに安定しています。もし上野がコンスタントに2割5分打てるようになれば、即レギュラーは決まりです。これからいろんな経験を積んで、リーグを代表するショートになってほしい。

 今日の試合の勝負の分かれ目のひとつめは、4回裏のハムの攻撃と、直後の5回表の楽天の攻撃だと思います。4回裏、清宮のセンターオーバーのタイムリー2塁打で先制。なおも一死二塁でアルカンタラという場面で清宮が牽制アウトとなり一瞬でチャンスは潰えてしまいます。これはハムに傾いていた流れを断ち切ってしまうようなボーンヘッドで、案の定、上沢が直後の先頭打者を歩かせて、二死満塁の大ピンチを招いてしまいます。並みの投手なら相手に傾いた流れを止めることができずに失点、というパタンでしょう。上沢はそれまでも変化球もストレートもことごとく高めに浮いて、いつ崩れてもおかしくなかった。ですが満塁で迎えた山﨑の打席、最後の最後に低めのいいところに変化球が決まって、なんとかピンチを切り抜けた。さすがエースというピッチングだったし、ここで無失点に抑えたのは非常に大きかった。でもこういうピンチを招いてしまったのは清宮のボーンヘッドがもたらした悪い流れとも言えるわけで、走塁ミスひとつで試合の流れが左右されかねない、という意味で非常に大きな教訓になったと思います。ここのところハムの走塁ミスが非常に目立ちますが、清宮、そして今日2回にやはり牽制アウトになった野村は大反省してほしい。

 もうひとつの勝負の分かれ目は同点に追いつかれた7回表。投手はこの回から上原。ヒット、四球、バントヒットで無死満塁となり、なんとかひとり抑えたもののまたも西川に同点タイムリーを打たれてしまいます。この時点で大量失点を覚悟しましたが、しかしそこから上原が立ち直り後続を断ち切って同点で留めたのも大きかった。決して褒められたピッチングではありませんでしたが、上原のあの踏ん張りは大きかった。

 しかしなぜあそこで上原だったんでしょうか。2点リードしての7回。終盤に入って、勝ちパターン継投で逃げ切りを図る場面です。ですが中4日の上沢は5回まで97球も投げていて、おそらくは予定より1イニング早く、6回から継投に入らざるをえなかった。上沢が6回まで投げてくれれば7回玉井、8回堀、9回北山で、何事もなく2-0で終わっていた可能性は大きい。しかし上沢が予定より早く降板してしまったので、7回を投げる投手が必要になった。宮西は昨日の今日で使いにくい。杉浦は開幕から危なっかしい投球が続いていて、とても僅差の試合は任せられない。古川も勝ちパターンで投げるほどの信頼感はない。となると残るのは吉田輝星か上原しかいなかった。左が続く打順で左の上原を投げさせたものの、昔から投げてみないとわからないのが上原で、たぶん首脳陣は祈るような気持ちで送り出したら案の定……という感じじゃないでしょうか。解説の建山も言ってましたが、いつも立ち上がりが悪い上原は中継ぎ向きではない。でもそんな上原でも頼りにしなきゃいけないほど、ブルペン事情は切迫している。考えてみれば開幕から昨日まで2勝しかしてないんだから、勝ちパタン継投なんて何も確立してないわけで、これから6回〜9回をしっかり任せられる投手を作っていかなきゃいけない。結果的に今日のハムは逃げ切りに失敗して、最後になんとか打線が奮起して勝ちを拾っただけで、万全な勝利などというものとはほど遠かった。開幕から変則的な起用が続いて投手陣も調整が大変だと思いますが、はやく立て直してほしいと思います。

 それにしても西川。ピンチで打席に迎えてこんなにイヤな打者はいないですね! この3連戦ではいいように打たれてましたが、早く対策を考えてください。

 

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