[日本ハムファイターズ観戦記] 来季ファイターズの戦いに向けて (その2)ドラフト会議で指名すべきは?


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 いよいよドラフト会議が10/26に迫ってきました。FA戦線に参入しない以上、日本ハムのチーム力の根幹を作るのは、やはりドラフトです。過去のエントリーで、現在のチームの問題点を私なりに整理してみましたが、

 これらを踏まえたうえで、現在のチームに足りないもの、弱いところ、また近い将来不安な部分などを挙げてみます。

1)ブルペンの整備
 昨年の守護神秋吉が防御率6.21 と大不振でクローザー失格、代役でクローザーを務めている宮西もセットアッパー時ほどの安定感がなくそろそろ年齢的な衰えも見えてくるころ、玉井や公文は愚策ショートスターターの影響で酷使され昨年ほどの出来になく、堀は伸び悩み、西村も井口もピリッとせず、福田や鈴木健矢はまだ経験不足、生田目に至っては一軍でまともなピッティングを一度も披露していない。そして本来ならクローザーを務めなければならない石川直也はトミージョン手術で来季絶望、ロドリゲスも故障で復帰の目処も立っていない。今季のチーム防御率3.93(リーグ2位)先発防御率 3.85(リーグ2位)に対して、救援防御率は4.06(リーグ4位)と、かなり悪い。ゲーム終盤に中継ぎや抑えが打たれて無様な逆転負けを食らうケースが目立つ今、ブルペンの整備は喫緊の課題です。特にクローザーが不在だとどうしても戦いが不安定になる。ハムは昔からブルペン依存度が高いチームなので、今の状態で上を目指すのは極めて難しいでしょう。

2)正捕手の不在
 今年は主に清水と宇佐見の併用、ときどき石川亮や鶴岡がマスクをかぶる態勢で凌いできましたが、課題は山積み。キャッチングや肩、リードといった捕手としての基本的な能力もさることながら、清水も宇佐見も石川亮も、最大の課題はとにかくからっきし打てないこと。コーチ兼任で現役晩年の鶴岡が未だにバッティングに関しては一番期待できるというのは問題です。チームのポジション別攻撃力を見ても、ファイターズの捕手はダントツのリーグワーストで、打線の足を大きく引っ張っています。本来は正捕手に一番近いはずの清水はときおりパワー・ヒッターの片鱗を見せますが、とにかく確実性に欠けるし、テンパると頭に血が上ってとんでもない悪送球をしたり、リードが単調になったりする。そもそも打力を買われて巨人から来たはずの宇佐見も大きく期待外れ。来年で28歳になる点からも、この先どれほど伸びしろがあるか不透明。といって郡や田宮、梅林といった若い捕手はまだまだ経験も実力も不足しています。

3)西川の守備
 ここで何度も書いてきたように、ハムの外野は万全なようで、実はかなり危機的状況です。それは西川のセンター守備が主な原因。肩の衰えはもはや現役晩年のラミレスや金本なみ。2塁にランナーがいてセンターにヒットが飛ぶと、相手チームはどんどん回してきて、どんなに前進守備を敷いていてもオールセーフになってしまうし、無死一死で三塁にランナーがいる時のセンターフライでも同様です。またそれをカバーすべき守備範囲の広さ(UZR)も、ここ2年ぐらいで大きく悪化、ダントツのリーグワーストです。それでも栗山監督は西川のプライドに配慮してか決してセンターからはずそうとしませんが、少なくとも守備指標を見れば西川にもはやセンターが務まらないのは明らか。その代わり走塁は相変わらずリーグ最高レベルですし、バッティングや出塁率も過去最高と言っていいほど充実していて使い方が悩ましいですが、守備を考えるなら西川はレフトかファースト、DHしかない。となると後釜となるセンターを誰にするかという問題になります。現状では松本、杉谷、淺間といったあたりが候補ですが、どれも西川の後釜とするには荷が重すぎる。淺間は素質的には西川を上回るものがあると思いますが、相次ぐケガで現状では完全な頭打ちです。
 また、そもそも西川は去年のオフにメジャー挑戦を表明しており球団も後押しする意向を示していて、早ければ今オフにポスティングでメジャーに行く可能性があります。いずれにしろ西川の後釜の育成は待ったなしの状況なのです。

4)走塁の弱体化
 ハムのチーム盗塁数はリーグ5位の56。リーグ1〜3位のオリックス、ロッテ、ソフトバンクと20ぐらい差があります。内訳を見ても56のうち29が西川で、2位の中島は出場機会を大きく減らしていることもあってわずか7。つまり今のラインナップから西川が抜けるようだと、さらに大幅に盗塁が減る。広い札幌ドームを本拠地にしているのに、それを活かすような戦い方をしているとは思えない。それをカバーすべく、去年のドラフト下位で片岡、育成で宮田という俊足選手を獲っていますが、ファームでもせいぜい宮田が少し目立っている程度です。何度も指摘したことですが、現在一軍に走塁コーチがいないことが、ハム球団の走塁軽視の姿勢をよく表しています。

5) 守備の弱体化
 これも何度も指摘してることですし、ファンならそれを痛感してるでしょう。これは基本的に猛練習で技術を鍛えるしかありませんが、たとえば西武が源田という守備の要となる選手を1人獲得しただけで大きくチームが変わった例もあり、特にセンターラインの守備強化は必須でしょう。

 以上のことを踏まえながら、来季の基本的なスタメン候補を挙げてみます

捕手)清水、宇佐見、郡(鶴岡)
一塁)中田、清宮
二塁)渡邊、樋口
三塁)野村、樋口
遊撃)平沼、中島
右翼)大田、淺間、松本
中堅)淺間、松本(西川)
左翼)近藤、淺間、松本(西川)

そして先発ラインナップ
(有原)
上沢
杉浦
上原
バーヘイゲン
(マルチネス)
(金子)
(加藤)
(ロドリゲス)
河野、吉田輝星、北浦(立野)

有原も西川同様、メジャー挑戦を表明しています。今季の不安定なピッチングは胸を張って行けるような成績ではないので、もしかしたら残留するかもしれませんが、いずれにしろ近い将来、有原はチームを去る可能性が高い。またマルチネスも、今季の成績ではよほど年俸等の条件を落とさないと契約更改は難しいかもしれません。そうなるとある程度計算できるローテ投手が4人しかいないことになる。加藤、金子、ロドリゲスは1年ローテを守るほどの安定感は望めないので、河野、北浦、吉田、あるいは立野や田中瑛斗のうち最低2人は一軍でモノになってくれないともらわない困ることになる。

ブルペンのラインナップ
宮西、堀、玉井、公文、西村、井口、村田、鈴木健矢、福田、秋吉(ロドリゲス)(金子)

 こっちは先発以上に流動的です。ブルペンの弱体化が顕著な今、ブルペンを担う投手はいくらいても多すぎるということはなく、人材は多いに越したことはありません。

 以上のようなことを踏まえて、ドラフトで優先的に補強すべきポジションを挙げてみます。

1)クローザー候補となる即戦力候補の投手
 かつてのDeNA山崎並み、とまでは言いませんが、9回を任せられる力のあるハートの強い、ドラフト1位クラスの大物即戦力投手の補強が最優先と考えます。私はアマチュア選手には詳しくありませんが、地元北海道出身の苫小牧駒大・伊藤大海投手がクローザー候補として1位指名にふさわしそうです。伊藤は先発でも力を発揮するようなので、有原が抜けたあとのローテ候補もありうるでしょう。ほかに大学社会人の中継ぎ候補をドラフト下位で。

2)打撃のいい即戦力捕手
 清水に危機感を持たせるためにも、大学・社会人出の即戦力捕手、それも打撃がいい選手を2位〜3位指名ぐらいで。去年のロッテの佐藤都志也捕手みたいな選手なら言うことなし。

3)一番センターを担える俊足好守の即戦力外野手
 西川がチームに残っても残らなくても、センターの後釜は絶対必要。中央大の五十幡亮汰選手が、俊足・好守・強肩で、西川の後釜にぴったりなようです。糸井の後輩にあたる近大の佐藤輝明選手も三拍子揃った強打で評判ですが、両選手ともドラフト1位で消えてしまいそうなので、伊藤投手とどっちを1位指名すべきか悩みどころです。もし五十幡選手や佐藤選手が指名できなくても、俊足好守の外野手は必要でしょう。また大田がFAで来年流出してしまう可能性もゼロではなく、近藤も来年で28歳と若手とは言いがたい。身体能力の優れた将来性豊かな高校生外野手を1〜2人ほしいところ。ちょっと伸び悩んでいる万波の刺激になるような若手がほしい。

4)守備の固い即戦力内野手
 内野手は、いろいろ課題はあれど、実は育てるべき若手ははっきりしています。一塁=清宮 二塁=渡邊 三塁=野村 遊撃=平沼。さらにバックアップとして樋口。みな打撃はともかく守備が心もとないので、もう1人守備型の内野手が欲しい。これは石井一成に期待していた部分でもありますが、あまりにもポカが多すぎ、ちょっと野球を舐めているところもあり、私は戦力として当てにしていません。ここはフロントがどう考えるかでしょう。守備型の内野手というなら谷内で十分すぎるほどですが、もう29歳。できれば渡邊や野村や平沼もうかうかしていられないぐらいのポテンシャルと若さがある、つまりは競争相手となる選手をドラフト中位〜下位でとれれば万全です。しかしこのあたりはトレードでなんとかなりそうではあるので、最優先ではありません。

5)先発投手
 先発投手は、どちらかといえば即戦力よりも、素材型の高校生投手を2人ぐらいほしいですね。若手に将来のチームを支えるスケール感のある投手が少ないので。

 去年のドラフトは高校生が1人だけ(内野手の上野)、残りはすべて大学・社会人ばかりという、それまでのハムとは全く違う傾向の指名でしたが、これは(たぶん)今季限りで退任する栗山監督に花道を飾らせるために即戦力投手ばかりを獲った、いわば忖度ドラフトだった疑いが濃厚です。監督は常にすぐ結果が欲しいから、即戦力選手を欲しがるのが当たり前。でも本来ドラフトはフロント・編成のものです。今年もそうした現場の意見を優先し目先の結果ばかり求めたドラフトをやっているようでは、チームが先細りになりスケールが小さくなるのは必定。全般的にハムの育成システムが目詰まりを起こして機能しなくなっているのは確かなので、即戦力選手はある程度必要ですが、そこはバランスでしょう。


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