[野球][北海道日本ハムファイターズ観戦記2023] 2023年ドラフト

 ここではご無沙汰しておりました。山本由伸、まさかの7失点KOのショックのままこれを書いております。

 さて先日ドラフト会議がおこなわれ、ハムは支配下で5人、育成で3人の選手を指名しました。

<支配下>
X 西舘勇陽(投手/中央大学)
X 前田悠伍(投手/大阪桐蔭高)
1位 細野晴希(投手/東洋大学)左投げ左打ち
2位 進藤勇也(捕手/上武大学)右投げ右打ち
3位 宮崎一樹(外野手/山梨学院大学)右投げ右打ち
4位 明瀬諒介(内野手/鹿児島城西高)右投げ右打ち
5位 星野ひので(外野手/前橋工高)右投げ右打ち

<育成>
1位 濵田泰希(内野手/京都国際高)右投げ右打ち
2位 平田大樹(外野手/瀬田工高)右投げ左打ち
3位 加藤大和(投手/帝京大可児高)左投げ左打ち

▽日本ハム大渕GM補佐兼スカウト部長 予定どおり。1位の細野投手に関しては稲葉GMが非常に興味を持っていたので、それが通じて良かった。2度、抽選に外れたが、十分に補えている満足できるドラフトだった。野手が足りないので、ポジションにかかわらず多めに指名すると事前に決めていた。結果として、身長180センチ以下がいない。スケール感のある野手をそろえられた。


 上沢のポスティング、加藤のFAで左右先発の柱が2本流出の危機ということで、即戦力投手数人の指名は必至と思われましたが、本指名5人のうち投手は1人だけ、育成を含めても2人だけという意外な結果。つまり完全に野手中心のドラフトだったわけです。これに先日契約を発表した台湾の18歳大型右腕スン・イーレイを入れても、投手の新戦力はたった3名。細野は一応即戦力候補ですが、スケールの大きさは誰もが認めるものの、どちらかと言えば素材型と評価されている模様。この結果をどう見るかでハムのドラフトへの評価は大きく分かれそうですが、大渕スカウト部長のコメントを信じるなら、これは球団の事前の想定通りということになる。即戦力投手の指名が少なかったのは加藤残留で話がついてるのか、スンが即戦力級なのか、それともほかに大物投手(おそらく外人)獲得の目処がたってるのか? あるいは来年は諦め、再来年以降を考えているのか?

 今回の指名選手のうち細野、進藤、宮崎、明瀬、育成の平田は今出ている『野球太郎』誌にインタビューが掲載されていますね。

1位:細野晴希
◇スカウトコメント
「今夏の高校日本代表対大学日本代表戦で、アマチュア球界の左腕として最速の158km/hをマーク。ゆったりとしたフォームから150キロ前後の速球を立て続けに投げ込める。今春リーグ戦では気迫十分の好投を続け、チームを1部復帰に導くなどエースとしての資質も持つ。制球力にさらに磨きがかかれば、突出した存在になりうる世代屈指の剛腕」

 1位の細野は競合必至と見られていたので外れ外れ1位で獲れるとは意外でした。ですが個人的にはぜひ欲しいと思っていたのでクジを2回外してむしろ良かったと思っています。タマの威力とスケールの大きさは今年NO.1との評価。コントロール難を言われますが、プロの食事管理とトレーニングで下半身が安定すれば大丈夫なはず。「野球太郎」が描く将来像は菊池雄星とのこと。

2位:進藤勇也
◇スカウトコメント
「大学日本代表の司令塔を務めた世代ナンバーワン捕手。大学3年の昨年に続き今年も日本代表の正捕手として貢献。上武大では2年で正捕手の座をつかみ、全日本選手権での躍進の原動力となった。打者の反応をみながらの巧みなリード、正確なスローイング、キャッチング、ブロッキングと必要な資質を高いレベルで兼備する。近未来の正捕手候補と言える逸材」

 2位が大学生捕手の進藤という指名も意外でした。現状では古川・梅林・郡・清水・郡司と20代半ば〜後半に正捕手候補が轡を並べているわけですが、彼らは見切りをつけられた可能性があります。特に進藤の大学の3年先輩・古川は完全に尻に火がついているでしょう。もしかしたら名前を挙げた選手のうち何人かはコンバートやトレードの可能性があるかもしれません。進藤は今シーズン終盤に良いところを見せた同年代の田宮と競わせるのでしょう。1位指名の細野と代表試合でバッテリーを組み好相性だったという話もあって、次代の大型バッテリーとしてセットで売り出したいのかも。ソフトバンクの甲斐に近い強肩の守備型捕手で打撃には課題が多そうですが、各球団の外れ1位候補とも言われた世代NO.1捕手、うまくハマれば当分の間は扇の要に悩まずに済みそう。

3位:宮崎一樹
◇スカウトコメント
「走攻守のバランスがそろった大型外野手。飛ばす能力が魅力でスイングスピードも速い。高校時代は目立った活躍はなかったものの、大学で頭角を現し、ベストナインや最多盗塁賞も獲得。大学日本代表候補合宿では50メートル走で5秒台をマークし、日米野球選手権にも出場した。身体能力に優れ、俊足と強肩は即戦力の強みを持った好素材」

 3位の宮崎は三拍子揃ったヤクルトの塩見タイプだそう。本人の目標は鈴木誠也。右打者ですが、結局今季も埋まらなかった一番センターの地位を狙わせるつもりかもしれません。それというのも最有力候補だったはずの五十幡や淺間があまりに怪我が多く、まったく計算が立たないからです。1年先輩の矢澤の育成方針にも依りますが、もし打者に軸足を置くのであれば宮崎と競わせるつもりかもしれません。

4位:明瀬諒介
◇スカウトコメント
「スケール感あふれる右の長距離砲として次代の中軸候補として期待が高い。183センチ、87キロの堂々とした体躯を生かしたパワーヒッターで、高校通算49本塁打をマークした。投手としても速球は最速152km/hをたたき出し、身体能力の高さは折り紙付きだ。粗削りだが、そこが逆に魅力でまだまだ飛躍できるポテンシャルを秘めている」

 4位の明瀬はアメリカの大学進学を予定する佐々木麟太郎、まさかの指名漏れだった真鍋に次ぐ評価だった長距離砲です。夢は大きく三冠王。うまく育てば現広島監督の新井クラスのスラッガーも狙える右打ちの内野手。ちょっと足踏みしてる2年先輩の有薗や阪口のケツを叩く狙いもありそうです。

5位:星野ひので
◇スカウトコメント
「希少価値の高い右の長距離砲で、恵まれた体躯を生かしたパワフルなスイングは見る人を魅了する。1年夏から中軸に座りながらも、高校3年間では右肘手術の影響もあり通算16本塁打にとどまったがポテンシャルの高さは疑う余地がない。俊足で強肩と三拍子揃っている好素材で、カブス鈴木選手を彷彿とさせる次代の主力候補として期待が高い」

 若手外野手が万波以降焼け野原なので、三拍子揃った高校生外野手・星野を5位指名。育成1位の濱田、育成2位の平田も高校生外野手で、同い年同ポジションの3人で競わせるんでしょうか。深刻な外野手不足だった鎌ヶ谷の補充という意味もありそうです。

育成1位:濵田泰希
◇スカウトコメント
「京都国際では主将で主砲の中心選手として躍動した身長188センチの右の大型スラッガー。粗削りではあるが、ツボにはまった時の打球スピードと飛距離は突出しておりロマンがある。高校時代のメインは外野手だったが、遊撃手を務めた経験もある。プロ入り後はスケールあふれる大型内野手として成長し、勝負をしてほしい魅力あふれる大器だ」

育成2位:平田大樹
◇スカウトコメント
「走攻守の三拍子そろった高センスを誇る外野手。左右に広角に打ち分ける打撃センスは高く、4番を任されるなど高校通算21本塁打と長打力も兼備している。50メートル6秒前後の俊足で、強肩を生かした守備も一定レベルに達しており総合力は高い。一時は病気療養で苦しんだこともあったが、それを乗り越えた精神力の強さもプロ向きだ」

育成3位:加藤大和
◇スカウトコメント
「無限の伸びしろに期待値が高い本格派の大型左腕だ。高校では控え投手で公式戦の実戦経験は少ないが、190センチの長身から繰り出す角度ある直球は魅力十分。最速は140km/h台ながらプロで覚醒すれば、大きく成長する可能性を秘めた原石だ。肉体面でレベルアップできれば近い将来、先発候補へと名乗りを挙げてもおかしくない」

 以上8名。いずれにしろ意図は明確なドラフトだったと思います。しかし的確な指名だったかはわかりません。例年なら即戦力の中継ぎとして下位で社会人の投手を指名するところですがそれもなし。これは現有戦力のアップで乗り切れると踏んでいるのか、それともトレード等で補充の目処があるのか。

 また、支配下で5人の新戦力が加わり、また現在の育成選手で支配下に昇格する選手もいるでしょうから、枠開けであと数人の戦力外・育成降格などがありそう。コーチとして武田久が復帰するという報もありましたが、ポスティングやFAの動向なども含め、日本シリーズ後に改めて触れたいと思います。


よろしければサポートをしていただければ、今後の励みになります。よろしくお願いします。