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新作映画評

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私の本業は音楽関係の文筆業ですが、以前某誌で映画評の連載をやっていた関係もあり、時たま映画の試写状をいただきます。以前は多忙、というか生来の出不精もあって、なかなかうかがえなかっ…
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2018年1月の記事一覧

[映画評] vol.5 エドワード・ギラン監督「さすらいのレコード・コレクター」2018/4/21公開

エドワード・ギラン監督「さすらいのレコード・コレクター」試写
http://sasurai-record.info/

 米メリーランドに暮らす、映画公開当時67歳のSPレコード・コレクターであり、SPレコード会社のオーナーでもあるジョー・バザードのドキュメンタリー。自分の愛する音楽のこと、レコード蒐集の苦労話などを語る。25000枚のSP(そのほとんどが1920~30年代にリリースされたブルース

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[映画評] vol.4 ルカ・グァダニーノ監督『君の名前で僕を呼んで』2018年4月27日公開

ルカ・グァダニーノ監督『君の名前で僕を呼んで』試写
http://cmbyn-movie.jp/

 1983年の夏休みを家族とイタリアの避暑地で過ごす17歳の少年の一夏の恋を描く。思春期の少年が年上の素敵な人に憧れ夢のような一時を過ごし、夏が終わるとその人は去っていく……というようなお話はいわば定番中の定番で、それこそ「おもいでの夏」からこっち、山ほど作られているけど、その「年上の人」が女性では

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[映画評] vol.3 ロバン・カンピヨ監督「BPM」2018年3/24公開

ロバン・カンピヨ監督「BPM」試写
http://bpm-movie.jp/

 カンヌ・グランプリと国際批評家連盟賞をダブル受賞したフランス映画。90年代初頭のパリを舞台に、AIDS患者(同性愛者などのマイノリティ中心)の権利拡大を訴える行動団体ACT-UPと、中心メンバーであるゲイのカップルを巡る群像劇をドキュメンタリータッチで描く。エイズが同性愛者特有の病気と誤解されていて、死に至る不治の病

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[映画評] vol.2 アグニェシュカ・スモチンスカ監督「ゆれる人魚」2018年2/10公開

ポーランド映画「ゆれる人魚」試写
http://www.yureru-ningyo.jp/

 人魚が主役のホラー・ファンタジー・ミュージカル。1980年代のワルシャワのナイトクラブを舞台にした、一種の青春映画でもある。ちょっと冗長なところはあったが、今までにないような面白い、不思議な感覚の作品だった。80年代にポーランドで流行った有名ヒット曲が多く使われるようだが、その懐メロ感覚が共有できればな

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[映画評] vol.1 キャスリン・ビグロー監督「デトロイト」2018年1/26公開

 私の本業は音楽関係の文筆業ですが、以前某誌で映画評の連載をやっていた関係もあり、時たま映画の試写状をいただきます。以前は多忙、というか生来の出不精もあって、なかなかうかがえなかったんですが、今年からは心を入れ替え、できるだけマメに足を運ぼうと決意。どうせ見たなら感想も残しておこうと思い、フェイスブックに書いていたんですが、noteにも掲載することにしました。試写会で見たもの、あるいは映画館でお金

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