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ショートショート・短編小説

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自作の自由律俳句を表題にした創作短編。 フィクションとノンフィクションの狭間。
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記事一覧

枯れ井戸の底

「枯れ井戸の底」  大江戸線の車内で見つけた対象が、新宿で降りた。すばやく全身に目を走ら…

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恋する瞳

 神崎綾乃は今年、恋人のいない状態でクリスマスを迎えた。それは彼女にとって実に十年ぶりの…

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【全文無料】小野木のあ『凍った心の溶かし方』

今月はゲスト作家として小野木のあさんが登場です。 優花のもとにやってきた妹・彩花。 そんな…

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かたゆきわたり

冬がやってきました。 ナナちゃんは、お父さんとお母さん、妹のモモちゃんと家族四人で、雪が…

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別れ話の隣席で頬張るチョコレートパフェ

自作の自由律俳句を表題に短編を書く。 十九作目。約4,600字。 「別れ話の隣席で頬張るチョコ…

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幻のように美しい君も浴衣剥いだら只の肉塊

自作の自由律俳句を表題に短編を書く。 十六作目。約1800字。 「幻のように美しい君も浴衣剥…

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のびのび笑えた3才までは

自作の自由律俳句を表題に短編を書く。 十五作目。約3300字。 「のびのび笑えた3才までは」 お父さんとお母さんと、まだ赤ちゃんの妹と、ナナちゃんは4人家族です。 昨年、お父さんの仕事の都合で引越しをして、遠い遠い、知らない町にきました。 新しい町は、雪がたくさん降るところでした。 家の前に雪の山ができる程たくさんの雪を見るのは、ナナちゃんにとって生まれて始めてのことでした。 冬はソリ滑りをして遊んだり、お父さんが作ってくれた大きなかまくらの中で、みんなでおやつを食べたり

熱血教師を呪う教室の底辺で

自作の自由律俳句を表題に短編を書く。 十四作目。約5000字。 「熱血教師を呪う教室の底辺で」 …

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本気じゃなかったことにする

自作の自由律俳句を表題に短編を書く。 十三作目。約4200字。 「本気じゃなかったことにする…

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素直な良い子のまま三十路

自作の自由律俳句を表題に短編を書く。 十二作目。約2200字。 「素直な良い子のまま三十路」 …

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寝巻きでコンビニ無感情

自作の自由律俳句を表題に短編を書く。 十一作目。約1500字。 「寝巻きでコンビニ無感情」 …

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罵詈雑言で埋まった頭ふやかしていく霧雨

自作の自由律俳句を表題に短編を書く。 十作目。約2500字。 「罵詈雑言で埋まった頭ふやかし…

30

狙い定め殺意を投げる

自作の自由律俳句を表題に短編を書く。 九作目。約1600字。 「狙い定め殺意を投げる」 ブツ…

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かけこみうったえ

太宰治の「駈け込み訴え」を読み終えた。 ぬるくなった珈琲をすすりながら、頭の中で物語を反芻する。 とにかく難しい。小難しい漢字の羅列の連続で、たった十九ページの短編小説をなかなかスムーズに読み進めることができなかった。文章は読み慣れているはずなのに、と、私はなんだか悔しいような気分になった。誰に対して? …太宰治に対して。 やれやれ、馬鹿みたいだ。 とにかく、読み仮名を振るところから始めなければ。そう思って、ノートパソコンを開き「駈け込み訴え」を検索してみたら、すぐに出てき