見出し画像

リノリウム

吉祥寺プラザ閉館のニュース。
でもこちらはコロナとかそういうことではなくて建物の老朽化だと発表されていた。
僕のイメージするいわゆる映画館。子供の頃に行っていた雰囲気が残ってる。
呪術廻戦の漫画内に登場した映画館のモデルでもある。聖地巡礼出来るのもあと少しだってことか。
スタッフの皆さん、やさしかったな。
コロナの真っ最中でご迷惑にならないように準備したことを思い出す。

閉館する映画館もあれば新しい映画館もあったりする。
コロナ禍の真っ最中に、鶴岡まちなかキネマさんが閉館して「破壊の日」に登場する真如海上人の即身仏が安置されている鶴岡市のミニシアターだからどうしても上映したかったんだけれど、まちなかキネマさんも復活して今週末から上映されるという。
なんだか、すごく嬉しいんだよな。なんとかならないかなって色々連絡したりしていたからさ。
真如海上人の凱旋上映だ。

いつだったか。もうかなりの昔だけれど。
閉館した中野の映画館で演劇上演を観に行ったことがあった。
あれはなんだか面白い体験だった。
あそこも古い昔のタイプの映画館だったけれど。
もう建物もなくなっているのかな。

街が変わることはなんとも言えず寂しいことだ。
村上春樹だ。
それはきっと記憶をもぎとられてしまうからなのだろう。
けれど変わらない街などない。
ここはいつまでも変わらないのだなと思っていても変わる。
発展する場合もあるし、廃れていく場合だってある。
すっかり寂びれた商店街を歩くと何が正しいのか分からなくなる。
街は生きているのだ。
変わることは生きている証拠だ。
街を壊すな!と叫んだ運動家の家に畳を敷いた和室がないなんてこと、意外に普通のことだったりする。

僕はそんな隙間が好きなのかもしれない。
街がすっかり変わっていたのに、ほんの一角。
あれ?ここだけはなんだかすっかり元のままだな、なんてことがある。
意図的にではなくて、まるで掌から零れ落ちたように。
残滓。

全国にはまだまだ単館系の映画館がある。
ミニシアターとひとくくりにしているけれど。
年代物の建物もあれば、オシャレな建物もある。
どちらもそこに意図がある。
というか、それはたまたまなんだろう。
20年前なら新しいし、20年後なら古くなる。
たまたま今のタイミングなだけだ。

吉祥寺プラザのやわらかい椅子を思い出す。
リノリウムの床を思い出す。
僕の記憶の中にはいつまでも残っている。


映画「演者」新ビジュアル

映画『演者』
企画 監督 脚本 小野寺隆一
音楽 吉田トオル
題字 豊田利晃

「嘘ばかりの世界」だ
  「ほんとう」はどこにある

【上映館】
・2023年11月18日(土)より
ユーロスペース(東京・渋谷)
http://www.eurospace.co.jp/

出演
藤井菜魚子 河原幸子 広田あきほ
中野圭 織田稚成 金子透
安藤聖 樋口真衣
大多和麦 西本早輝 小野寺隆一

撮影 橋本篤志 照明 鈴木馨悟
録音 高島良太 絵画 宮大也
スチール 砂田耕希
制作応援 素材提供 佐久間孝
製作・宣伝・配給 うずめき

【あらすじ】
昭和20年春、終戦直前のとある村。嶋田家に嫁いだ3人の女たち。
血の繋がらない義理の三姉妹は男たちが戦時不在の家を守り続けている。

家長であるはずの長男の嫁、智恵は気を病んでいた。
三男の嫁、恵美は義姉を気遣う日々を送っている。
次男の嫁、陽子は智恵がおかしくなったふりをしているのではと疑っていた。

やがて魔物が再び女たちの前に現れる。
世界は反転して、演技は見抜かれる。

◆終映(特別限定先行上映)◆
・2023年4月15日(土)16日(日)※限定2日間
シアターセブン(大阪・十三)
・2023年4月15日(土)18日(火)21日(金)※限定3日間
名古屋シネマテーク(愛知・名古屋今池)
・2023年3月25日(土)~31日(金) ※限定1週間
K'sシネマ (東京・新宿)

投げ銭は全て「演者」映画化計画に使用させていただきます。