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肚の座った人

正月三が日が終わる。
徐々に増えていく被害者の数。
東日本大震災が東北地方太平洋川沿岸に広く被害が拡がっているたことに対して、今回は奥能登という能登半島の突端のごく限られた地域に大きな被害が集中していることが段々とわかってきた。
続く余震と、生憎の雨天の中、救出作業に従事している皆様に敬意を。
二次災害がないことを願います。

海外で飛行機からの脱出が奇跡だとニュースになっているらしい。
どの記事も冷静な添乗員の判断に感服している。
これまでの訓練が生かされたということなのだろう。
非常事態が起きたとき人は平常心ではいられなくなる。
そんな時に冷静でいられるかどうかは訓練が必要なのだろう。
ただそれとは別に、そんな時にパニックになるのが普通のはずなのに、逆に肚が座るような人がいる。冷静というのとは少し違う。
パニックになった乗客の中で、そういう乗客がいたようだ。
その違いって何なのだろう。

パニックになってしまうことを悪いとは思わない。
むしろそれが普通なのだと思う。
精神状態というのはそれほどあやふやなものだし、その時はそうなっても別の時は違うかもしれない。
興奮状態の中でも自分を保つという状況は不謹慎かもしれないけれど舞台に立った状況ととてもよく似ている心理状態だと思う。
実際、人に注目されているという状況は異常で緊張感が続き、興奮状態になるし、そんな中で自分を保てなくなる俳優だって何人も見てきた。
パニック状態というのは、集団ヒステリーのように共感で繋がっていってしまうもので、誰かが極度の緊張をしていると他の人にも影響が出たりする。
そういう時になんだかこいつがいるだけで安心できるという存在がいる。
肚が座っている人というのはいつの時代でも重要な人物だなあと思う。
どんな大ピンチになっても、そいつがいればなんとかなると思える。
悪い言い方をすれば開き直れる人なのかもしれないけれど。

いざってときに頼りになる人。
そのいざが来なければいいのだけれど。
でもそういう人って、そのいざがないとなんでもない人なのかな。
人によっても、そのいざは違うタイミングで来るのかもしれないけどさ。

今、きっと、消防団員や地域の職員、警察、自衛隊、ボランティア。
限られた地域で二次災害に注意しながら救出作業をしていてさ。
余震や雨や日の入りで、すぐに救出したくても作業停止や休憩を指示したりする人もいるんだろうなぁと思うとさ。
やっぱり興奮状態の中でも必死に自分を保っているんだろうなぁって思うわけです。極度の緊張状態の中で作業を続けている。宿泊施設すら確保されていないまま作業をしている方もいるでしょう。
そういうことをせめて想像できないとなって思うのです。
どうしても数字とかさ、ニュースの文言に縛られてしまうのだけれども、その向こうには人がいて、その人の心があることを忘れてはいけないなと。

僕はそういう人でありたい。
いざという時に興奮状態でも自分を保っていられる人に。
そしてそんな人たちを想像出来る人に。


映画『演者』
企画 監督 脚本 小野寺隆一
音楽 吉田トオル
題字 豊田利晃

「嘘ばかりの世界」だ
  「ほんとう」はどこにある

【次回上映館】
未定

出演
藤井菜魚子 河原幸子 広田あきほ
中野圭 織田稚成 金子透
安藤聖 樋口真衣
大多和麦 西本早輝 小野寺隆一

撮影 橋本篤志 照明 鈴木馨悟
録音 高島良太 絵画 宮大也
スチール 砂田耕希
制作応援 素材提供 佐久間孝
製作・宣伝・配給 うずめき

【あらすじ】
昭和20年春、終戦直前のとある村。嶋田家に嫁いだ3人の女たち。
血の繋がらない義理の三姉妹は男たちが戦時不在の家を守り続けている。

家長であるはずの長男の嫁、智恵は気を病んでいた。
三男の嫁、恵美は義姉を気遣う日々を送っている。
次男の嫁、陽子は智恵がおかしくなったふりをしているのではと疑っていた。

やがて魔物が再び女たちの前に現れる。
世界は反転して、演技は見抜かれる。

◆終映◆
・2023年11月18日(土)~24日(金)
ユーロスペース(東京・渋谷)
・2023年4月15日(土)16日(日)※限定2日間
シアターセブン(大阪・十三)
・2023年4月15日(土)18日(火)21日(金)※限定3日間
名古屋シネマテーク(愛知・名古屋今池)
・2023年3月25日(土)~31日(金) ※限定1週間
K'sシネマ (東京・新宿)

投げ銭は全て「演者」映画化計画に使用させていただきます。