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「ほんとう」の話

ふつふつと湧き上がる

ふつふつと突如湧き上がる。
待っていろ、もうすぐ映画「演者」が世に解き放たれる。
うそばっかりの世の中にほんとうを叩きつける。
何が起きるか目をこらせ。
ここから始まる何かを見逃すな。

それは誰か一人の内側で起きるのかもしれない。
それとももっと多くの人と人との間に起きるのかもしれない。
解放される「ほんとう」は何を呼ぶ?
取り繕っただけの真実たちは色褪せるだろう。
不要不急の映画が世界を暴くのだ。

自由はそこに生まれるものだ。
そこから自由が始まる。

マイノリティ

ミニシアターでは一万人も動員すればスマッシュヒットだと耳にしたことがある。十万人まで伸びれば大ヒットなのかもしれない。
だが一万人という数字は今の映画『演者』にとっては途方もない数字にも思える。84席のミニシアターで一週間限定の特別先行上映。600人にも満たない席数での公開なのだから。
でも比較するのであればもっと大きな場所とだろう。
だって東京の人口は1000万人を越えているんだから。
一万人でヒットということは1000人に一人が観たらヒットということになってしまう。
そんなのはヒットでも何でもないと思うのだけれど。

実はもうそれぐらい映画ファンというのはニッチな存在になっている。社会からみればマイノリティ側なのだ。商業映画だって全国で100万人動員すればヒット作なわけで、一億二千万人の人口のこの国の1%にも満たない動員数ということになる。
しかもユニーク数ではない。複数回足を運んだ人も含めたのが動員数なわけで、そう考えるといかに少ないのかがわかる。
だってテレビ番組で1%の視聴率って深夜番組だからね。無料のテレビと有償で足を運ぶ時間が必要な映画では比較しても仕方ないとはいえ、そのぐらいの知名度だっていうことだ。
例えばディズニーランドの年間来場者数の足元にも及ばない。

だから当たり前だけれどニッチな層向けの映画の方が確実に動員が計算できたりするのだろう。ターゲット層がはっきりした映画や、社会的メッセージの立場がハッキリしている作品は、それだけで強みを持っている。

そう考えれば一万人ぐらいどうってことねぇんじゃねぇか?
なんて少しだけ肩の荷が軽くなる。

カテゴライズ

そんな社会的マイノリティな映画ファンたちはさらにカテゴライズされていく。ホラー専門、アクション専門、マーベル専門、とジャンル映画に分かれていったり、インディーズや名画専門とか作品のバックボーンで分かれていったり。好みは誰にだってあるのだから当たり前なんだけれど。

映画『演者』がどこにカテゴライズされるのかなんてわからない。
まぁ、わかりやすくなるからしてくれてもいい。
観た人が決めればいいや。

ただ思うのは一万人とかの映画じゃないぜって思っているということ。
だって、この世界が嘘みたいで「ほんとう」ってなんなの?って感じている人の数がそんな数で済むはずがないんだから。
「ほんとう」を探している人がこの世界にたくさんいるってわかってるから。
音楽や映画や小説の中に「ほんとう」を探している人がどれほどいるか。
そして自分の中に「ほんとう」を探している人がどれほどいるか。

「ほんとう」のこと

天国はない、空があるだけ。
国境はない、地面があるだけ。
ジョン・レノンがほんとうのことを歌ったら世界がひっくり返った。
宗教も国家もいきなり幻想だと言い切ったのだから。
でもその通り。イデオロギーだって共同幻想でしかない。
札束だって紙屑だってことは誰だってほんとうは知ってる。

うそ、フェイク、陰謀、ヴァーチャル、でっちあげ。
そこら中に溢れてる。
真実のふりをして転がってる。
金が欲しいだけのくせに正義面してるやつもいる。
名声が欲しくて偉そうなことを言ってるやつもいる。
民主主義だと大声を出す自己中心主義がまかりとおってる。

コロナ禍になったらそれがより顕在化しちゃってさ。
もう飽き飽きしているんだよ。
メンツを気にする国ってどういうこった?
「ほんとう」のことが知りたいよ。

「ほんとう」の話

映画『演者』はドキュメンタリー作品じゃない。
あくまでも物語でフィクションだ。
でも「ほんとう」を扱っている。
「ほんとう」ってなんなのだよ?ということを作品にした。

世界の端っこかもしれない。
マイノリティの中の更に小さな小さな場所からだ。
誰にでもある自己矛盾の吹き溜まる場所。

そこから始まるのだよ。
解き放たれるのだ。
見ていろよ。嘘つきどもめ。

自由を生み出してやるんだ。
その場で生まれる誰にも縛られない自由を。
「ほんとう」を。

誰かが歌ってた。
「ほんとう」は通じないってさ。
「ほんとう」のことなんか言えないってさ。
ふつふつふつふつ。

これは「ほんとう」の話だ。

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小野寺隆一
投げ銭は全て「演者」映画化計画に使用させていただきます。