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目がないもんで

三脚を借りて撮影。機材はほぼ私の者じゃないんだけども。翌日、返却して早稲田。1時間ダッシュで早稲田~高田馬場近辺の古本屋さんをまわる。秋にしては少し暖かく、夏にしては日差しの弱めのそんな日。
まずはGoogleマップを頼りに見知った道を通り「古書ソオダ水」へ。
途中早稲田大学の周辺で「大学のキャンパスってすごいな」「あー、でしょ!」と話す男女を見かける。どこへでかけるのかすこし気になる。
古書ソオダ水は、ビル2階に位置しており目印は入口に置かれた看板と本
棚。
この時、現金では1000円ちょっとしかないと思い出していたこともあり、本を手にするのも鈍くなるし、気になる本はいずれも500円を超えて、ここで使い果たしてしまうのではな、と目を薄めてみなかったことにした。レジでは業界話らしき会話。BGMやTwitterのスペースのつもりで耳を傾けてしまう。興味深い内容だがそれよりも、「ああ、そうね」「でね」とか、そういうラフで静かなトーンの会話が自分は苦手なところあるよなあーって階段を下りながら考えた。
目指すは「古書現世」。先日読んだ本『早稲田古本劇場』の舞台そのもので。道中も数店舗覗いていくが、珍しくなかなか出物には巡り合わず、すっと店に入ってそのまま出ていくパターンを繰り返す。

地蔵通りでゴール。ここが、と趣きある入口に、ここでエッセイで書かれた会話が繰り広げられたのかと想像。手持ちの1000円がまだ残っているのを知ってか知らずか、「1000円以下の本はこちら」と本棚に立札。映画のコーナーが今は一番あつい。黒澤明か、何か。撮影所の思い出話系も最近はそこそこ。そこに『手塚治虫のシナリオ集成』が2冊で1000円とある。
どうやらプロット、シノプシスだが、あの世界観をちゃんと準備していたのか、そうかちゃんと用意してたんだ、というほうになんだか衝撃を受ける。最初から原稿にペン入れをしている天才なのかと思っていた。あきらか「猿の惑星」をイメージしたような展開などもあって、活字にするとそうやって「パクって」どんどん書くべきだ、と思わせてくれる。

別の撮影で、男性スタッフが来月以降、古本屋を舞台に撮ろうとしているそうだ、と小耳にはさむ。高円寺周辺で、カフェ付き希望だと聞いたら、アレコレ店の名前を彼に伝えていた。目がないもんで。

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