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「ボンダンス国際映画祭」、セレクション作品の上映が終わり、ほっとひと息。よかった。劇場中からしっかり笑ってもらえる。嬉しい。


上映後も「面白かったよ!」と声をかけてもらったり、色々質問もらったり話しかけてもらえるの、今までにない状況だったので、にこにこで懇親会。

以下、セクション12作品の感想。紹介文等はHPからの引用賛否わかれる作品もあった。

プログラム

短編アニメーション Short Animation部門

  • 『七日目の夜』[マレーシア]監督:アールーン(2023年/4分/アニメーション・ドラマ)いなくなった愛猫の帰りを待つ少年の物語。

愛する人が死んでから7日目、帰ってきてくれるという言い伝え。台湾と勘違いしたがマレーシアのものだったのか。4分ではあるがラストどんでん返し。思わずじーんとした。

  • 『橋の下の犬』[中国]監督:タン・レホー(2022年/13分/アニメーション・ドラマ)「吾輩は橋の下の公園に住む犬だ。アウ〜」

「吾輩は……」の通り、日本語字幕もずいぶん完璧で、細部まで楽しめた。太った中年男性がすすり泣くシーンは犬からの視点、見事なショットだった。淡々と進む、野良犬の日常。『オッドタクシー』の雰囲気も。

  • 『ワリノン・サリ』[マレーシア]監督:ユージン・フー(2022年/29分/アニメーション・ドラマ)インデラプラの戦士である王女ワリノン・サリは、政略結婚か、それとも自分の心に従うかのどちらかを選ばなければならない。 これは多くのマレーシア人が知っている民話だが、その本当の結末はまだわかっていない。

大河ドラマならぬ大河アニメの第1話のような展開。王女・サリの横顔がとても美しく描かれていた。賢く強い王女の素晴らしさもそうだけど、形がどんどん変化するパズルに天空から求婚する王子など、魅力的な民話だ。結末は、ない、というのが正解かもしれないが、とすると続編があるわけではなさそうなので「結末は分からない」と、一つの答えをなにか示して欲しかったかも。

  • 『邪悪なリンのオンラインデート』[米国]監督:ランディ・シュミット(2022年/10分/アニメーション・コメディ)必死で彼氏を探す魔術師イーブル・リンは、銀河系中の変わり者の候補者たちと悲惨なオンラインデートを繰り返す。

ヴィラン女性の婚活。レゴやフィギュア、CGで「ぼく新型コロナだよ」とブラックジョークも。出会う男性がみなどうしようもないのは、どの国も、どの世界戦も同じなのかとにやっときた。

短編ドキュメンタリー Short Documentary

  • 『刺青師ヴェロニカ』[日本]監督:リク・ワタナベ(2023年/8分/ドキュメンタリー)東京を拠点に活動する米国人タトゥー・アーティスト、ヴェロニカのドキュメンタリー。

ミツバチのような音を出すタトゥーだけではないと刺青の世界に少し興味がわく。日本に旅行に来た海外の人々がいい思い出にのこすため、ポケモンやハローキティなど、アニメやキャラクターの刺青を入れて帰るようだ。

  • 『グッドボーイ』[米国]監督:ラッセル・チャドウィック(2022年/35分/ドキュメンタリー)ダグ・スースは、700kgのグリズリーの腕と爪の中に親しみを見出した。ショーン・ペン、ブラッド・ピット等のインタビューが収録された本作品は、バート・ザ・ベア、ダグ・スース、そして彼の驚くべき家族が、ハリウッドの大スターたちと共演する様を描く。

いい話だった。やっぱり本物にはかなわない。大きなグリズリー相手とじゃれつくダグ。観れば見るほど正気の沙汰じゃないけど、すごい。

  • 『酪農業界の秘密』[米国]監督:エマ・シュワルツ(2022年/25分/ドキュメンタリー)本作品は、酪農業界が知られたくない暗い真実を照らし出す。有名YouTuberが、コロラド州にあるアニマルサンクチュアリーに住む動物たちの感動的な救出劇を挟みながら、酪農業界について暴露する。

有名なYouTubeがドキュメンタリー映画を作ったら?親会でも賛否わかれた作品だった。陰謀論じみた煽り、情報切りだし方、同じ話の繰り返し、ふんだんな動画テクニック。体感では1時間くらいあった。映像自体は、驚きの部分もあるが、論調はどんどん過激になり、肉や、牛乳、チーズも食べるな、とくるので、空腹を感じてしまった。ちょっと聞いてられないと思う。

短編実写 Short Live Action

  • 『早すぎた訪問者』[ドイツ]監督:フェリックス・ヴォルナー(2023年/6分/ドラマ・サスペンス)授業を終えて深夜に帰宅した女性は、パートナーが強盗に拘束されているのを発見する。しかし、物事は常に予想通りにはいかない。

6分とは思えないほどに面白い。ショットも多くはないが謎がすぐに解ける快感もある。

  • 『ガーター』[カナダ]監督:セオドア・ドラスバ(2022年/22分/ドラマ)霧。埃。雷雨の中のボーリング場。妊婦、ビジネスマン、男やもめ。鬱陶しい蛾が停電を引き起こすまで、ピンは倒される。

停電するボーリング場で巻き起こるファンタジー。3名がそれぞれ、妄想とも、幻想ともしれない時間を過ごす。
私は臨月の妊婦が産気づくのだと思ったが、深夜にボーリングしようとしに来た老人が心臓発作を起こす方向にいったので、意外性を感じた。

  • 『林檎人間』[米国]監督:レイモンド・クラインシュミット(2023年/10分/コメディ)マッドサイエンティストがしゃべるリンゴを作ることに成功するが、その新しい創造物が彼の恋愛を脅かす。

監督が来場していた。Apple社を皮肉る表現もあった。Siriとかそういう何かのイメージ化と思ったのだけど、くしゃみで数が増えて、軍団を作る野望を持つなど、摩訶不思議な展開に。メインは、恋愛がうまくできない主人公の若者で、その緊張から彼女に失礼な発言をしてしまうベタさには好感がもてた。

  • 『黄色い犬』[中国]監督:ゾウ・ゾウ(2023年/12分/ドラマ)ギャンブラーはギャンブルの世界に溺れ、借金が返せなくなり、逃げ出さなければならなくなった。一銭もない彼は、姪の子犬を肉屋に売って逃げるつもりだった。

日本語字幕に難あり。翻訳サイトそのままで、すっと入り込めなかったが、色味や照明など俳優さんの演技など大変よい。ただ、ちょっと鍋に犬の頭が煮込まれてるシーンや、後味の悪く救いようがなさそうなラストなどが、うーん。親犬と子犬がでてくるのは可愛かった。

そして

  • 『晴れて成仏』[日本]監督:ケビン・へフェリン(2023年/5分/コメディ)江戸時代。大工の棟梁だった五平は、突然の死後、妻の幸と和解するために幽霊となって戻る。自分が見えないことを知った五平は、かつて馬鹿にしていた弟子で超能力を持つ佐吉を頼る。

久しぶりにスタッフや監督、それから私を知っている人も誘えたので、作品をみてもらって、とても嬉しい。脚本のことだけに言及すると、登場人物の名前とか台詞とか、もっと工夫できたよな、とも。書いてから1年経つけど、タイトル、よいものをつけられた気がする。自画自賛。

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