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【8月22日は金シャチの日】シャチは氷を食べる!(…こともある)


8月22日は「金シャチの日」です

シャチのジャンプ(鴨川シーワールドにて)

毎年、8月22日は「金シャチの日」に制定されています。

由来として、名古屋市の市章が「八」であることと、鯱鉾(しゃちほこ)の形が「2」という形に似ていて、名古屋城の天守の左右に2つずつあることが由来です。また、この日は名古屋市で鍼灸接骨院を営む、川村芳彦氏によって制定されたそうです。

名古屋城のものが有名な「シャチホコ」

さて、しゃちほこの「シャチ」とは、鴨川シーワールドや名古屋港水族館で大人気のあのシャチのことなのでしょうか?

実は「キリン」が空想上の幻獣「麒麟」と、首の長いあのキリンを指すのと同様に、「シャチ」という言葉も空想上の幻獣としての「鯱」と、実在の動物としてのシャチが存在し、しゃちほこは前者を指しています。

空想上の幻獣としての「鯱」とはどんなモノなのでしょうか?

その姿は、身体の全体は魚でありながら頭部は虎、尾ヒレは常に天を突くようにそそり立ち、背中には怪獣のような幾重もの鋭いトゲをもつとされています。

元は中国で生まれ、波を起こし雨を呼ぶ力をもつとされる幻獣ですが、日本においては、あの織田信長が自らの城である安土城の装飾に取り入れて使用したことで普及したといわれています。

実は単なる装飾ではなく、城の避雷針としての機能もあったそうです。

ちなみにシャチの学名は「orcinus orca(オルキヌス オルカ)」
ラテン語で「orcinus」は冥界、死の領域の意味。そして「orca」は魔物、怪物を意味します。
これは古代ローマの死神「オルクス」のことを示唆しており、日本語の「鯱」同様に神話的存在を指す名前で、シャチという動物が人々に与える畏怖の感情を感じさせてくれます。

シャチは恐ろしい「海のギャング」?

さて、シャチというと「海のギャング」というガラの悪い紹介をされることもあります。

これはシャチが100万種を超える海洋生物の中において、最頂点捕食者(トッププレデター)であり、時に自らより大きなクジラすらも群れで襲うことのある獰猛な一面にスポットライトが当てられてのことでしょう。

シャチは一般的に冷水を好み、極地付近の沿岸に多く住む、まさに氷海の王者ですが、実は日本近海を含め世界各地の海を旅するタイプの群れもいるため、地球上で最も広く分布する哺乳類の一種とも言われています。

そのハンターとしての強さは尋常ではなく、優れたエコロケーション(反響定位)能力を持ち、音波だけで物質の成分の違いや内容物までを認識します。

また、最大でオスは9mにもなる巨大でありながら時速60〜70キロで泳ぐことのできる身体能力(サメにしては速く泳ぐアオザメでも55キロ程度が限界)など、数多くの長所を持っていますが、その中でも最大の強さは、優れた知能と群れとしてのチームワークです。

シャチは隊列を組んで、疲れた仲間を休憩させながら、獲物には休む暇なく攻撃を仕掛けるなどの戦法を使うことがあります。

また、クジラなど息継ぎが必要な獲物の場合、海面下に引き込み、集団で長時間溺れさせてトドメを刺すなど、ここでは語りきれないほどの様々な狩りのテクニックを持っています。

意外と愛情深い、海のギャング

寄り添って泳ぐシャチたち(名古屋港水族館にて)

また、シャチは人間の視点から見て、愛情や他者への強い共感をもっているように思える行動を見せる面もあります。

集団で子育てをする生物であり、母親が狩りに向かっている間、群れの若いメスのシャチが代わりに面倒を見ます。

また、オスも基本的に一生を同じ群れで過ごし、群れを守り続けます。

トレーニングにて餌をもらうシャチ。
基本的にはトレーナーとシャチは「餌のやりとり」を通じて信頼関係を築いていく。
(名古屋港水族館にて)

同族へ愛情だけでなく、時に他種にも利他的行動を取ることがあります。

シャチの群れが獲物であるはずのクジラを、ロープに絡まって弱っているところを解いて助けているように見えた、という姿が目撃されたこともありました。

これは、弱ったクジラを捕食しようとしたものの、健康状態の悪さから途中で止めたのでは、という見解をする研究者もいますが、知能の高いシャチには「利害を超えた共感」、いわば優しさのようなものがある可能性も否定できません。

シャチも氷が大スキ?

ファンたちに水しぶきを飛ばすシャチ(名古屋港水族館にて)

実は水族館のシャチの中には、氷を好んで食べるという行動を見せるものもいます。

最近、SNSなどで鴨川シーワールドのアイドル「ルーナ」ちゃんが氷をバケツから一気食いする様子が多くの反響を呼びましたが、実は水族館では水分補給とご褒美を兼ねて、氷を与えることがあるようです。

トレーナーから氷を貰うシャチ(鴨川シーワールドにて)

実はシャチなどの鯨類は基本的に水分は獲物の体内に含まれるものだけから摂取しています。

本来、極地を好むシャチ、日本の熱い夏に100%水でできた氷は、かなりのご馳走だったのかもしれませんね…。

シャチは、氷の海の王者というイメージからか、ペンギンやシロクマほどではないですがときどき製氷、冷蔵メーカーなどにモチーフとして採用されることがあります。
最も有名な例として大阪に本社を置く大手製氷機、冷蔵庫メーカーの大和冷機工業はシャチをシンボルマークとして、製氷機や冷蔵庫に掲げています。

我々小野田商店も、いつか伝統製氷のトッププレデターと呼ばれる日が来るのを期待したいものです。

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