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助けてと言えない長女の話

私はいつもいつも、末っ子の甘え上手な女性に恋人を奪われてきました。という話をしようと思います。

甘えられないのはいつからか

子供の頃、近所に「ゆりちゃん」という声も顔も可愛い女の子がいました。可愛い声で何か言うと、大人が思い通りに動いている。可愛いポーズを取ると、大人が喜ぶ。そんな様子を見ていて、顔面偏差値の低い私は子供なりに「あれを真似するのが正解」と本能で感じたのでしょう。ゆりちゃんの真似に勤しみはじめました。しかし「ぶりっこするな!気持ち悪い!」と母親に怒鳴られた記憶があります。

その日から、私は「女性らしく可愛く振る舞う事」に酷く嫌悪感と恐怖心を抱くようになり、今に至ります。


母親の呪い

母親は非常に貧困の家庭に生まれ、兄弟姉妹の数が多く自分の母親からの愛情を受けないまま15歳で田舎から知らぬ街に出てきて仕事をしていました。強い愛情への渇望を抱えて少女のまま年齢を重ねたような可憐な人でした。

つまり、私は可憐な少女に育てられたと言うことになります。今となって冷静に分析できていますが、母からは「嫉妬」に近い感情を感じた事が多くあります。

小学生の頃、美容院で大人っぽくブローで仕上げられると「子供なのにこんな色気出されたら困る」と美容師さんに怒鳴り込んだり、高校で化粧をし始めると「汚い肌に化粧しても意味ない」と罵られたり、最終的に思い通りにならない娘に執着し、毎日カバンをあさっては恋人との手紙を見て、彼の家に怒鳴り込んで行ったり、日に日に行動がエスカレートして行きました。

表向き「女の子の母親として悪い虫がつくのが心配」という仮面をつけた、嫉妬ではないかと分析しています。


思考の癖

甘えない、頼れない、だけならよいのですが、思春期の私は「負けない」という謎のメンタルを育むようになりました。当たり前に得られる実感がない「親からの愛情」どう考えても他者とは違う「歪んだ親子関係」それを相談する場もない孤独、自分1人で戦って生き抜くしかないマインドが育まれてしまったようで、これがなかなか崩す事が困難です。

それは如実に人間関係を構築するのが下手。というペナルティとして私の人生に跳ね返ってくるようになります。


恋愛において

男性というのはなぜこうも、甘えられるのに弱いのだろうかと憤る事が多くありましたが、それは女性が強い男性に惹かれるのと同じで「自然の摂理」であります。

わかっていますよ。わかっているんですが、できないものはできないのです。経験値ゼロなのです。

ことごとく「頼られている気がしない」「必要とされていない」という理由で、甘え上手なわかりやすい女性に恋人を奪われてきました。その度に「私には魅力がない」という呪いの植え付けが増えていき、益々意固地になっていきました。


全国の長女気質の皆さま

しかし、転機が訪れたのです。この「人に頼る前に自分でやってみる」「苦しくてもなんとかしようとする」という気質を評価、すっと助けてくれる男性が現れはじめたのです。なんとも言えない包容力です。

あれだけ男性に頼ったり甘えたりできなかった私が、素直に「どう思う?」「困ってる」「助けて」を言えるようになりました。なんでしょうかこの変化は。

信頼というやつです。この相手を人間として信頼しているのです。これまでは、異性としては魅力を感じていたけど、どこか人として信頼できなかったのです。

それで思ったのです。自分を無理に変える必要なんてなくて、自分の中のかわいげを引き出してくれる相手と付き合えば良いんだって。もし可愛くない自分が出てくるなら、それは可愛い自分を見せる価値がない相手なんだって。それでよくないですか?長女気質万歳。




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