ライブ『まんざいこわい』感想
少し前にやっていたライブだが、今日再配信の通知があり、改めて鑑賞した。
そして、あまりにも良すぎたので感想を書きたいと思った。
まず、タイトルが秀逸。
元ネタは、まんじゅうを怖がるふりをすることで、実は大好物であるまんじゅうを友人から引き出す「まんじゅうこわい」という落語だろう。これは、山ちゃんの「下から関節」のスタンスと「漫才大好き」という属性に相まって、これ以上ないタイトルに仕上がっている気がする。
次に、メンツ選びのセンスも抜群。
憧れの喋りの天才、今正に漫才に飢えている最強漫才師、爆売れ天才強キャラアーティスト、漫才界の生ける伝説の4人。「山ちゃんと組ませたらどうなるんだろう?」とワクワクするようなメンツしかいなかった。
そして、香盤順も完璧。
初見の時、「最初に古舘さんは勿体無くない?」と思っていた。だが、何度考え直しても、この香盤しかありえないのだ。
まず、男が3人続くのは重たいから、味変としてあのちゃんは途中に入れるべきである。
水田さんは、絶対に肩が温まってからじゃないと、和牛を彷彿とさせるようなクオリティにはならないから、最初に置くのは勿体無い。
太田さんは、絶対トリしかあり得ない。
すると、トップバッターは絶対に滑らない保証がある上に、スーパーゲスト感のある、古舘さんにしか務まらない。
そして、2番手をあのちゃんにしてしまうと、後の2人が連続で漫才師になってしまうので、せっかくの太田さんの登場が薄くなってしまう。
そう考えると、「①古舘伊知郎②和牛水田③あの④太田光」になる。この香盤以外考えられない。
本当に、裏方の山ちゃん愛が半端ないと思った。
節々に、考え抜かれてるなぁ〜ってポイントがあって、見ていて幸せだった。
なんで山ちゃんのこと、こんなに好きなんだろうなぁ。なんで山ちゃんが下から関節極めてるのだけは好意的に受け取れるんだろう。他の人がやってる時には、嫌悪感があったりするというのに。
それはきっと、誰よりも曝け出してるからなんだろうな。守りに入って、何枚も重ね着してるやつが、相手からは裸の言葉を引き出そうと関節を極めるのはダサいけど、山ちゃんだけは裸一貫だから、裸の言葉をぶつけられてるのが似合うんだよな。罵声も歓声も、全部彼のものなんだよな。なんか彼への賞賛は、自分のことのように嬉しいんだよな。
そんな風に、山ちゃんが慕われている理由と、自分が山ちゃんを好きな理由が詰まった素敵なライブだった。
以下、個別の感想。
①古舘伊知郎さん
山ちゃんとの親交も厚く、後継者になりたいとも話す憧れの存在。言語野が異常発達している左脳の化け物同士の対決は、非常に見物だった。
序盤は、2人ともギアがかかりきってない瞬間も散見されて、不安になる瞬間もあったけど、そこはやっぱり天才同士。最後には、掛け合いというよりも話術の殴り合いをみせてくれた。ワンターンの長いパス回しは、普段の漫才では考えられないやり取りで、とても新鮮だった。特に古舘さんが仏教持ち出して噛んだことの言い訳をするくだりが最高すぎた。
②水田さん
漫才がうますぎる。1番漫才だった。
コントインした瞬間から、「うわぁ…!和牛の漫才が見れる…!」と思って、めちゃくちゃワクワクさせられた。
「忙しすぎて臓器が限界を迎え、話しかけてくる」という突飛な設定から、「体を休めるために旅館に泊まろう」という設定に繋げ、最後にはバスケのくだりなど、さまざまな展開をクロスオーバーさせて綺麗にオチまで持っていく技術が圧巻すぎた。
これ本当に打合せなしなの?操縦する水田さんも天才だし、長年の勘だけで正解の扉選び続ける山ちゃんも天才すぎる。マジでえぐい。もしかしたら水田さん、たりないふたり見て勉強したんじゃないか?と思ってしまうくらい、設定の投げ方が上手すぎて感激した。
③あのちゃん
唯一、漫才をしようと思ってないにも関わらず、ウケ量でいったらピカイチだったので痺れた。マジで圧倒的にスターすぎる。
あのちゃんは、ともかく山ちゃんと相性がいいと思った。
彼女みたいに何するか分からない人の発言を拾うため、頭をフル回転させている時の山ちゃんが1番輝いてる。だから、あのちゃんは、山ちゃんの魅力をすごく引き出してくれる相方だなと思った。
しかも、構図としては山ちゃんが拾い続けてるように見えるかもしれないけれど、粗品さんのくだりなどでは、山ちゃんがツッコミやすい流れをあのちゃんが作っていたようにすら感じる。改めて、あのちゃんの空気を感じ取る能力に惚れ惚れした。だからバラエティでこんなに重宝されているんだろうな。
そして何より、義理堅いなぁと思った。世間ではそう思われてないかもしれないけど、爆裂忙しい中、昔の恩を返すためにちゃんと舞台に付き合ってあげるの大人すぎる。
というか、舞台挨拶で幕張メッセ立って、飛び出しで本多劇場で漫才するってどんなスケジュールだよ。それで誰よりもウケてヘラヘラして帰るって、カッコ良すぎるだろ。
あと、山ちゃんが古舘さんの仏教の言い訳を途中で捻り出したところマジで痺れた。エグすぎる。この速度のやりとりで正解出せるの凄すぎる。
④爆笑問題太田さん
オオトリとして、こんなにふさわしい人はいない。
そもそも太田さんが、田中さん以外と漫才してるのを見たのが初めてだったので、めちゃくちゃ新鮮だった。
初っ端からヘタクソなコントインをかますところが太田さん全開だったし、時事ネタを弄り倒すくだりから爆問のイズムも感じて、見ててずっとワクワクした。ややウケのところはちゃんとヤヤウケなのも、爆問すぎるし。
そして今でも生の舞台立ち続けてるだけあって、客の反応掴むのがうますぎる。「ここウケねぇな」「客も気ぃ遣うんだな」などの発言が、プロ漫才師すぎて痺れた。何より、耳鼻咽喉科のくだりとか、全部予想を裏切ってくるの、さすがすぎる。
太田さんがめちゃくちゃ暴れて、山ちゃんが嬉しそうに突っ込んでるのが、自分のことのように嬉しかった。凄い。全漫才師の憧れが、同じ舞台で隣に立って、山ちゃんためにボケてる。山ちゃんにとって勲章みたいな経験なんだろうなぁ、と思った。
太田さん本当にかっこよかったなぁ。後輩のために板の上で全力で汗かいてくれるの、マジで偉大な背中すぎる。太田さんの真のカッコ良さって、大人になってから気付かされるよなぁと改めて思った。
めちゃくちゃ良いライブでした。
演者の皆さんもスタッフの皆さんもお疲れ様でした。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?