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よるのじてんしゃ

22時47分、哀しさがやってきて困ったので、自転車に乗って家のまわりを走りました。

気に入っているものの目立つ緑色のGジャンを着て出ました。
夜の外はどんな柄のどんな色のお気に入りの服を着ても目立つことはありません。

人の視線も気になりません。

人の少ない暗い道を走ると、そこに存在する私が「何に」作用することなく生きていられることに喜びが湧き出ました。

外気は肌の表面温度に近い生ぬるさになっていておどろきました。
私が知らないあいだに自然はいつでも変化していて、家にいると私はそれに気がつかないまま過ぎてゆきます。

家に帰ってきて目を瞑りシャワーを浴びている時、まぶたの裏に「散歩に出ないことを選んだ私」が項垂れて、「散歩に出て夜を見た私」という現在からどんどん離れて後ろに流れてゆくようなものがみえた気がしました。

散歩は外にも中にも意識を向けることができるので好きです。

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