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「動きをうごかす展」を見た感想。

動きをうごかす展
感想

【2018.6.13 藤堂高行さんのお名前を間違えて記載していました。申し訳ありません。】

岡山から東京へやってきた第一の目的は、山中研究室プロトタイプ展2018「動きをうごかす展」を見に行くことでした。
本日2018.6.10に東京大学生産技術研究所へ行き、展示を見て、また山中俊治さんと藤堂高行さん、杉原寛さんのトークセッションでの感じたことを、僭越ながら書こうとをもいます。

11時からの展示にも関わらず早く着きすぎて、会場の中で雨宿りさせていただいて嬉しかったです。

昨日は東京大学の赤門やその他キャンパスを見に行き、今日は東京大学駒場リサーチキャンパスに行って感じたんですが、東大のキャンパスって古い建物と新しい建物が共存していて、見ていて楽しかったです。

生産技術研究所は新しい感じがする建物群の一角にありました。建物のガラスに書かれた「動きをうごかす展」の文字が、ガラスの面積に対していい具合に余白を残しながら配置されていてめっちゃかっこよかったです。

一階のギャラリーに展示がありました。

到着が早すぎたため、日曜の一番乗りでしたが、まだ藤堂さんの「SEER(Simulative Emotional Expression Robot)」が調整中でした。
能天気に、「動画でみるのと比べて小さいんですね。」と失礼とも取れる発言を作業中にしてしまって反省しています。

SEERのサイズが小さい理由に関しては、トークセッションの質問時間にて藤堂さん自身が回答されており、そういう理由も含まれていたのかとびっくりしました。

展示の会場は白一色で、とても落ち着いた雰囲気でした。展示物の影がくっきり見えて、物の形状に注視できる環境でした。

展示の一つ一つの近くに銀色のダイヤルが設けられていて、それぞれのダイヤルの下に小さく英単語による単純化された説明が美しいと感じました。
操作自体も単純で、ダイヤルの回し具合によって作品の動きが変わり、自分で動かすことができる感じが作品への没入感を高めていて面白かったです。

僕がもっとも興味を引かれたのは、「READY TO CRAWL」の機械群です。
中でも円柱状の頭がついた昆虫っぽい作品の動きがとてもおもしろかったです。


というのも、背骨を模した構造を持っているのにも関わらず、体を支える目的のためではなく、モーターの動力を本体下部の脚へ伝える役割を果たしていることが興味深く感じました。


一見円柱状の頭部を支えていると思いきや、頭部を支える役割は本体下部からニュルッと伸びた骨のようなのがはたしているように見えます。(違ったらすみません。)

よくよく見ると背骨とは全く違う構造を取っていて、それもまた独自の進化を遂げた生物感を助長し面白かったです。

トークセッションの中で、杉原さんがおっしゃっていた「生物の動木の細部を完全にコピーするのではなく、機構から着想し、生物の動きっぽさを付与している。」みたいなニュアンスの話がしっくりきました。

「SEER」もまた、動画で見るよりも実際に体験した方が印象に残りました。
目と瞼、首回りの動きで繊細な喜怒哀楽を人に感じさせる独特な作品でした。


藤堂さん自身も「原稿的に喜怒哀楽を伝えるのではなく、感情をクラデーション的に表現している。」といった節の話をされており納得しました。

ちらっとトークセッションでも出ていましたが、上手い漫画家の人は漫画の中の人物の顔で心象を読み手に伝えるのが上手いことと似ているのかなーと思ったりしました。

「Breathing Skeleton」は人間の呼吸動作を骨格のみで再現した作品であるらしいんですが、作品の中でもっとも生き物の生々しさを感じた気がします。


肋骨の上下運動は自分自身の体で行われていることなので、その動きになんとなく共感というか、生きているみたい、と感じが強かったです。
呼吸というのは、大体の生物が行なっている動作であるので、展示内容を記載した冊子に書かれている、「新たな生物的表現の提案を目的とした」の意味がなんとなく理解できた気がします。

どの展示でも「動き」を自分で「うごかす」ことができてとても楽しかっったです。
デザイン学部生としての知的好奇心を刺激する面白さが詰まった内容で、東京まで足を運んでよかったと思います。

あと山中俊治さんと少し話せて、恐れ多くもサインをいただくことができ、テンションが上がりました。
家宝にします。

READY TO CRAELの観察スケッチ


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