人は下振れるとカオスに対峙する

人は下振れるとカオスに対峙する。それは深淵でありこちらを覗いている。

しっかりと踏み締めてきたこの道を振り返る。すると、1時間前の私が今の私を見下している。いや見下しているように見えるだけである。今の私が彼を見上げているから逆説的にそう感じるのだ。今、目の前にカオスに塞がれて道が見えていないように、彼にもこの道とそこに佇む私は見えていない。

それはいつも人の前にじっと腰を据えて座っている。人が高みに登っていく時も低みに降りていくときにも変わらない。動きはしない。アリジゴクのように獲物が来るのを今か今かと待ち望むだけである。そして人が落胆し下を向いた時だけに牙を剥くのだ。それは人の心の隙に入り込み背中を押す。カオスはお前は裏切らない、もっと飛び込めと囁く。

カオスは平等である。いくらフェルミが説いたところでカオスは屈しない。その点、カオスは善良な友人である。カオスに「辛い時に助けてくれるのが真の友人」という俗世の格言は通用しない。真の友人は常に姿勢を変えずに私に寄り添っている。調子の良いときには見向きもしないのに拗ねず、不運で焼けているときには八つ当たりするのに恨まず見守っている。どんな時も常に私に正直であり続ける。

カオスはいつも私を真正面から見ている。

カオスは敵でも味方でもある。

カオスを受け入れよ。さらば救われん。



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偶には短い記事でも
ギャンブルは程々に

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