見出し画像

台湾旅行記 出発編

ある時、自身の所属しているポーカーサークルのHさんからこんな話を持ち掛けられた。
「台湾でASPTっていうポーカーの大会があるんだけど、お前も来る?この大会は木原さんが、、、」

Hさんはその後も大会のことを詳しく話していた。木原さんとは物凄く有名なプロポーカープレイヤーであり、Hさんはその木原さんに会えることを楽しみにしていたようであった。

自分はそんなことは正直どうでもよく、初めての海外旅行、初めての海外での現金を賭けたポーカーに心躍っていた。それにHさんは海外の経験が結構あるそうで、台湾に旅行するぐらい造作もなさそうであったので、困ったことがあったらHさんに頼ればいいかくらいの気持ちでいた。

もう一人 J という人も来て旅費を三分割する予定であったが色々あった挙句、参加しないことになった。金のない自分は旅費を三分割できないことにごねて、やはり台湾に行かない方に感情が傾いていた。Hさんと二人で旅行するのもちょっと気まずいかもとも思っていたが、そんな時に元サークル代表と食事をして、こんなことを言われた。

「破産するなら学生の内」

社会人になったらどうせ金を充分に稼げるし、今は破産してもゼロになるだけ、という意らしい、何を思ったかこの言葉に背中を押され台湾行きを決めたのは日本を発つ4日前であった。

旅費は大体の想定で、ホテル代5万、渡航費5万、食費・観光費5万、ポーカーを打つ元手15万 
の計30万を用意しなくてはならない。

勿論、万年金欠大学生の私にそんなお金などある訳なかった。週1回の夜勤のコンビニのアルバイトよりも多く、パチ屋に足を運ぶ怠惰人(たいだんちゅ)に貯金など会うはずがない。そこで、両親に土下座して金を借りることにした。

消費者金融という手もあったが、幸か不幸か、幼少期からギャンブル漫画を読み漁ってきた自分は、消費者金融に金を借りて返せなかったものの末路はよく知っていた。ウシジマ君とかカイジとか。そんな漫画をリビングの本棚に置くなと今振り返れば思うが、こんな時を父親が見越していたのかもしれない。

そんなこんなで、実家のある愛知に土下座兼旅券の申請をしに行くことになった。少し多く予算を見積もって40万貸してくれと頼み込んだら、意外にもすんなりとお金を貸してくれた。助かりました。そして、両祖父母の家にも出張し、元気な自分の姿を見せると同時に、台湾に旅行しに行くことをなんとなく話して、パトロンを募集しに行った。悪く言えば金の無心である。そうして十分な資金が集まった。また、毎度自身の日記に登場している友人Kにも台湾に行くことを話すと、ポーカーのステーキング(掛け金の一部を出すことで儲けに相乗りすること)をしてくれた。

こうして台湾に行く準備は整った。いざ出発である。関西国際空港から台湾の桃園空港行の飛行機に乗る。期待していた入国審査官には無難な質問しかされず、無事入国。ここから台湾の旅が始まることになった。

意外に緑が多い台湾


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?