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台湾旅行記 ASPT編

「ポーカーアドカレ2023」への寄稿noteです。

今回の記事は自身の台湾旅行の記録の一部、ASPT(Asia Series Poker Tour)に参加した際の日記みたいなものです。
このnoteだけで完結するので、ぜひ最後まで読んでもらえると嬉しいです。

~台湾への出発前~

私「っていうことで、Hさんと二人で台湾行ってポーカー打ってくるわ」
K「じゃあ、ステーキングしたるわ、2万円あげるからこれでなんか出てや」

そんなこんなで、友人から2万円くすねました。Kはあまり金使いの荒くない人間なので正直驚いた。お金もない、ポーカーもそこまで腕の立つわけでもない自分にこれほど期待してくれたのは正直に嬉しかった。そうして、Kとは色々と相談した結果、トーナメントエントリー費の3分の1出してもらって、入賞賞金の半分を返すことにした。

他にも、両親の前では頭を下げ借金を、親戚の前ではそれとなく台湾旅行の話を出してお捻りをいただき、何とかポーカー資金の25万円を集めた。自分で働いて貯めろよというお言葉、よく分かります。でもASPTに参加しようと決めたのが出発の数日前とかいう突発的なものだったのでどうしようもありませんでした。それでも、ポーカーを打つには心許ない資金なのですが、まぁ行けば何とかなるでしょうという気持ちで出発の当日を迎えるのでした。

~トーナメント前の祈願~

9月6日、この日で台湾旅行は6日目に突入していた。私のここまでのポーカーの成績はマイナス9190台湾ドル(5万円弱)とあまり奮っていなかった。そこで、丁度Hさんの予定もなかったので、二人で行天宮という台湾の神社みたいな場所に参拝しに行くことにした。その場所には勝負事の神様である関羽が祀られているようで、ポーカーの勝利を祈るのにはうってつけであった。

反り返る屋根

どうやら説明を読むに、正式な参拝方法は三跪九叩頭(一回の礼拝で、3回跪き、9回礼をする)を5箇所の場所で順番にやるらしい。なので合計して45回頭を下げる必要がある。何だ何だ面倒臭いなと思いつつも、減るもんじゃないしここで出し惜しみしてどうすると思い完遂した。Hさんは私が必死になって礼拝している横で、立ちながら手を合わせるだけだった。後から聞くに、心の中で45回お辞儀したらしい。それだけで御利益があるとお思いで?と感じたが、Hさんは現実主義者なので、そういった礼拝行為自体をするのは少し意外であった。

ここで三跪九叩等

その後、今日のポーカーを占うであろうおみくじを引く事になった。ただ、おみくじを引く前にはこの場所特有の儀式みたいなものがあり、まず自身の聞きたいことを思い浮かべ、おみくじを引いて良いかお伺いを立てないといけないらしい。その方法は割れた盃を模した半月状のでっかい柿の種みたいな奴を二つ振って、表と裏が一つずつ出れば引いてよし。裏裏ならもう一回、表表なら引くな、もしくはお前の悩みはお前が一番分かっているじゃろというだるい奴です。台湾語で書いてあったそこら辺の説明を何とか解読し、早速振ります。最初、表表を2回引き、そのお告げを無視して振り続けた結果表裏が出ました。聞きたいことは「これからもポーカーなどのギャンブルを続けていって良いか」でした。おみくじの内容は「上吉、平凡な人生、程々に」みたいな感じでうるせぇいよと思いました。Hさんはこの面倒臭い儀式のことをフリップやんと冗談を宣い、大吉を引いていました。どうしてだよ。

ともかく、これで祈願は終わりました。後はポーカーで勝つだけです。

〜ポーカートーナメント実践〜

行天宮からASPTの会場に帰ってきました。Hさんは別のトナメに出るそうで別れました。まだエントリー開始時刻の18時半には時間があります。そこで、近くのコメダ珈琲で心を落ち着かせる事にしました。コメダ珈琲は台湾にもあります。何を頼んだかはもう忘れてしまいましたが、友人Kからの期待を背負っているので普段よりも緊張していたのを覚えています。Kに顔を向けられないようなプレイはできません。

アカギの「所詮他人の金だし気楽に打ちゃあいいんだよ」(cv.萩原聖人)という台詞に背中を押されて、喫茶店を出て、トーナメントにエントリーしました。

ここからはハンド共にこのトーナメントを振り返っていく事にします。別に戦略的なことは書けませんが、その時の心情と共に振り返ることにします。

健気にハンドをメモってKにLINEで実況しています。真面目だね

#1 Level1  ef150bb
Preflop
LJ : r3bb (Hero AcJh)
HJ : x 
BB : x

Flop 8h4h3h
LJ : x
HJ : x
BB : x

Turn   2d
LJ : b3bb
HJ : c
BB : f

River   As
LJ : b8bb
BB : f
このハンドがファーストハンドでした。まずまずのハンドでした。リバーでAが落ちてくれて、安心したのを覚えています。

#2 Level4  ef 75bb
Preflop
HJ    : r 2.5bb (Hero AcJh)
BTN : c
SB   : c

Flop  6h6c7c
HJ   : x
BTN : x
SB   : x

Turn Jc
HJ   : x
BTN : x
SB   : x

River 8h
HJ   : x
BTN : x
SB   : x
はい、チキりました。THTKを2回も打たなかったことなんてそうないんですが、ここまでの台湾でのポーカーで異様にコーラーからスーテッドのハンドばっかりが出てきていたので、フラッシュにビビりました。

#3 level5 ef 75bb
Preflop  
UTG : r2.5bb/c
CO   : r7.5bb    (Hero AdJd)

Flop JJKr
UTG : x
CO   : x

Turn 2h 
UTG : x/c
CO   : b6bb

River 9d
UTG : x/c
CO   : b20bb
ずるしました。相手の方はKQoでした。でも相変わらず、Flopから打っていかないのはチキっているように思います。その時はすごい戦略とか考えていたはずなのですが、後から見ると、一回様子見してから、ベットに回る傾向にあるようです。
 
#4 level不明 ef不明
Preflop
BTN : r2.2bb (Hero AhJh)
BB   : c

Flop Jc7h7d
BB    : x/r5bb
BTN  : b2bb/c

Turn Th
BB   : x
BTN : x

River 9d
BB   : b11bb
BTN : f
本当はコールしなくてはけないこのハンドを降りました。台湾の方は、こういったリバーの大きなベットにブラフが均衡よりめちゃくちゃ少ないのを今まで見てきていたので、エクスプロイトフォールドと言えばそれまでですが、それにしても降りすぎなのではと思います。それよりずっとHeroのハンドがAJじゃねぇか。このトーナメントなぜかAJが入り続けるんですよね、AKとかQQとかが良かった。

#5 level11 ef33bb
Preflop
UTG : b2bb
BB   : c (Hero 6h6d)

Flop  Th4d3c
UTG : x
BB   : x

Turn 7s
UTG : x/c
BB   : b3bb

River 5s
UTG : x/c
BB   : b12bb
最後のリバーのベットは意識的に指を震わせながらベットしました。これは偽テル(わざとブラフ時に出やすいテルをする)を使ってみました。今まで、大学でのサークルで学習、練習してきたポーカーの戦略的なものをかなぐり捨てて、最後に縋ったのはメタゲーム的思考でした。ポーカーがメンタルゲームと言われる所以が少しわかったような気がしました。

そんなこんなで、バブルラインのところまで、生き残ったのですが、最後はKTo<44で負けてバブルで飛び。トーナメントって儚いですね。

どうしてだよぉぉぉ

他にもAAvsJJがボードストレートチョップになったり、UTGvsBBでFlopTTTが落ちたり、ドンクシチュエーションではないのに時間使ってチェックすることでターンを見してもらったり、と色々面白いことは起きました。ですが、失意の中、覚えていることは今ではもう少なく、友人Kとしていたシチュエーションの実況LINEの文面でしかそれらを思い出せなくなっています。

〜飛び後〜

ここまで、ポーカーで負けてもあまり悔しくなかったのですが、今回ばかりは相当に悔しかったようで、友人K に今回のトナメの愚痴を電話で話しつつ宿に帰りました。話始めは気丈に会話していましたが、話しているうちにだんだんと焼けてきて、「やっぱ俺、辛ぇわ」ということに気が付きました。そして、宿とは反対方向に向かって台湾の街を歩いていることにも気が付きました。踵を返して、道中にあった吉野家で牛丼と茶碗蒸しのセットを買って帰ります。コンビニでポテトチップスを酎ハイも手に入れて、宿で悔しさを紛らわすためにそれらをかき込みます。

気づいたら寝ていたようで、起きたのは昼の3時過ぎでした、Hさんは既に次のトーナメントに出発していて、もう宿にはいませんでした。夜市で一緒に夕食を食べるためにHさんと合流した時には、傷心の自分を気遣ってくれているのか、心ばかし優しかったように思います。

その後もトーナメンは滑り続け、マイナス26000台湾ドル(13万円)を失って帰国するのですが、後悔はしていません。初めての海外でのお金を賭けたポーカーは日本でやるポーカーとはまた違い生臭さがあって良い経験でした。

こうした経験ができたのも、大学のサークルでポーカーという、仲間と共に高め合うことのでき、またそのゲーム性によって様々な人と対等に戦うことのできるポーカーという競技に出会えたおかげだと思います。今回の学生選手権が、全国の学生ポーカーコミュニティの輪や世界を広げるような素晴らしい機会になることを祈って、この記事を寄稿することにします。


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