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GIGAスクール構想からこれからの学びを考える

GIGAスクルール構想について考えています。

1人1台の端末と高速通信環境の整備をベースとして、Society 5.0の時代を生きる子供たちのために「個別最適化され、創造性を育む教育」を実現させる施策である。(文科省サイトより)

いまほとんどの学校で1人1台ICT機器を渡すところまでは出来ています。課題は、それで何するの?という点です。私なりに考えてみたのでシェアします。

探求時間を捻出する

EdTechを使うことで知識習得を効率化できるというデータがあるそうです。その分をPBLに充てられる、イエナプランのワールドオリエンテーションのようなことができるわけです。

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※出典:未来の教室ウェブサイト

教育格差の改善、教育の民主化

現代ビジネスに掲載されたこちらの記事(多くの人が知らない…「勉強は頑張ればできる」で済ませてしまうこの国の“大問題”)によると、次のような傾向にあるそうです。

低SES層の子どもは、「成績が下がった」という経験が、学習意欲の低下につながり、その後の学習に不利な影響を与え、「勉強したくないから成績がさらに下がる→成績が下がるからまたさらに学習意欲も下がる」という悪循環が生まれる。

低ESE層とは『「両親が非大卒で世帯年収が低い」というような社会経済的地位の低い家庭』を指すそうです。

ここにEdTechが入ることで悪循環を断ち切れるかもしれません。例えばAIドリルを使うことでその子の苦手分野をサポートし、「分かった」という楽しさが味わえるかもしれない。まさに個別最適化ですね。

個人の興味に寄り添う

学び好きな友達と話していたとき、こんなフレーズにたどり着きました。

「学びとは、本当の自分に出会うための手段」

あー、そうかも、それはいいな、と思います。

子どものころは幼くて、まだ自分がどんな人間なのか分からないですよね。しかし学びを通して自分と向き合うことで、自分の興味があること、考え方、価値観などに気づくわけです。できればそれを中高生のうちにある程度知って、その先の進路を考える参考にしたいです。現状の日本にありがちな、「少しでも知名度の高い大学に入って、後でやりたいことを考える」という、目的と手段が逆転した状況は改善したいと思います。

早く自分に気が付けば、その分早く社会で貢献できます。20代のころ社会からあれこれと試されても、自分の軸をもって入れば力強く進めるでしょう。


懸念1:変化する学校への期待に対応できるか

こちらの記事(驚異の進化を遂げる世界の教育コンテンツ。日本は置いていかれる?)にあるように、知識を習得するならオンラインでも可能な時代です(ただし英語力が必要)では学校は何のために必要なのでしょうか。

まず、学校の役割を分解して考えてみます。①知識伝達 ②多様な人間関係の中で社会性を育てる おそらくこれまでの学校はこの2つで成り立っていました。今はここに③探求・思考力の育成 ④社会常識の伝達(金融、防犯、デジタルシチズンシップなど)が加わっていると思います。

私はこれからの学校の役割とは②多様な人間関係 ③探求・思考力 になっていくだろうと考えています。①は上記のとおりEdTechで可能です。むしろ「〇年生習わない漢字は例えた正しく書けていてもバツ」のような線引きは邪魔なくらいです。④は学校だけでなく社会にもっと受け皿ができたらいいと思います。

と考えると、①の役割を徐々にEdTechに譲り、③を育成していくことが必要です。

前に、教育関係の方からこんな話を聞いたことがあります。

「どんなにAIが発達しても、教師の仕事はなくならない。学びは楽しい、学ぶことは嬉しいという感覚は、人間からしか伝えられない。教師はそれを伝えられる仕事だ」

これからの先生に求められるのは、正確な知識を伝えることではなく「学ぶのって楽しい!」という感覚なのかもしれません。

学校はこのスタイルに変われるか、社会はそのための人材を育成できるか、運営のための仕組みは作れるか…などが課題だと感じます。

懸念2:社会がサポートできるか

従来の学力から離れた学びを、社会が需要できるかです。

カリフォルニアにHigh Tech Highという先進的な高校があります。そこのことを紹介した「Most Likely To Succeed」という映画にも、「この学びで大学に合格できますか?」と保護者が心配するシーンがありました。

探求型学習をして大学受験に勝てるのか(敢えて勝ち負けで書きました)、この問いがある限り探求を広く一般の学校で展開するのは難しいと思います。まだ誰もその答えを持ってないし、そもそも探求のゴールが大学受験の成功なのかどうかも分からないのです。

まとめ:個別最適化しながらみんなが高偏差値の大学を目指す?

これからの学びに期待すること…まとめるとこうかなと思います。

文科省:GIGAスクール構想を達成して個別最適化された創造的な学びを実現する

保護者:できるだけ偏差値を磨いて大学受験を成功させる

経済界:今後需要が増えるIT関連スキルをもった人材を育てる(でも同時に既存の要人と同じような学歴も持っていてほしい、ホモソーシャル)

教育が好きな人:個人の能力を最大化する

うーん、バラバラ…笑

大人の需要側からこれからの学びを検討するのは無理があるのかもしれません。もっと視点を子どもに寄せたら何か見えてくるかな?

子ども達と育ちあいながら、いい道を探っていきたいです。

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