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ニートが家に住むことになった。#08

どうも、この度ニートが家に住むことになりました。

(チ)お久しぶりです。


どうもこんばんは。寅女です。約9ヶ月ぶりにこのnoteを開きました。
このnoteを更新しない間、様々なことがありました。もちろん、ニートとの同居生活においてもハプニングの連続で、日々を過ごしながら「これはきっと面白い記事にできるな」とずーーーっと思っていたのですが、3月末にニートが退去してから、また誰にも気を遣わなくて良い独身街道真っ只中の快適空間を手に入れることができ「2人で生活していた時の出来事を何も思い出したくない」と1人の時間を存分に楽しんでしまいました。同時に、5月から仕事上でのお客さんががらっと変わって忙しくなり、もはやこの家に”日本語が喋れる大きめのゴールデンレトリバーみたいな男”が住んでいたことを忘れかけてすらいました。灼熱の日々が終わり少し肌寒くなってきたこの頃、そういえば去年の今頃に合コンをしたことを思い出し、ようやくこのnoteが結末のない気持ち悪い状態で放置されているということに気づきました。これから年内までに完結することを目標に更新していきます。

さて、前回のおさらいからさらっと済ませよう。合コンで出会いひょんなノリから”社長見習い”のニートが家に住むことになり、一週間住んでみたものの思ったより何もできないニートであることが判明。友人の社長やマッシュ男からは手を引くことをお勧めされるも寅女謎の熱量を発揮しもう少し一緒に頑張ることを決意。初詣に行き、人生で一番楽しかったあの日をまたも更新したのであった。

(ツ)再スタート〜ニート、バイトを始める〜

寅女仕事始めの日、また彼は家に戻ってきた。その日からニートは年内に一緒に探したコールセンターのバイトがスタート。毎日7時半頃に起こしてお見送りをし、7時半頃に帰宅したニートに夜飯の餌付けをする毎日。帰宅すると死んだ目で仕事している私に構わず「今日は営業成績が2番だった」「今日も勝ちたかったから頑張ったんだ」と自慢話を小一時間続け、気が済んだらYouTubeを見てゲラゲラ笑っていた。

ちなみに、以前の記事に記載したことがある気がするが、彼は飛び込み営業をやったことがある。物腰柔らかで押し付けがましく感じさせない彼のスタンスはおそらく飛び込み営業やコールセンターでの発信業務にはうってつけであろう。そのコールセンターに入社してからの彼の営業成績は寅女も驚くほど良く、とてつもなく感心していた。また、自慢話には付随していつも自らの創意工夫点もセットで話をしてくるのであるが、人の技を目で盗むのに長けており誰かに教えてもらうことなく鰻登りに成績が伸びていっていた。毎日生き生きとした顔で話をしてくるのを見て、寅女少しほっとする。

(テ)春巻きとインスタントラーメン


再び一緒に生活するようになって、これまでほとんど自炊をしてこなかった寅女が急に少しだけ自炊欲が芽生えてきた。ただ、自炊と言っても毎日午後9時〜10時頃まで仕事をしていたので、そんな凝った飯なんて作ってられない。だいたいがパスタやうどんなどの麺類で賄っていた。少しの野菜を入れて、気持ち程度の食物繊維を摂取していた。

ある日、ラ王のインスタントラーメンを作ろうとしていたらニートが珍しく近くに寄ってきてじっとこちらを眺めている。何、というとどうやらインスタントラーメンを今まで作ったことがないらしく「作り方が知りたいからここでみてる」と言われた。かれこれ25年、日本で人間生活を過ごしてきてインスタントラーメンを作ったことがない人が身近にいることにとても驚いた。同時に、年末寅女が熱を出して悶えていた時「インスタントラーメンがあるから、勝手に作って食べていいよ」と言ったにも関わらずじっと飯が出てくるのを待っていたのは、インスタントラーメンの作り方がわからないからだということに気づいた。引いた。
よくよく聞くと、食べたことすらないらしい。今まで何食べてきたの、と聞くと「両親と住んでいた頃は毎日外食。祖父母と暮らしていた時はばあちゃんのご飯。」と言っていて、まあ出会わないのも無理ないか、と納得したような納得してないような、不思議な気持ちになった。

「まあなかなか作らないよね」と言うと「春巻きを作るのが得意」と彼は自慢げに言った。続けて「俺が作った春巻きを食べて、美味しいって言わなかった人見たことないよ」とかなり自信ありげな様子だったので後日お願いして作ってもらうことにした。
まず豚バラ肉・一緒に炒める野菜たちを刻んで、さっと炒めて少し冷ます。冷めたらその餡を丁寧に大きな皮で包んで、油であげていった。なぜインスタントラーメンは作ったことがないのにこんなにも工程の多い料理は得意になったのか疑問に思ったのでなぜ作れるのかと聞くと「ばあちゃんの料理の中で一番好きで、ずっとばあちゃんが作っているのを横で見てきたんだ」とのことだった。
なるほど、やはり人のことをじっと見て「目で盗む」ことは得意なのであろう。その才能だけはこっそり心の中で尊敬していたがこれは本人には言わず「おいしかった」とだけ伝えて就寝した。美味しかったと伝えてかなり調子に乗ったのか、その後約1ヶ月間で3回も食べさせられたことに関しては目を瞑ろう。

(ト)寅女、初めて男に飯を作る。


私は彼氏がいない。社会人になってから彼氏がいた期間はたったの2ヶ月なので、ほぼノーカンとすると約3年は彼氏がいない計算である。また、学生時は私も彼氏も実家住みだったため私が人のために食べ物を作るなんていう行事は年に一度バレンタインデーのみであった。よく「彼氏にご飯を作ってあげる」みたいな話はよく聞くが私からするとただただ妄想の中のうちの一つの話、程度でどうしても人に飯を作る、ということに関して現実味が帯びてこなかった。

ある日、ニートは朝から仕事に行き寅女は昼過ぎまで寝て、特に予定のない土曜日を過ごしていた。夜何かご飯でも作って待っててあげよう、と急に思い立ちニートに「今日何が食べたい?」と聞いてみると「肉」とのことだったのでハンバーグを作ることにした。
自炊はほとんどしてこなかったが、一応飯を作ることはできる。急いでスーパーへ行き、必要な食材を購入し久しぶりに肉を捏ねた。1人で肉を捏ねているとなんだか恥ずかしくなる。「そもそもこれは喜んでくれるのだろうか」「美味しく作れるかな」となに、急に女子なんですがキモ、みたいな声が私の脳内を行き来する。そうしているうちにニート帰宅。「え!作ってくれてるの!」とかなり驚いていた様子だった。一発勝負味見なしのハンバーグが彼の口に入るまで緊張が止まらずこっそり変な汗をかき続けていた。一口食べてニート「おいし〜!」とのことで、ようやく緊張が解けて危うくなぜか涙が出そうになる。グッと堪えて、自分でも食べてみたら想像していたよりも出来が良く、無事【寅女の男に飯を作る処女卒業式】が終了した。

しかし当然こんな平凡で嬉しい日々も長続きはしないのである。

彼は朝起きるのがとてつもなく苦手である。寅女も朝起きるのが苦手なので社会人一年目から月〜金まで朝6時半には大音量でテレビが鳴るようにセットしており、プラスでiPhoneでアラームを鳴らしているのだ。朝からいろんな電子音が響き渡る寅女の騒がしい家でも、彼は起きない。だから早く寝ようよ、といっているにも関わらず、夜中2時頃まで好きなEDMフェスのYouTube動画を爆音でかけ続けてケタケタ笑っていた。まるで子犬が尻尾をふりふりしているかのようにケタケタ笑うもんだから、こちらも本当はとても疲れていて寝たいのにも関わらず、彼の思惑にまんまとのってしまい結局寝るのはその後だった。

彼はシフト制である。平日は寅女も仕事があるためかろうじて叩き起こすことができるが、問題は寅女が狂ったように眠っている土日の出勤日だ。前日に何度も「明日仕事ないからテレビもつかないし、アラームも自分のはかけないから。勝手に起きなよ」というにも関わらずそんなことには二つ返事。翌日見事に寝坊するのだった。寝坊した日、帰宅したニートに「今日怒られなかったの?」と聞いても「まあちょっと言われただけだよ〜」と何も気にしていない様子だった。

(ナ)有難い人生と無難な人生について


寅女はその態度に少し違和感を感じた。普通の会社であれば激怒され、理由を聞かれ、寝坊したと伝えるとさらに怒られるのがセオリーだと思う。だがニートは「”人としての常識ちゃんと弁えて”と言われただけでそんなに怒られてない♪」みたいなテンションである。本当に人のこと舐めてる。
寅女「その態度おかしくないか。言われてることちゃんと聞いている感じがなくてイライラする。お前のそのクソどうでもいい寝坊で遅刻とかいうことに対して、忙しい中時間を使ってくれている人に対してそれは失礼だと感じる。」と伝えるとニートの顔色が少しだけ変わった。
少し口に出してしまうと流石に我慢できずに、続けて寅女「ニートくんはただのテイカー。人はギブアンドテイク。1人で生きていけないから支え合ってみんな生きてる。だからみんなできることやってるのに、ニートくんは人の大切な時間とか気持ちとかテイクしてばっかりなのが理解できない。もっといろんなことに”ありがたみ”を感じて生きてほしい。」
するとニートがすごくハッとした顔でこちらをじっと見つめながら「昔じいちゃんに言われたんだ。【有難い】は”難しいことが有る”と書く。【無難】は”難しいことは無い”と書く。俺はずっと無難な人生がいいと思って生きてきた。難しいことが有る人生なんて辛いから嫌じゃん。でも、今寅女ちゃんが言ったことで、じいちゃんが言ってたことも初めて理解できた気がするよ。ありがとう。」

(ニ)足が臭い話


ニートの小・中学の友人であるかんたくんという人物がいる。ニートも寅女も休みだったとある土曜日、ニートに電話をかけてきてそのまま3人で飲むことになったのが出会いだった。彼は寅女が今まで出会ったことのない人だった。芸大卒、趣味が映画作りであることからこのnoteの存在を知っても引いたりしないだろうと思い、当日にこのnoteのURLだけ送りつけ、また飲もう!と言ってその日はバイバイした。

そんなかんたくんから、突然LINEがきていたことを思い出した。
「ニートの足の匂いも管理したほうがいいと思います!気になりませんか?半年かけて伸び切った爪は切ってもらったので、次はあの腐った靴ですね〜」
言われてみれば、ニートには清潔感がまるでない。寅女の家に来てから特にだ。足の匂いはあいにく匂ったことがなかったが寅女も一つ気になっていたことがあった。ニートが寅女の家で歯磨きをしている姿を一度も見たことがなかった。そのためかんたくんには「足の匂いは知らないけど、彼歯は磨いてるかね?」と返信した。すると「知らないけどサウナでは磨いてる。1分くらい」と来たのでホッとした。

寝坊した後の態度が気に食わず、我慢できずに色々つべこべ言ってしまった寅女は、この雰囲気のまま寝るのはまずいと思い、そんな彼の清潔感にまつわるエピソードを本人に聞いてみると「足臭いかな?匂ってみて!」と無理矢理匂わされた。腐った納豆の匂いがしたので同じ匂いがするスニーカーは全てゴミ袋にぶち込み、足を洗ってもらった。また、歯磨きについては「磨いている」とのことだった。朝会社に出社してから会社のトイレで磨いているらしい。また、女の子と遊ぶ時は必ず遊ぶ前に歯は磨くよ!と謎のカミングアウトまでしてきて笑った。ちなみに寅女と初めて遊んだ日はダーツを出る前にトイレで歯を磨いていたらしい。コメントに困った寅女は「へえ、おやすみ」と言って就寝した。

その後、早くも再スタートしてから1ヶ月が経過した頃、ニートのルーティンが明らかに変化していた。朝仕事に行く時間が遅くなり、理由を聞くと「シフトの時間が遅くなっただけだよ」と。さらに家にほとんど帰ってこなくなり、少し心配はしていたものの寅女の仕事が激務になったため無視し続けていた。とは言え日々疲れている寅女にとって仕事が終わってから共に笑える相手がいることの貴重さに気づき、少し寂しくなって泣いた。

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