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問題解決は根本的アプローチで

その転記、なくせないか? 1岡村 衡一郎

仕事のミスを減らす対策は、どの企業でも、当たり前のように行なわれている。しかし、その手の打ち方の違いで、結果が大きく変わってくるのが、ミスを減らす取り組みなのである。

一番よくないのは、「気をつけましょう」が対策になっているケースだ。
このように人的要素に原因を還元してしまう企業は、決して少なくはない。
原因を人的なことで片づけているから、気をつけましょうとなるのだが、それではそのミスがなくなることはない。

ミスをなくせる企業は、科学的である。

まず、どの作業でミスが出るのかを徹底的に分析する。そして作業別に、月に何件、週に何件、日に何件と行なう。時間帯別ではどうなのかを 把握する。

前提には、誰がやっても同じ結果になるという、人とコトを分けた上での、仕事への向き合い方がある。

人的還元主義になっている会社は、この逆だ。

誰々さんは多くて、誰々さんは少ないというとらえ方になっていく。これでは、現状は隠され、真をつく対策までの道のりは遠い。

「その転記なくせないか」。

これは、施工図(建物を建てるために作成される図面)からバラ図(工場で、その建物に使用する材料をつくるための図面)への転記(100項目から1000項 目にわたる)でミスが起こりやすいことをつかんだ、企業Aの着想、作業自体をなくせば、ミスはゼロになるという問題解決のアプローチである。

施工図からバラ図への転記は、その業界にとっては当たり前に行なわれている作業フロー、多くの人はなくすと いう発想にはたどり着きにくい。

企業Aでは問題が起こったときには、いままでの作業手順や作業フローを是としない。

なくす、散らす、ズラす、これらの三択から解決アプローチを考えていくのだ。

一番いいのはなくしてしまうことだ。
次に良いのは、前工程で同時に担ってもらって転記を散らす方法だ。
次の次に良いのはズラす、工程をズラして複数の手でその作業を担うことでダブルチェックにつなげる方法だ。


1/5くらいのものはバラ図なしでも製作に入れるのではないか。

企業Aでは、ミスゼロに向けて、業界初の取り組みをはじめた。
これで100の注文のうち20は完全にゼロになる。併せて散らす取り組み、前工程で描かれる施工図との連動でバラ図に落としこまれるシステムの開発をはじめた。

完成すれば、100の注文のうち40は転記がなくなる計算になる。
残りの40はズラす、ダブルチェックで前後工程のチェックで工場にそのまま流れない対策を打つことにした。

企業Aの問題解決アプローチに人的還元の要素は限りなくゼロに等しい。
だからこそ、問題解決の根本に手が打てるようになっていくのだ。
キーワードは、なくす、散らす、ズラす。問題の発生原因となるところは、作業に注意を払うことではなく、なくしてしまう。

この着想を持つのが、一番効果的な方法につながる。
そのためには、前提を是として考えてしまえば手が打てない。
人とコトを分けて、やり方自体を見直していく必要がある。

ミスを減らすのではなく、なくす。
この仕事への向き合い方が 根本的解決策をあぶりだす。


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