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先生とフルートと私《先生のコンサートに行くのには勇気がいるのです》

私の先生はコンサートやら 何やら 舞台に立つことが多い人だ。その都度ありがたいことにチラシをくれ、来てみませんか と声をかけてくれる。だが私はその都度 適当なことを言ってヘラヘラと断ってしまう。例えば こんな感じに「場所が遠いよ。先生!」とか「私は腰が重くてフットワークが悪いからな~」とか。 
ゆえに 未だ先生の コンサートに私は一度も行ったことがない。

あるいは口にしないがコンサートに行って それなりの所作をするのが (お花をあげるとか、先生のところにご挨拶に行くとか) 何とも照れくさすぎるのも 私を渋らせる大きな理由だ。

でも 一番の理由は先生のフルートが もし 自分の嫌いなタイプのフルートだったら どうしよう。だって自分にとって どうも苦手なフルートを吹く人から 教わるというのは どう考えても 矛盾だろう。それを知ったら 悲しいお別れになるのは必須。ならば知らない方が良いではないか。私にとって先生のコンサートに行く ということは その辺のところが つまびらかになってしまうということだ。だから恐ろしく、とっても勇気のいることなのです。

何とも人というのは どんなに未熟で 何もわかってないくせに、立派に 好き嫌いというものがあるのだから困ったものだ。上手 下手でなく、良し 悪しでもなく、赤が好きとか 青が好きとか 言うように 感覚的なものが 。

先生が「今回は、○○さんのお家の近くだよ」と言ったからと言って、なぜ "行く"って言ってしまったのだろう。魔が差したな~

果たして、先生のコンサートに行く羽目になった私はコソコソと目立たない席に座り、コンサートが終わったら挨拶もなしにコソコソと逃げるように帰った。でも、でもだ。そのコンサートに私は大大大満足。そしてありがたいことに私は今でも先生の生徒だ。





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