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”おにわさん”中の人が独断で選ぶ、2019年初鑑賞で素晴らしかった日本庭園

おにわさんInstagram、フォロワーが1万人を越えました

7月31日、おにわさんインスタグラムのフォロワーが10,000人に!うれしいです。ありがとうございます。

『おにわさん』というウェブサイトを立ち上げる時、「“京都の庭園”と限定せず、日本全国の庭園の情報に興味がある“庭園ファン”はどれぐらいなのだろう。1万人ぐらいは居るだろうか。」とぼんやり考えて、そこが一つの区切りだと常々思ってきたので…『月間UU:1万』はとっくに超えているけど、『SNSフォロワー合計:1万』に続いて『インスタフォロワー1万人突破』は嬉しい。

いちWEBマーケターとして客観的に、以下のように捉えています。

● 持たざる中年男性でも、インスタフォロワー1万人達成できることがわかったw(3年半かかったけど)iPhone一台でよう頑張ったなと。

● “偶然検索で訪れる人”よりも、固定読者を増やすことが“庭園ファン””メディアのファン”になる、と考えてそれを貫いてきて、今は「どんな庭園を紹介しても6,000~7,000人が見る」メディアになった。すごく露出価値があるメディアだと思います。

● 「渋い“日本庭園”というテーマには年齢層高いFacebookが合って、インスタは合わないのでは」…という先入観に反することがとても大事だった。

● その結果たぶん『(庭園業界のことは別にそんなに知らないけど)“おにわさん”はフォローしている』という層や、『インスタで文章を読む層』を開拓できている実感がある。

仕事で予算規模の大きいサイトや、10万人以上のフォロワーを獲得したWEBメディアにも携わっていたけど、それはあくまで会社のブランドあってこそで――その体験自体は今でも自分の血肉になっているけれど、亡霊のようなものでもあったので。
個人で1万人のフォロワー獲得できたというのは「個人として、ゼロイチを作れた」という自信が少しつきました。

おにわさん独断で選ぶ、2019年初鑑賞で素晴らしかった日本庭園

…とちょっと脱線しましたが、MacBookが直るまでの繋ぎで…2019年に初鑑賞した中で素晴らしかった庭園を振り返るよ!2020年の半ばに書くタイトルじゃないけど!

“いいね数”による『おにわさんInstagramから見る、日本庭園ランキング2019』

に含まれない中でも、(インスタ映え?しなくても)個人的に『ここはすごいー!』と思った庭園が沢山あります。
そんな庭園を #best9 にのっとって9箇所紹介。「初鑑賞」という条件の下なので必然的にマニアックな庭園が多いです。

なお下記のナンバリングはランキングではなく、見た順です。
あと書き始めたら「やっぱここも…」が多くなって沢山リンク貼ってます。

①桂国寺庭園(徳島県阿南市・阿南市指定名勝)

―― #上田宗箇  作庭と伝わる桃山時代の池泉回遊式庭園。岩壁・築山が圧倒的スケールの大きさを憶える隠れた名庭園。

徳島には『阿波国分寺庭園』を筆頭にヤバい石庭が多いし、“いいね数上位”に含まれる中で『本楽寺庭園』も素晴らしいのですが、この桂國寺もすごい。阿南市指定名勝…と文化財の格としては地味だけど、上田宗箇が関わり和歌山『粉河寺庭園』との類似性が見られるのならば、国名勝クラスの庭園なんじゃないでしょうか。

②旧益習館庭園(兵庫県洲本市・国指定名勝)

――江戸時代に淡路国を治めた稲田氏の屋敷に造られた、巨石がふんだんに配置された独特の庭園。

2018年秋に国指定名勝になって、その直後の2019年の年始に訪れました。初の淡路島の目的だった場所、この庭園も巨石群がヤバい。語彙力。

初の淡路島、もう一つの目的だったのはずうっと行きたかった安藤忠雄建築。おにわさん読者には実はこれらの方が人気。

③苔の里(石川県小松市)

――小さな里山集落で育まれ続けてきた、一面の美しい苔庭――隠れた苔の名所は日本最高級の苔庭。

2019年一番グッと来たというか…エモかった庭園を挙げるとするとここです。
地方の小さな、住民が30人に満たない集落が後世に何を残していくか。東京で暮らしていた自分にとっては、違う次元で時間がまわっているこの空間との出会いはとても衝撃的だった。“苔が美しい”だけでも十分楽しい場所だけど、そこに辿り着くまでの山間の風景含めて、味わってほしい場所。

この時の北陸旅で次点を挙げるならば、金沢市指定名勝で七代目小川治兵衛作庭の『辻家庭園』です。『兼六園』のある一帯にもいくつか庭園があるし素晴らしいのだけど、高台の近代和風建築ととともに楽しめるこの庭園も最高。あとは福井県の国指定名勝『三田村氏庭園』も。

④東山旧岸邸(静岡県御殿場市)

――吉田五十八が晩年に手掛けた近代数寄屋建築と、岩城亘太郎の“流れ”を主体とした庭園―この空間美は現代版“無鄰菴”。

この頃までは目的はどちらかと言えば #岩城亘太郎 の庭園だったのですが、ここを見て #吉田五十八 の魅力に撃ち抜かれましたね…(ここが『成城五丁目猪股庭園』に次いで見た場所でした)。
岩城亘太郎(岩城千太郎・岩城造園)作庭の池泉回遊式庭園は富士・箱根の麓の自然をそのままに、小川を主体としたもの――この小川が流れる庭園と名建築は、岩城亘太郎の師匠・7代目小川治兵衛の手掛けた名園を引き合いに現代版『無鄰菴』――なんて表現したいけど、いかがでしょう。

⑤孝順寺庭園(旧斉藤家本邸)(新潟県阿賀野市)

――新潟を代表する豪農“千町歩地主”斉藤家と村民によって作庭された広大な池泉回遊式庭園と近代和風建築。

昨年のGW(10連休)には宇都宮⇒仙台⇒松島⇒平泉⇒宮古⇒盛岡⇒山形⇒上山⇒米沢⇒福島⇒会津若松⇒喜多方⇒新潟⇒新発田⇒村上⇒長岡⇒長野…みたいな旅をした。各地で印象的な/素晴らしい庭園を見たけれど、1年を通じた中で紹介したいと思う筆頭はここかなと思った。

最寄り駅からも遠い、文化財にもなっていない、一介のお寺の庭園。実は、日本の長者番付クラスの邸宅に作られた庭園。しかも作庭理由が「不景気の時に町の人に仕事を作るため」。つい100年前まではそういう人が居たんだ、っていう。ストーリーも大事。
あと椿寿荘も素晴らしかったです。

同じ新潟でもインスタで人気があったのは長岡市の『越路もみじ園』。

地元の有力者によって明治時代に作庭された邸宅と、無料で公開されている公園。「そういう人が全国に居て、実は今も残されている。」というのが、伝わってほしい。、

⑥長興寺庭園(長野県塩尻市・塩尻市指定名勝)

――木曽義仲の母の墓所も残る寺院に、江戸時代中期に作庭された池泉回遊式庭園は美しい刈込が見られる隠れた名園!

この旅でも長野県名勝の『大庄屋 山口家庭園』、諏訪~茅野では『慈雲寺庭園』、『地蔵寺庭園』、『笹離宮』とか色んな良い庭園を見たんだけど、個人的な好みはこの長興寺。きれいな刈込群はもちろんとして、山深いロケーションや、この旅で見させていただいた個人邸の方に「あのお寺に良いお庭がありますよ」とご紹介いただいた経緯等々で印象的でした。

⑦アートビオトープ那須“水庭”(栃木県那須町)

――那須のアートレジデンスの敷地に建築家 #石上純也 さんがデザインを手掛けた、約300本の樹木が立並ぶ雑木の庭。

GWに続いて2019年は夏も長めの休みがあったので、東京⇒栃木⇒仙台⇒(LCC)関空⇒大阪⇒京都・滋賀⇒丹後・豊岡⇒岡山⇒小豆島⇒高松⇒徳島⇒岐阜・愛知⇒帰京…みたいな旅を。
“おにわさん”で取り上げてるのは基本的に庭園だけだけど、その間ではこの水庭を見て、奈良美智のN's Yard行って、近畿に移動した後は『ラコリーナ近江八幡』行って、四国では瀬戸芸行って、愛知であいちトリエンナーレ寄って、ついでに各地で重伝建やギャラリーやサッカー見て…みたいなごちゃ混ぜの旅。

“水庭”は、アート寄りの建築家が作庭した庭園という意味でその存在自体が自分にとってはめちゃくちゃ憧れのような場であり、実際「シブい・敷居高い・年齢層高そう」と若い人に思われてしまう(ことがある)「ザ・日本庭園」とは全く違う客層だった。

個人的にはその「シブい・敷居高い」印象を壊していきたいし、水庭を入り口にでも「おにわさん」で庭園を探してくれたりしたら嬉しいなって思っていたりします。『日本文化至上主義』みたいなオトナが否定することを『おにわさん』では肯定していきたい。

そしてこの旅で見た中では…“いいね”の多かった徳島『本楽寺庭園』や岐阜『慈恩禅寺庭園』以外では、岡山・児島『旧野崎家住宅』、京丹後『たゆう庭園』、近江八幡『妙感寺庭園』、一宮『旧林家住宅』は印象的な庭園でした。

⑧仙石庭園(広島県東広島市)

――二つの池泉回遊式庭園に日本全国から集められた銘石・巨石・奇石が並ぶ、”平成・令和の大名庭園”。

一気に秋の話。同じ旅であり特別公開の重森三玲『前垣氏庭園』もむちゃくちゃ素晴らしい庭園だったのですが、それより『新しい衝撃』に惹かれる。この仙石庭園は、現代に一個人が私財で『現代の大名庭園』を描いて造園している庭園。

個人的には非合理的な物事よりも論理的・合理的な物事の方が好きだ。なんだけど、それに囚われない非合理的なクリエイティビティにとても惹かれる。この大規模庭園を作ろう、という心意気がまさにそれ。

⑨石谷氏庭園(鳥取県智頭町・国登録記念物)

――近代鳥取の高額納税者だった実業家/貴族院/衆議院議員・石谷伝四郎の豪邸と借景の美しい庭園。国指定重要文化財。

ずっと見たかった赤穂の『田淵氏庭園』からはじまった播州⇒智頭急行⇒津山あたりの旅も『奈義町現代美術館』も含め楽しい旅だったなあという記憶なのですが、日本庭園としてはこの石谷家住宅の庭園の借景と紅葉とお屋敷が素晴らしかった。庭園がなかったら果たして鳥取県智頭町に足を運んだだろうか。古い宿場町の街並みも素晴らしかった。

次点:振り返ったら結局もっと紹介したくなった

どうにかこうにか絞り込んだのは先の9箇所なのですが…間間に「ここも良かった」と書いている通り、振り返ると色々紹介したくなる(笑)もう少し追記。

■盛合氏庭園(岩手県宮古市・国登録記念物)
――震災の被害から復興した、盛岡藩主・南部氏や #伊能忠敬 も眺めた三陸地方に残る貴重な江戸時代からの歴史的庭園。

ここは庭園の良さよりはやはりエモさみたいなものが勝ってしまうんだけど。

■春風萬里荘庭園(茨城県笠間市)
――かつて #北大路魯山人 が暮らした古民家と魯山人作の茶室から眺められる、“龍安寺”の石庭を模した枯山水庭園。

■栖雲寺庭園(山梨県甲州市・山梨県指定名勝)
――南北朝時代の禅僧・業海本浄禅師が自然の石組を活かして作庭した山の上の絶景の石庭。山梨県指定名勝。

あとここまで実は京都の庭園を一つも挙げていないのですが(期待値が高い&“いいねランキング”に大体入ってきている)、その中で「初めて見て一番いい」と思ったのは並河家庭園ですかねえ。

■並河靖之七宝記念館庭園
――七代目 #小川治兵衛 が無鄰菴の前に手掛けた京都市指定名勝庭園。国登録有形文化財の和風建築と美しい七宝焼きも!

2019年はカウントを見る限り(再訪含めて)500箇所ぐらいの庭園へ足を運びました。2020年のこのコロナ禍では、昨年のような大移動はできていないし、すべきではない(するとしても人が少ない場所を慎重に)という傾向が続くのだろうけど。
現在住んでる京都を中心に近場・穴場の庭園を開拓中。まもなくトータル1,300箇所。

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