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【資産運用相談事例①】いまもってる数百万の貯金をちゃんと運用したいです(30代男性)。

FPの資格をとりましたよーと言ってると、なんかポロポロと相談してきてくださる方がいらっしゃいます。ありがたいこってす。はい。

ご相談いただいた内容を共有することで、状況の近い方にも参考になるんじゃないかなーと、伝えられる範囲で書いていこうと思っております。


◆今回のご相談概要
・30代前半 独身男性
・資産は前職で社内持ち株制度を利用した110万円 その他預金300万円
・日々の生活自体は現職の給与で十分賄えている。
・持っている資産をうまく運用したい
・将来的には自分が動かなくても一定の収入が得られるような状態にしたい

「毎月カツカツでどうやって節約したらいいのかわからない、貯金ができない」というようなマイナス動機のご相談ではなく、手持ち資産の効果的な運用方法を相談したいという、どちらかというとかなり前向きな内容です。まあでも、この年令でこの資産額はすごい。。。


資産の効果的な運用と言っても選択肢は数え切れません。ご自身がどう運用したいかによって方向性が定まってきます。ここでいつも私が最初に必ず確認する3つの選択肢を提示しました。

1.「何か」を安く買って高く売ることを繰り返して利益を出す
2.購入した「何か」が生み出すお金で利益を出す
3.将来的に伸びる可能性がある「何か」を買い続けて大きな資産に育てる

どれが正解ということではありません。要は「どれが性に合ってるか」です。あと、いずれかひとつに絞り込む必要もなく、「2と3の複合技」とかもアリです。


ひとつずつ説明しますね。


1.「何か」を安く買って高く売ることを繰り返す

ある企業の株を3000円で買って4000円で売ったら1000円の利益が出ます。3000円の株を100株買って4,000円の時に売ったらたら100,000円の利益です。

でも、その銘柄の株価が下がったら損だけが残ります。また、株価が上昇している状況でも「いつ売ったら良いか」の判断は難しく、一定の経験とセンスが必要です。

【参考】株とかって損するだけっしょ?と、本当はそんなこと無いけどみんながそう思っている理由とは

上の例で言うと「3000円で買った株が4000円になった」という状態でも、持っている株の価値が4000円であるだけで、流通する現金があるわけではありません。その時点で「売る」という決断をして現金化しないといけないのです。株価が気になってトイレに入ってスマホばっかり見るようなハメになることもあります。

購入時は「4,000円になったら売ろう!」と考えていたとしても、短期間で4,000円に到達してしまえば「もっと上がるかも、もうちょっと売るの待ってみよう。。」となってしまうのが人間です。
しかし、ハマれば大きく利益を獲得できることもあります。


2.購入した「何か」が生み出すお金で利益を出す

イメージしやすいのは「家賃収入」です。資産をもっていれば定期的に現金を生んでくれるという種類のものです。

「家賃」となると不動産の所有が必要なイメージをお持ちの方が多いのですが「家賃収入的」なものを得られる資産というものは、不動産以外にも結構あります。

たとえば、REITで得られる収入は、不動産収入を細分化したものです。
【参考】意外と身近な不動産投資。実物買うのが怖いならREIT買ってみたらどう?

また、配当金が得られる株なども、日本株なら大体半期に1回、米国株ならクォーターに1回、定期的に現金が生まれます。


3.将来的に伸びる可能性が高い「何か」を買い続けて大きな資産に育てる

「1」のように売ったり買ったりするのではなく、日々値段が上がろうが下がろうが定期的に「何か」を購入し続けて将来的におおきな資産を構築します。

これの筆頭はこないだ書いたS&P500連動ファンドです。
【参考】30歳ぐらいのあなたが60歳ぐらいになるときまでに2000万円を貯める方法とは

毎月お金が生まれるわけでもなく、短期的に安いものを高く売って儲けるわけでもありません。正直「資産運用をしている」という実感もあまり感じられません。積立貯蓄に近い感覚です。

ですが、個人的には「銀行の定期預金よりも圧倒的に割の良い積立貯蓄」であると思っています。


◆今回のご相談経過

前の職場の持ち株110万円については、時価としては購入時より金額が下がっている状況でした。ただ、持株会に所属することによって報奨金が支給されており、ご本人の拠出額から現時点での時価を引くと、20万円ほどの利益になる計算になっています。

その企業の株価が今後上昇するか下降するかはわかりません。また、その企業はすでに退職しており、今後報奨金などのメリットは得られません。

という状況の中、よっぽど前職企業の将来が明確に明るいものでないのであれば、利益が出ている今の時点で現金化して他の方法で運用したらどうかと勧めています。

また、今回ご相談いただいた方はまだバリバリ30代。毎日仕事中に株価のチャートをにらみながら過ごすことなど不可能です。なので1の優先度は低め。2と3の複合技でいきましょうということになりました。


【2.購入した「何か」が生み出すお金で利益を出す】の場合

「将来的には自分が動かなくても収入が発生する状態にしたい」ということでしたが、今回は動かせるすべての資産を合わせても410万円。

REITの分配金とか株の配当って、その分配率はいろいろなのですが、大体保有資産の5%あれば上々です。いま持っている資産410万円全部をその類の資産として持っていても配当は年間約205,000円。月になおすと205,000÷12≒17,000。

まずはこれを多いか少ないかを判断してもらいます。ここはご本人の感覚です。


【3.将来的に伸びる可能性がある「何か」を買い続けて大きな資産に育てる】の場合

もうひとつの選択肢としては、持っている380万円の中からまず100万円ほどをS&P500連動ファンドに変えて資産のベースにします。あとは月に3〜5万円ほど定期的に同じファンドに積み立てていってはどうかという話をしています。

ここ20年、年間平均7%ほど価値が上昇しているS&P500ですが、個人的には直近2-3年で大きく下がるタイミングが来るリスクもあるのではないかと見ています。

そこで、資産の大部分をいま一気に拠出するのではなく、タイミングを変えて少しずつ拠出することによってリスクを分散させておいた方が安全なので「毎月定額を積み立てる」ことをお勧めしています。

また、タイミングを分けて拠出することによって、金額が下がったときにも同じ金額を積み立ててより多くのユニットを積み立てることができます。これが定額積立の最大のメリットでもあります。


最終的にどう運用されるかの結論はこれからなのですが、まあこんな感じでお話しています。


あなたの場合はどうでしょうか。1〜3の選択肢のなかから、どれが自分の「性に合ってる」かを考えるところから始めてみてはどうでしょう。


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