意外と身近な不動産投資。実物買うのが怖いならREIT買ってみたらどう?
「住むため」の不動産ではなく、投資先としての不動産についてのお話です。うまくやれば毎月チャリンチャリンと賃料収入が得られるようになります。
まず、不動産投資ってすごいお金持ちの人がするイメージがあるようですが、実はそうでもありません。
金融機関は不動産投資のためのローンを用意しており、条件が整えばそのローンを使って賃貸物件を購入し、家賃収入を得ることができます。ローンの返済額よりも毎月入ってくる賃料の方が多ければ、その差額が毎月チャリンチャリンと入ってきます。もちろん、借り入れを受けるわけですからリスクもあります。それはまたのちほど。
ちょっと試算してみましょう。
たとえば、SMBC信託銀行の不動産投資ローンを利用して3000万円の物件を購入したとします。
金利はいろいろプランがあります。特に意図はありませんが、ここでは10年固定年利2.2%のもので試算してみます。
ほとんどの住宅ローンでは、物件価格の80%まで借り入れることができます。20%の頭金(金融・不動産業界では「自己資金」といいます)は必要です。
なので、3000万円の物件を購入するなら、600万円の自己資金が必要ということになります。ここまではがんばってなんとかしてください。
残り2400万円を返済期間30年2.2%で借りると月々の返済額は
98,722円
になります。これが毎月出ていくお金です。
次は入ってくるお金のことを考えてみます。
物件価格は3,000万円でした。立地や築年数などによって上下しますが、仮にこの価格の6%が賃料として入金されるとしましょう。
3,000万円✕6%=180万円(年間賃料)
180万円÷12=150,000(月額賃料)
月々の収支を見ると
150,000(賃料)-98,722(返済)=51,278
となります。
そのほか、3,000万円ぐらいの物件ならマンションだと、これもエリアや築年数によりますが、固定資産税・都市計画税が年間15万ほどは必要になります。月額に割り戻すと
150,000÷12=12,500 ぐらいですね。
で、さきほどの月間収支額から月あたりの固定資産税・都市計画税金分を引くと
51,278-12,500=38,778
です。手元に残るのはこのぐらいです。
たぶん、あなたが受けた印象としては「2400万円もの大きなローンを借りて手元に残るのは月4万弱。たいしたことないな。」だと思います。
ただ、ちょっと考えてみてくださいね。この収益、元手は600万円です。で、毎年の利益は38,778(月間収支)✕12=465,336です。元手をベースとした年利は
465,336/6,000,000=7.755%
となります。なっかなかこれだけ回る金融商品はありません。もちろん、どんな物件でもいいというわけではなく、物件価格と賃料が合えばという条件内での話になりますが、十分に選択肢に入るレベルです。
※さらに物件を減価償却処理することによって、税金を抑えることもできます。会社員なら年末調整で毎年数万円精算されている人が多いですが、確定申告することによってさらに返還される金額が増えるケースがあります。全体の収入や源泉徴収で控除されている金額などによって状況は異なりますので、このへんは税理士さんか税務署の職員さんに確認してください。
まとめると、
元手600万円で3000万円の資産が持てて毎月差し引き38,778円のお金が生まれる状態になれる。
です。
と、なんか不動産投資会社の回し者みたいなことばっかり書きましたが、当然デメリットもあります。ここまで書いたようなメリットを享受するには以下リスクも受け入れる必要があります。
1.空室リスク
入居者がいない月があると、その月は単にローンの返済が発生するだけの状態になる。
2.価格変動リスク
3000万円で購入した物件の価格が下落して資産価値が落ちる。最悪、売却する必要に迫られた際、売却金額だけではローンを完済できず、自己資金を追加して返済しなければいけなくなる。
3.築年数が経つと結構手間がかかる
給湯器がこわれたー、風呂のテレビが映らなくなったー、など、メンテナンス手配の手間と都度費用負担が必要。
3はどうしようもありません。古くなればそれなりに出てくるものです。
1と2については物件選びが勝負です。たとえば、今はベッドタウンとしてある程度のニーズがあるエリアでも数十年後はおそらく今より大幅に人口が減少し、伴って不動産価格も大幅に下落します。あと20年で日本の人口は3,000万人減少すると言われています。それでもある程度の価値を保てる物件を選択することが必要です。
これを高い確率で満たすのは
・東京都内
・山手線もしくはそれに準ずる路線
・駅5分以内
ではないかと、予想しています。
実際に私の周辺でも、「20年前に5,000万円で購入した物件が、いま1,500万円でも売れない」みたいなことがいーーっぱい起こっています。と思えば「15年前に2,500万円で購入した物件を、3,000万円で売り出したら速攻売れた」みたいなこともあります。要は、単に目の前の物件価格や賃料だけで購入を判断するのではなく、出口を考えて物件を選びましょうということです。
いやいや、それでもいきなり何千万円のローンを組むのはちょっとこわい。。。という方もいらっしゃることでしょう。そんな場合はREITを購入して小さく不動産投資することを検討してみてください。
REITってなんやねん?って話ですが、めちゃめちゃ簡略化して説明すると
5000万円の物件があったとします。そしてこの物件は年間の家賃が300万円見込めるとしましょう。
この5000万円の物件を1000人で共同購入します。ひとくち5万円です。
300万円の家賃収入も1000人で山分けします。300万÷1000=3,000円です。5万円で買ったら毎年3,000円もらえるという状態ですね。
購入するのはひとくちでなくても良く、10口買う人もいれば3口の人もいます。
10口買う人は
50,000(ひとくち価格)✕10=500,000 を払ってその権利を買います。賃料もひとくちなら3,000円ですが10口なので30,000円もらえます。
みたいなのがREITです。実際にはREIT運用会社が何十件もの不動産を保有して入居者の手配をし、証券化してひとくちいくらで販売、運用会社の取り分を差し引いた分配金が購入者の手元に渡ります。
REITは証券化され市場で売買されています。株と同様にその価格は日々上下します。
たとえば、REITのひとつにサムティレジデンシャル投資法人という法人が発行しているものがあります。
このREIT、いま(2018年8月22日)価格を見るとひとくち93,300円でした。
で、2018年の分配金は年に2回あり、ひとくちあたりの分配金は
・2018年7月期 2,670円
・2019年1月期 2,700円(予想)
年間合計5,370円です。
年間利回りにすると
5,370/93,300=5.756%となります。まあまあいいっすねこれ、僕も買おうw
つまりREITは10万円弱からできる不動産投資です。証券を持ってるだけなのでメンテナンスの手間も物件価格下落してローン割れするリスクも、毎月ローンを返済する必要もありません。空室リスクもありません。
ただ、企業の株と同様、価格の変動はあります。今は93,300円のサムティレジデンシャルも、来月は下落している可能性があります。上昇する可能性もあります。
とまあ、不動産投資にもいろいろあるということです。最後まとめておきますね。
◆収益用不動産購入
◯金融機関の融資を受けて購入できるので、本来元手だけでは得られない高い収益率を確保できる。(これを「レバレッジを効かせる」といいます)
◯最悪、自分が住める。
✕価格変動リスクがある
✕メンテナンスに時間とお金がかかる
✕空室状態では賃料収入がゼロになる
◆REIT
◯少額で始められる
◯面倒な入居者募集や物件のメンテナンスは不要
✕元手以上の収益は得られない
✕価格変動リスクがある
収益率は高い分リスクが大きく手間がかかるのが実物不動産。収益率は低くなるもののリスクは購入した金額の範囲内で手間も小さいのがREITということになります。
いずれにしても価格の変動はありますので、そこは外せないリスクです。他の資産と分散しながらリスクは最小限にとどめ、資産運用の選択肢のひとつとして「不動産」の保有を検討すると良いでしょう。山手線駅5分ですよ。
※損しても自己責任で。
※配当金等の計算は税引前のものです。
※各種データは2018年8月22日現在のものです。
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