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終わりゆく今日に抗うべく本屋へ

今日は特に予定もなく、ほぼ1日を無為に過ごした。
携帯をいじったり、こたつに沈んでうとうとしたりしているうちに日が陰りはじめた。
春だというのに未だ気温は上がらず、わたしの行動する気力をごそっと削いでいく。
しかし、窓越しに降り注ぐきらきらした西日は、やはり春の陽射しである。
太陽の今日最後の光に頬を照らされると、着実に終わりゆく今日に抗いたい焦りに似た気持ちが芽生える。サザエさん症候群だ。

ささやかな抵抗。近場の本屋へ出かけた。
珍しくTokyo graffiti が置いてあったので手に取った。関西ではなかなか目にする機会がない。
63歳くらいの千滋さんという男性と、人形(ラブドール)の沙織の馴れ初めや暮らしについての写真や二人の会話を混ぜたインタビュー特集だった。
二人は恋人で、千滋さんは彼女のために妻や家のある生活を捨てて、単身アパートを借りて貧乏暮らしをしているらしい。
インパクトが強すぎる…!でも、千滋さんの顔がどの写真も本当に素敵で幸せそうで、沙織に巡り合えてよかったなぁと心から思った。
二人の会話も(全部千滋さんが考えてるのか?)、少し気が強いらしい沙織は本当にこういう内容を話しそうだと思わせるリアリティに溢れていた。
千滋さんは病に冒されているようで、おそらくあと数年の命。残された時間を沙織と精一杯、笑顔で生きようとする姿に、胸が締め付けられた。
4年間もの取材期間だったようで、記者の方もすごいなぁと思った。そりゃ重みのある内容になるわ。

Tokyo graffiti は、地方にこそ置いてほしい雑誌だな。
高校生の頃は、ヴィレヴァンで立ち読みし、「東京っておしゃれでカオスなとこだっぺ」と憧れと少しの恐れを募らせていたものだ。同棲特集とか、人の家を覗けるようなのが好きだったな。あとは毎度あるカップルのスナップ。こんな奇抜な人、地方にはいない!と鼻を膨らまして興奮していたことをよく覚えている。
結局上京することはなかったけれど、あの頃の東京への想いは、大学生以降に何度か訪れた今でも消えていない気がする。

本屋にはカフェが併設されていて、茶をしばきながら本を読んでいたのだが、閉店1時間前で片付けが始まった。
うんうん、早く帰りたいよな…でも、机に椅子を上げたり、これ見よがしにわたしの周りを箒で掃かなくてもよくない?
まだ閉店まで時間あるけど?
悔しいけれど、追われるように席を立った。
こんなんじゃ流行らないぞ!潰れてしまうぞ!
店員は無愛想で絶対目を合わせないし、駐車券のことを言ってくれなかったおかげで駐車場と店を往復する羽目になった。本もよくわからない配置、売ろうという工夫も見られない。本当に短い命だと思う。愚痴になってしまった。

もやもやしながら、別の喫茶店に立ち寄った。ここの店員さんは皆気持ちいい態度で、何よりイケメンと美女だった。それだけで癒された。

そして、これからお風呂で今日買った「ことばと文化」という本を読んで寝るのだ。

抗えたかしら。結局夜更かしという方法になり、月曜から仕事に不調をきたすかどうかギリギリの睡眠で出社なんですわ。ばかー。

この日記のはじめは小説に出てくる表現気取りなのに、序盤からもうただの日記になってしまう。まぁ日記やからな。小説っぽいおしゃれな表現の日記が書きたいものだ。

#日記
#エッセイ
#Tokyograffiti
#本

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