見出し画像

物件探しは、ご縁。ピタリと来るって本当にある。

7月某日。

突然その日はやってきた!

おにぎりやさん」という屋号で、移動販売をはじめて5年。たびたび聞かれていたのが、どこでおにぎりを仕込んでいるかということ。そう、おにぎりという商材は、たこ焼きを焼いたりコーヒーを淹れたりするのとは違って、現場で調理をすることができない。飲食店営業許可のある店舗で適切に仕込みをし、個包装をして、表示ラベルを貼ってはじめて販売することができるのです。

実店舗がないおにぎりやはどうしていたかというと、夫が飲食店を経営しているので、そこの厨房を間借りする形でおにぎりを仕込んでいました。身内なので融通はきくのですが、おにぎりをこしらえて、包んでという作業性的にはまったく不向きなわけで。だって、カウンター中心の割烹料理店なのですから。

コロナ禍により、多くの飲食店がテイクアウトに手を出さざるを得ない状況に追い込まれたと思います。お客様が来て、注文が入って、料理を作って提供する。そういう仕組みで作られた厨房でテイクアウトのものを作るのは、とてつもなく大変なことを、たくさんの料理人の方は気がついたのではないでしょうか。

厨房をタダで使わせてもらっているのに使いにくいだなんて、その言い草は何やつか…ですけど、いつか、自分だけのおにぎり工房をつくりたい。良き物件に出会えたら夫の店は卒業するのだ〜と、密かに思っていました。

そして、この5年の間で、その機会が実は2度ほど訪れていました。が、その2件は条件が合わないことや諸々あって見送り。

コロナという不透明なものがやってくるまでは、「にぎりたてのおにぎりを出すカウンター中心のお店がやりたい」と切に思っていましたが、ここ数ヶ月で方向転換。このご時世もあるし、オペレーションを大きく変えてやるのも不安。「テイクアウトの店と、いつかやりたいと思っていたECショップのための仕込み場」としての場所を探そうと思い直しました。

それで、考えた条件は5つ。

1.家からとにかく近いこと
通勤時間が1日で一番無駄なものだと思っているので、自転車で15分以内であること

2.10坪以内であること
ライター時代にたくさんのお店を取材させてもらう中で、お店は広ければ良いというものではないことが分かっていた。何をやるのか、何人でやるのか、そのための適切な大きさがあるということ。

3.大通り沿いであること
春のイベントがなくなって出店場所に困ったおにぎりやは、知り合いの店の軒先や片隅を借りておにぎり弁当を販売させてもらっていました。その中で、みなさんさっと受け取って帰りたいと思っていること。また、車社会である名古屋では、車がすっと止められることが重要だということに気が付いたこと

4.もともと飲食店をやっていたこと
居抜きである必要はなかったけど、飲食店をやっていることでガスや水道などのインフラ部分の工事代をグッと抑えることができると思った。これ本当に重要だと思う。それに、もともと飲食店ならば、大家さんの理解も受けやすい。このあたりも、ライター時代の取材経験から知ったこと

5.1階の路面店で角であること
さっと持ち帰れるお店を目指しているのなら、1階の路面店しか選択肢はないなと思っていた。角であることは、単に角の店が好きという偏愛です(笑)

暇があればネットで物件を探したり、近所を自転車でぐるぐるパトロールしたり(何せ家から自転車で15分以内が条件だから)、コロナの自粛もあってゆるく物件探し。そしたらあった!5つの条件をすべて満たす建物が。

しかも、おにぎり兼お弁当屋さんが入っていた!家から自転車で5分くらいなのに、なぜにいままで気がつかなかったのか…。灯台もとくらし。
その店の前を通るたびに、空かないかな〜、空いたらうちに回って来ないかな〜と念じていた(ごめんなさい!)、この何ヶ月。
7月某日、突然その日はやってきた!

久しぶりにその店の前を通ったら、空きテナントになっていたのです。特にその旨の張り紙はなかったけれど、これこそご縁だ、今すぐにでも動かねばと、さっそく大家さん探し。ネットで調べたけれど出てこない。仲介してくれそうな不動産屋さんを見つけて調べてもらうことにしたけれど、何日経っても連絡が来ない。近所の知り合いに聞いても探り出せなくて。

居ても立っても居られなくなって、ビルの同じ階に入っている建設会社さんに聞きにいくことに。そうしたら、その建設会社の奥様が大家さんだった!

ほんと、灯台もとくらし。

家賃や条件を出してもらったら、それもピタリとあって。そこからはもうトントン拍子で、元おにぎり兼お弁当屋さんだから、大家さんの審査もすぐに通った。物件取得でありがちな他の方との競争もなく(外に出る前に抑えられたので)、あっという間に申し込み。大家さんが不動産業を営んでいることから、やることすべてがスピーディーだし、仲介手数料がナシなのもラッキーだった。

ちょっと話はそれますが、テナントを契約したことがある方なら分かると思うけど、住居と違ってテナント契約は保証金がバカ高い。最低6ヶ月、10ヶ月なんて当たり前だし、場所によっては20ヶ月とか。
10万円の家賃のお店を借りるのに100万かかるなんて!この制度?慣習?どうにかならないものですかねぇ。
うちはちなみに5ヶ月でした。

物件探しは本当にご縁で、いろいろとピタリと来るのがそのうち出てくるよ〜なんてお店をやっている先輩方からはよく聞いていたけど、これか〜とちょっと鳥肌ものの物件探し。

まさか、自転車ぐるぐるして出会えるとはなぁ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?