ビジネスを成功に導く秘訣
弊社から多くの経営幹部が過去転職をしており、転職先も様々なのだが、飲食業界に転職された方から面白い話をうかがった。この類の話というのは、おそらく意識的に聞こうと思って出てくる話ではなく、カジュアルな会話の中からポツポツと出てくるものなので、どんなにWEB会議が盛んになろうとも人間が膝を突き合わせて対話することの価値というものは今後も変わらないと思う。
飲食業界における失敗
いきなりステーキやこの方が転職したチェーンも瞬間的にもてはやされて多くのお客様が来店し、売上が急上昇、ここぞとばかりに大量出店をして数年後、窮地に追い込まれるという経験をしたそうだ。高品質な食材をローコストオペレーションで薄利多売するようなビジネスモデルは通用しない、というのが結論だそうだ。「貴方が日々食べているものが貴方そのものだ」というぐらい、その人間の質を決めるのは「食べ物や飲み物」であることは間違いないと思う。優れた遺伝子だけでは長期に渡ってパフォーマンスすることは困難であり、その人間を活かすも殺すも「食べ物」だというのは私が単に食いしん坊だからかもしれないが、栄養価の高い食べ物を摂取することだけでなく、美味しいものを食べるという行為で、メンタルを安定させるという側面も考えると、「食べる」という行為は人間にとって非常に重要なことである。
業態の作り方
大量出店で長期の顧客を惹き付けることでは持続可能なビジネスモデルは作れないというのが結論だそうだが、ではどうやって事業拡大をすればいいのか、ということになる。彼が今取り組んでいるのは「業態ポートフォリオ」であった。私も昔アルバイトで厨房に立っていたことがあったが、その時の店長(料理人)に学んだことは同じ食材でも手間を掛けて違うものを創り出すこと。具体的には「たまご」をボイルして、真ん中からギザギザにカットして白身で器を作り、中の黄身をこしてマヨネーズと塩コショウで味付けをしてケーキのホイップをしぼるように白身の器に盛りつけてパセルを散らすというもの。手間は掛かっているが原材料は卵で調理をして出すものとなんら変わらない。
元々品質の良い食材を安定調達する仕組みを持っていたチェーンなので、その食材に手間を掛けて単価を引き上げた「業態」をコンセプトを変えて複数一定地域にドミナントするという切り口だった。この手法は、「俺のXXシリーズ」でも実践されている。銀座の一区画に「俺の焼肉」やら「俺のおでん」など、そんなの知らなかった、というような店舗が多く出店されており、高級料亭やレストランとは下の価格帯で客数を確保し、地代家賃を支払ってもペイできるような業態を作っているように思うが、仕入れをしている食材は同じところから調達している。(と推察する)
この業態ポートフォリオの発想はとても興味深く、おそらく特定地域の個店のPL構造だけでなくドミナント化した地区を1つのビジネスユニットと捉えると高収益店舗と低収益店舗のバランス比率にスイートスポットがあり、都市に出店する場合、どの業態の組みあわせで出ていくべきかの鼻が利くようになるのではないかと思う。ちょっと面白い話だったので備忘録にメモをしてみた。
最近あまりアップデートしておりませんが、
皆様良き週末をお過ごし下さい。
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