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HCDスペシャリスト認定試験を受験しました〜合格までのみちのり〜

こんにちは。Unipos プロダクトデザイナーのべっちです!

新卒の頃からいつか受験したいと思っていた人間中心設計(HCD)スペシャリスト認定試験を、今年度受験し…合格しました!

どうして合格できたんだろう?を自分で振り返ったとき、この3点のおかげだったと思っております。

①受験目的がハッキリと存在した
②レポート提出まで計画的に動くことができた
③コンピタンス理解を諦めなかった(最初は誤解してた)

この記事は、上記3点を掘り下げた記事です。これから受験する方の一助になれば幸いです!

①受験した目的は"安心して期待してもらえる"ように

1) 自分の能力把握
大学時代も含めると「人間中心設計」の思想でものづくりを行って6年ほど経ちました。実際にビジネスの場でWebサービス運営している中でのトライアンドエラーや知見もたまり、一度自分の能力がどのぐらいなのか測りたいと思いました。

2) 周りから頼ってもらえるように
「インタビューとかユーザビリティ評価するときに、この人に相談すれば大丈夫そう」と安心して思ってもらえるようにするためです。

インターフェースの評価という一見個人の感覚によって評価が分かれると誤解されてしまう分野において、専門知識があれば適切な批評が可能であることを伝えたい・体現している人と思われることで、周りを支援したいと思いました。

②HCD認定制度の受験計画とモチベーション管理方法

通常の資格であれば、筆記・実技などの試験の結果をもって合否を判定しますが、HCD専門家/スペシャリスト認定制度においては、これまでの実績をレポートにまとめて提出し採点してもらう形式です。

プロダクトデザイナーの私の場合、実績に当てはまるのは
「Webプロダクトの改善におけるプロセスと結果を機能開発プロジェクト」としました。

実際に提出した書類の一部がこちら↓

審査書類222033_のコピー_最終提出_-_Google_スプレッドシート

プロジェクト5つをできるだけ全項目(500文字)記載したため、書き終えるまでには合計40時間かかりました...!

最初からこの物量をこなすには心が挫けそうだったので、モチベーションを維持しつつ、仕事含む生活に支障をきたさずにやりきるために、事前に計画を練りました。

11月末  説明会参加
12月中  記載するプロジェクトごとに当てはまるコンピタンスを振り返る
年末休み レポート記載開始 1日2時間はコツコツ...
1月中旬  全体確認。辻褄が合わないように見えるところがないか等
1/20   提出

同時期に受験したUniposプロダクトデザイナー・プロダクトオーナーや、既に合格している専門家の方がいるおかげで、知見共有しながら進められ、孤独な戦いではない安心感がありました!

③受験で一番得られたこと、"コンピタンスの再認識”と"要求の分解"

1) HCDコンピタンスの再理解
HCDコンピタンスとは、人間中心設計を元に計画的に作り上げることができるか分かるスキルのようなものです。
コンピタンスとは:HCD専門資格コンピタンスマップ(2021年度) P4
https://drive.google.com/file/d/11PFm1MDSv7sejH4Iv1HHS_Bl1aRRT_1l/view

実際はこのスキルを埋めるためにものづくりをしているわけでなく、成功確度の高い結果を出すためのものづくりをしていたらスキルを持っていた.. のような感覚に近いです。

そのため、レポートを書き始める前には、そもそもコンピタンス理解が合っている状態になることから始めました。

正しいコンピタンス認識をするためには、応募要項を熟読することに加えて、人間中心設計に関する本を改めて読み直しました

全コンピタンスの振り返り・・・「人間中心設計入門(0巻)」
言語化が難しい部分の補助・・・人間中心設計における評価(7巻)」「ユーザビリティエンジニアリング」

今まで感覚的にやってきたこと・大切にしていた観点を、専門家が言語化するとこうなるのか!」「自分のHCD理解・行動が合ってるのか不安だったけど、専門家もこういう悩みに当たることがあるんだ!」と認識でき、コンピタンス理解と自信創出にすごく効果がありました。

改めてコンピタンス理解を深めると、人間中心設計に基づく観点はもちろん、「ものづくりってこういうところ気にして作りたいよね」の客観的なフォーマットが存在する・拠り所にして良いソースがある、という安心感を得ることができました。


2) 誤解していたコンピタンスはユーザー要求とシステム要求

まだコンピタンス理解が足りない頃、私は「A7. ユーザー要求仕様作成能力」と「A8. 製品・システム・サービスの要求仕様作成能力」の区別に躓きました。

A7. ユーザー要求仕様作成能力

ユーザー調査データや分析結果および構想・提案したユーザー体験を用い、ユーザー要求仕様として表現できること。また、それらに対し適切な優先順位、評価指標を設定できること
*具体的なシステムに対する要件定義ではなく、ユーザーが実現したい内容、解決したい課題についての記載が求められる
*顕在化している要求だけでなく、ユーザーの本質的要求(潜在的要求)についても抽出できていることが期待される
例:ユーザーシナリオ、ユーザー要求仕様書、コンセプトシート、利用品質メトリクス、アクセシビリティを考慮し拡張したペルソナなど

A8. 製品・システム・サービスの要求仕様作成能力

ユーザー要求仕様をもとに、製品・システム・サービスに必要な機能を定義し、それらを要求仕様として表現できる能力のこと
*ユーザーの要求の定義ではなく、それを受けて製品・システム・サービスを具現化する方向性を示した要求仕様についての記載が求められる
*各スコープにおける相互の影響や優先順位、実現可能性も含めた、具体的かつ現実的な機能の定義が期待される
*アクセシビリティに関する要求に優先度を付けた仕様やアクセシビリティガイドラインを適切に活用できることも期待される
例:基本設計書、要求仕様書、ユーザーストーリーマッピング、Design Doc、製品要求仕様書(PRD)

出典:HCD専門資格コンピタンスマップ(2021年度) P13,14
https://drive.google.com/file/d/11PFm1MDSv7sejH4Iv1HHS_Bl1aRRT_1l/view

ここの認識、同時期に受験したメンバーでも、最初は認識がわからない〜どういうことなんだろ〜となり…議論できた末に納得できた部分です!

私の質問に対し...↓

Slack___hcd受験隊2021-2022___Unipos

Slack___hcd受験隊2021-2022___Unipos

Slack___hcd受験隊2021-2022___Unipos

受験同志のメンバーが一緒に考えてくれるありがたさ… ↑
(Uniposは同じ分野に関心やスキルがある方が多いので、自然と議論が発生してみんな認識同じにできる嬉しい環境です.. (*ノェノ))

この違いを認識した後、ユーザー要求とシステム要求を混同してしまうと、ユーザーはそこまで求めていないのに過剰な仕様を詰める逆に不足したまま提供してしまうなど、過剰/不足品質になってしまう恐れがあると気づきました。

この気付きは受験後に早速活かされています。機能開発のプロジェクト進行において、要求事項はユーザーとシステムで区別してコミュニケーションすることで、仕様について議論が起きたときも「ここで考慮したいのはユーザー要求?システム要求?」と自他共に問いかけることを意識し始めることができたと実感しています。

まとめ

今まで仕事していて積み重ねてきた実績を今一度振り返ることで、自分ができているところ・まだ伸ばせるところを見つけることができました。

実は、上記のメッセージはこの認定制度を受験する説明会にて「この試験を受験して学んだことはありますか?」とスタッフの方に質問させていただいたときのご回答です。(意訳しております)

この言葉が、受験を悩んでいたときに凄く励みになりました。認定されることがゴールではなく、その先のスキルアップのためにもなることを知り、落ちてもメリットがある!大変だとおもうけど頑張ろう!と、受験するモチベーションが上がりました。

副次的な効果として、これまでの実績の棚卸しのため、転職時に利用しているポートフォリオを見返して当時のことを振り返ると、「意外と自分、頑張ってたんだな…」と過去の自分に勇気づけられました(´;ω;`)

これから受験する方にとりましても、合格を目指しレポートをまとめる過程で、コンピタンス理解による業務改善の気づきを得る・自分の自信につながる受験になることを祈っております!

おまけ:そもそもどうしてHCDが存在するのだろう?という方に向けて...

私個人の考えではありますが、人間中心設計とは「人のためにつくる」ことを思い出しやすいように、また再現性高く行えるように存在するものづくりの考え方だと思っています。

人の役に立ちたいから、価値観や経験を探るためにインタビューや分析をしています。
「プロダクトマネージャーやプロダクトデザイナーってよくインタビューしているけど、実際何の役に立ってるの?」「はたから見ると感覚的な会話にみえるけど、どうやって分析しているの?」という観点が見えづらい領域だとおもいますが、その基盤には人間中心設計という考え方があり、専門家やスペシャリストが認定されるぐらいの専門知識が必要であること、しかも一朝一夕で身につくものでなく、実績の積み重ねで個人が成長していくことで、プロダクトの品質アップにもつながっていること…

身近にHCDの専門家やスペシャリストがいて、ものづくりに悩んだときは積極的に頼っていただけたらきっと頼もしいパートナーになる、ということを知って頂けたらうれしいです!


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