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不妊治療の果てに

はじめに

このような話をすると「子供ができたからいえることでしょう。」って、結構な割合で思われてしまうのが残念に思います。

子供の有無に関わらず、不妊治療に挑んだ方々、挑み続けている方々、それぞれの勇気と覚悟を、過小評価しないで欲しいと強く願っています。

不妊治療を30代からはじめた場合、35歳の方が妊娠し出産に至る確率は約16%、40歳の方が妊娠し出産に至る確率は約7%だといわれています。

35歳以降から40歳までを平均すると、1年経つごとに、約1.8%も確率が下がっていくことになる。

確率が年々下がっている中で、5年間で妊娠することができるチャンスは、60回しかありません。

60回もあれば大丈夫だと考えた方は、不妊治療がもたらす精神的ダメージを過小評価しているかもしれません。

60回を日にちに表すと1,825日になりますが、妊娠できる状態を保つために1,825日も、食事、睡眠、ストレスなど、様々なことに気をつける必要があります。

また、1人だけなら問題なく、気をつけることができるかもしれませんが、不妊治療の難しいところは、夫婦ともに足並みを揃えることです。

仕事の悩み、プライベートの悩み、様々なことが重なり、夫婦の足並みが揃わないことがある。

ましてや、1,825日という長い期間を男女が一緒に過ごすだけでも、大なり小なり衝突はあるものです。

確率が年々下がっていく現実、足並みが揃わず過ぎ去っていく日々、それでも妊娠できる状態を保つストレス、精神的ダメージは計り知れません。


家計の圧迫

不妊治療が長引けば、家計を圧迫することがあります。

不妊治療費とは別に、酸化ストレス、ホルモンバランスの乱れなどを防ぐ栄養素を、サプリメントで補う場合があるからです。

また、妊娠する前から葉酸サプリメントを摂取し続けることもある。

サプリメントに効果はないと、考えている方もいるかもしれません。

でも、胎児にとって重要な葉酸が不足すると、先天異常の可能性が高くなるといわれたら、通常の食事だけで必要な量の葉酸を摂取することができるのか、不安になりませんか。

葉酸は妊婦に欠かせない栄養素だと、広く知られていますが、葉酸が最も重要な時期は、妊娠初期だといわれています。

妊娠初期は、赤ちゃんの脳や脊髄の基となる神経管が作られる時期でもあるため、葉酸が不足すると先天異常の可能性が高くなるといわれているからです。

ただ、栄養を考えた食生活をしていれば、葉酸が不足するというのは考えにくいですが、もしものことを考えて葉酸サプリメントを摂取する場合もある。

葉酸サプリメントは、産婦人科においてあることもあり、購入される方が多いサプリメントだと思います。

テレビCMでみかけることもある葉酸サプリメントのエビレットで考えた場合、1ヶ月の単価が4,000円になり、5年間継続して購入すると、総額24万円になります。

また、厚生労働省が公表した「不妊治療の実態に関する調査研究」(2020年度)によると、全国平均として、人工授精の費用は1回平均で約3万円、体外受精は約50万円が必要になることがわかっている。

ただ、全国平均なので実際のところは、産婦人科によって大きく変わると思います。

私たち夫婦は、産婦人科を3回ほど変えた経験があり、人工授精までにかかる費用も産婦人科によって大きく変わることを体験している。

1回目の産婦人科は良心的な値段だったこともあり、人工授精までに約3〜5万円の間におさまっています。

2回目の産婦人科は、最先端の医療技術を使っているだけあって、人工授精までに8万〜10万円の費用がかかりました。

また、受診するたびに3万〜4万円するので、1ヶ月に6〜8万円の検査費用を支払っています。

それでも、2回目の産婦人科で不妊治療を続けましたが、1回目の産婦人科と比べて、大きな違いを感じることができなかったので、1回目の産婦人科に戻りました。

ざっと金額を書きましたが、これ以外にもお金が必要になるため、夫婦二人三脚で不妊治療に挑み続けないと、不妊治療を継続することが難しくなります。


現実は非情

不妊治療を続けてきた私たち夫婦に、先生が挑み続ける難しさを突きける言葉を投げかけてきました。

先生は「授かることをゴールにしないようにしてください。子供を授かったときに、不妊治療で家計が苦しくなっていたら大変です。別の選択肢を考える時期にきているのかもしれません。」

これは、先生なりの優しだということを、重々承知しています。

不妊治療をはじめて、ある程度の年数が経過していたこともあり、次のステージに向かう時期がきていたことを、私たち夫婦も理解していたからです。

時間とお金をたっぷり費やして、なんの成果も得られない状態が続き過ぎたこともあって、私たち夫婦は決断を迫られていました。

暗闇を歩き続けるのか、2人だけの時間をゆっくり過ごすのか、養子を迎えて幸せな家庭を目指すか、私たち夫婦の運命の選択です。

このまま暗闇を歩き続けても、何もないかもしれない、でも暗闇を歩き続けないと、何もないということを知る方法がない。

結局、暗闇を歩き抜いた夫婦だけが、暗闇の先で待っている結果を知ることができる。

私たち夫婦は、暗闇の先で待っている結果を知るために、暗闇を歩き続けると決めました。

私たち夫婦が、暗闇を歩き続けた期間は6年になります。

暗闇の先に待っていた結果は、6年という苦難の道のりを一瞬にして、幸せへと続く道のりに変えてくれました。

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