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アラスカの荒野で死んだ、愚かな24歳の青年の話

セラピーの先生や、尊敬する先輩方に立て続けにお勧めされた、
『イントゥー・ザ・ワイルド』という映画を観た。
 
1992年夏、
アラスカの荒野で遺体となって発見された青年の旅路を追った、ノンフィクション作品である。
 
(ネタバレにならないよう映画紹介に書いてある範囲で、
あとは私の所感を、書き綴ります。)
 
 
 
 
 
 
恵まれた環境で育ちながらも旅立ち、
今の私と同じ24歳という年齢で亡くなった
クリストファー・マッカンドレスという青年に、
どうにも他人事とは思えない気持ちを抱いた私が居た。
 
旅の中で様々な生き方の人々と出会い、
愛を受け取り、
 
広大な自然の中で
生きる悦び・生の躍動を己が身体を持って体感した彼。
 
作品を観て、
彼の生き様に胸の高鳴りを抑えられない人も多い。
 
 
 
 
 
 
しかしながら、
「彼は愚かだった」と評する者もいる。
 
たしかに彼は愚かだった。
 
もっと安全に、長く生きることもできただろうし、
 
自然を相手にする知識も未熟。
 
見る人が見れば、
彼の人生観すら矛盾だらけで未熟だったかもしれない。
 
 
 
 
 
 
 
ただ、
人生の真実を追求するために死んでいった彼の愚かさは、
一瞥して終わるだけの、くだらないものなのだろうか。
 
生きる喜びをまじまじと味わうことはくだらないか。
 
沢山の愛を受け取り、実感することはくだらないか。
 
一方で、
長く安心して生きることはくだらないか。
 
金と物に囲まれて愉しむのはくだらないか。
 
 
 
 
 
 
人生は、命は、
くだらないものに捧げるほど、
そう軽く扱えるものではない。
 
葛藤し、人生をかけて、命をかけて、
歩んだ道だ。
 
愚かであろうとも、
そこにはかけがえのない尊い意思と、
美しく何にも変え難い足跡がある。

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