見出し画像

彼女はそれを、愛と呼んだ

「世界は、愛でできているのよ」


水平線に沈んでいく夕陽を眺めながら、彼女が言った。


「こうして夕日が沈んでいくのも、

私とあなたが一緒にいることも、

世界がこうして存在することも、

全て愛なのよ。」


オレンジに染まる世界を見つめる彼女のまなざしには、一切の曇りもなかった。


「誰がなんと言おうと、

どれだけ世界が残酷だろうと、

私は私を愛している。

私はあなたを愛している。

あなたは私を愛している。

それだけで、十分なのよ。

本当は、それ以上はいらないのよ。」


そういって、彼女はふと微笑んだ。


あぁ、そうかもしれない。

確かにこうして生きていることが、愛、なのかもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?