彼女はそれを、愛と呼んだ
「世界は、愛でできているのよ」
水平線に沈んでいく夕陽を眺めながら、彼女が言った。
「こうして夕日が沈んでいくのも、
私とあなたが一緒にいることも、
世界がこうして存在することも、
全て愛なのよ。」
オレンジに染まる世界を見つめる彼女のまなざしには、一切の曇りもなかった。
「誰がなんと言おうと、
どれだけ世界が残酷だろうと、
私は私を愛している。
私はあなたを愛している。
あなたは私を愛している。
それだけで、十分なのよ。
本当は、それ以上はいらないのよ。」
そういって、彼女はふと微笑んだ。
あぁ、そうかもしれない。
確かにこうして生きていることが、愛、なのかもしれない。
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