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【No.15】引き継いだ仕事@こうならいいなサラリーマン劇場

 サラリーマンの世界で起きているかもしれないことをドラマ風に綴ってみたいとおもいます。内容は架空の話ですが、思い当たることがあれば要注意ですよ。それから、この劇場の結末は「こうならいいな」という内容で終わります。なので、現実界とは少し違うかもしれません😊

 それでは、幕を開けてみることにしましょう。


お客様相手の仕事を担当していると、先輩が担当していたお客様を引き継いで担当するケースは珍しくない。ただ、お客様はその際に前任者と同じ期待を込めて接してくるのが普通である。その時、前任者を上回るくらいの結果を返すことができれば問題はないが、通常先輩から後輩に引き継がれるのが多いのでどうしても仕事を引き継いだ後の立ち上がりは仕事の品質においても劣ることも多い。その際、お客様から皮肉を言われたりもするものである。そんなケースの例をあるお客様担当のSEの仕事で見てみることにしよう。

天の声

 ここはIT機器のメーカーで、お客様担当の営業とSEがペアで仕事している。担当していたお客様において大きなプロジェクトが一段落したため、このお客様との取引は今後しばらくは縮小することなった。よって、お客様担当のSEも後輩のSEへとバトンが渡されることとなった。

 先輩SEであるAさんは、お客様の担当者に次回から担当のSEがBさんに代わったことを告げていた。合わせてBさんも同行しお客様の担当者に挨拶をしていた。Aさんはシステム課長さんにも一緒に挨拶に行こうかとBさんにいっていたのだが、Bさんは交代した最初が肝心だと思い、一人で対応させてくださいとAさんに告げていた。交代してしばらくした後、お客様の担当者の上司から営業に連絡が入った。

「最近、月次の報告を受けてないけど仕事の仕方を変えましたか」

 営業は焦って、新しく担当しているBさんに連携した。Bさんは、しまったと思った。Aさんからの引き継ぎ事項にお客様のシステム課長へ月次で状況報告を含めた啓蒙活動をしているということがあったのをすっかり忘れていたのだ。Bさんはあわててお客様のシスム課長を訪問し、まず誤った。

「失礼します。xx会社のBです。この度は定期的な報告に伺えず申し訳ありませんでした」
「あれ、Aさんじゃないの」
「はい。申し訳ありません。先月から私が御社の担当SEになりました。よろしくお願いします」
「そうですか。知らなかったな。Aさんも一言くらい言ってくれればよかったのにな。Aさんはよく気が利いて対応してくれていたんだが。今回の交代は急だったのかな」
「はい、申し訳ありません。急な組織変更が起こりまして対応が遅れました。実はAから頼まれていたのを私がすっかり忘れてしまっていたんです」
「ああ、そうだったんですか。Aさんにしてはつまらないミスをしたもんだなと思ったところだったけど、Aさんはあなたを信頼していんですね。でもあなたはそれに応えられていない」
「申し訳ありません」
「月次のサービス料金に関しても見直して次回もう一度説明してください」
「かしこまりました」

Bさんは、他のお客様の仕事も担当していてなんとかAさんから代わった事で評価が下がらない様にと気合が先行してしまった様だ。


なんとなくありそうな話ですね。前任者から引き継ぐときにはより評価されたいと思うのは仕方ないことかもしれないが、気持ち先行になることは気をつけなければならない。お客様との関係というのは、時間と共に密になっていくものである。そしてそこに信頼関係が出来上がるのである。決して急いではいけない。目先の利益を追いかけるべきでは無い。信頼を得て長い期間ビジネス関係が続く様なオペレーションを心がけたいものだ。さて、今回の対応でBさんがほんのちょっと気を利かせていたらどうなったか、確認してみよう。

天の声

 ここはIT機器のメーカーで、お客様担当の営業とSEがペアで仕事している。担当していたお客様において大きなプロジェクトが一段落したため、このお客様との取引は今後しばらくは縮小することなった。よって、お客様担当のSEも後輩のSEへとバトンが渡されることとなった。

 先輩SEであるAさんは、お客様の担当者に次回から担当のSEがBさんに代わったことを告げていた。合わせてBさんも同行しお客様の担当者に挨拶をしていた。Aさんはシステム課長さんにも一緒に挨拶に行こうかとBさんにいっていたのだが、Bさんは交代した最初が肝心だと思い、一人で対応させてくださいとAさんに告げていた。そして、すぐにお客様担当者を通して、システム課長との面談予定を作ってもらった。

「初めてお目にかかります。xx会社のBでございます。この度、急な異動が社内で発令され前任のAから引き継がさせていただきました。今後とも、A同様、よろしくお願いします」
「おお、そうか、Aさんは異動になったんですね。最後にもう一度話をしたかったなぁ」
「はい、私もそう思ったのですが、私一人でご挨拶をしてお客様に私を覚えていただいてから、改めてAを同行しようと考えています。おそらくAと同じというわけにはいきませんが、精一杯御社の力になれる様に活動させていただきたいと思います」
「ははは、なかなか気合十分ですね。まぁ、ここは関東から離れているので皆さんとお会いして情報収集することも私の仕事なんですよ。それでAさんにも時間をとってもらっていた次第です。これからは、Bさんに頼らせてもらうことにします。こちらこそ、今後ともよろしくお願いします」


素早く対応するということはとても重要ですね。いいことも悪いことも時間をおかずに報告することこそ、信頼を得るための最初の行動です。早い行動は正直な内容となることが多いことはお客様もご存知です。逆に時間が経った後の報告は、都合が悪い箇所を隠しているかもしれないと思われても仕方ありません。速やかな対応こそ、良好な関係の基礎を築くことができる様ですよ。




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