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【SS】相容れない二人 #毎週ショートショートnote

10/23-10/29  お題 告白雨雲 410文字


雷様は悩んでいた。どうしても心の中にいる人を忘れることができずにいた。その思いは日に日に募っていた。

「今日こそは、僕のこの思いを僕の全てを賭けてあの人に伝えるぞ。今日は満月だから僕の姿もきっと綺麗に見えるから、首を縦に振ってくれるだろう」

満月が山間から昇り頂点まで昇っていくのを見極め、雷様は自分なりの愛の表現を見てもらうために、ありったけの力で雷太鼓を叩き続けた。いつしかその音に自分自身が酔いしれてしまい、止まることがないような勢いで叩き続けた。

みるみるうちに晴れ渡っていた空が一面黒い雨雲で覆われていった。告白相手のお月様も見えなくなってしまったことを雷様は気づいていない。雷太鼓はさらに力強く叩き続けられ、強い風を巻き込み豪雨となり、凄まじい雷が地上に襲いかかっていた。

雷様が我にかえった時には、地上は大惨事となっていた。それを見た雷様は後悔し反省し、お月様への愛の告白も諦めてしまった。告白雨雲の大惨事だった。

410文字


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