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【SS】株式会社の音 #毎週ショートショートnote

8/28-9/3  お題 株式会社のおと 410文字


ここは有限会社だけが集まっている町だ。お父さんが社長の小さな工場や、まだおばあちゃんが社長で頑張っているお菓子屋さん、昔からずっとある寝具店などが軒を連ねてひしめいている。しかし、時代の流れなのか客足は段々と遠のき、閑古鳥が鳴く町ヘと変貌して行った。

一方隣町は株式会社だけが集まる街だ。何となく活気がある。高いビルも多い。どちらかといえば商店街というよりオフィス街みたいな感じである。工場もあるが、町のはずれに集まっており人の流れを上手にコントロールしているように見えた。

株式会社の町は虎視眈々と有限会社の街への進出を狙っている。夜になると知らない間に攻めてくるのではないかと有限会社の街の住人は気が気ではなかった。寝静まった頃に、ゴゴゴーという地面が唸るような音がするのだ。有限会社の街の人は朝起きるたびに、株式会社の街が近づいてきているような気がしていた。

そして気がついた時には、有限会社の町は飲み込まれてしまった。

410文字


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