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【SS】株式会社の音3 #毎週ショートショートnote

8/28-9/3  お題 株式会社のおと 410文字


下町に小さな株式会社として操業している工場があった。ここは、瓦を作っている工場である。今では瓦工場は少なくなったが、なんとか生き残っている工場である。普段は、敷地の建物の中で瓦が造られていて、防音もされているので、周りに音が漏れることはない。静かに操業している工場だ。

しかし、不良品が出た時はそうは行かない。工場の敷地内にある不良品置き場に形が歪になったり割れた瓦が運ばれる。そして、これらは道路を作ったり、砂利の代わりに使われたりするために、細かく砕かれることになる。毎週、機械で細かく砕かれるのだが、「パリン、パリン」と高い音と共にベルトコンベアーで運ばれる時の「ゴー、ゴー、ガラガラ、ガシャーン」という音も響いている。

近所の人は「あぁ、また不良品がでたな」と思い、日常の音として楽しんでいるようだ。子供たちも面白がって「パリンパリンをひとつもらってもいい」と工場の人にねだっている。

昭和の頃の懐かしい思い出である。

410文字


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